あたりいちめんのしろは

 

ヒヨコブタ

 
 

寒波が数十年ぶりだと
積もり始めた日の朝には儚さを思い
午後にはこれは長引くと
ラッシュのころ報道されなくなっているばしょで
何が起きているか
その感覚はあの日のおそれにも似て

数日融けぬ雪が氷となり
すれ違う幼女は
なんでずっととけないの? と母親に

わたしに子がいたらなにを言いなんと答えたらう
そのぶぶんは雪より冷たい
こころのなかで雪よりも氷よりも

けれども雪はほんとうは降るほどにあたたかなのを
わたしは知っているから
そう半分じぶんを騙すように
笑わずに

 

 

 

ぎが

 

夜中に目覚めた

それで
朝になった

おじさんは
朝にはなるんだね

ぎがを
聴いてた

知久寿焼さんの歌うぎがを聴いてた

金色の髪の毛のぎが
10回払いで買ったぎが

おじさんは
会社辞めます

三月に会社をやめて詩人になります

お金のために働いた
のでなかった

きみたちのためにも働いた