海抜ゼロ

 

工藤冬里

 
 

バチカンをぶっ壊す!
とフランシスコが叫んで始まる
終末
が見えた気がして
まだ生きている僕らのことを想う
僕らは復活の無い死を遂げる稀有な存在となる
死んでいた人たちが代わりに傾斜地に住む
一人一ヘクタールが割り当てられる
どちらかというと
斜面に穴を掘って住むといいと思う
復活のない死には美学が必要である
だから人文学が栄えていたのだ
何のためにフランス語を勉強したのか?
死ぬからじゃないのか?
鉛筆の芯で出来た大きな直方体を考えているんです、と言うと彼女は喘いでがたがた震えた
様々な種類の白い光が蓮華文のように放射した
異なった白はアウェー感を醸し出した
マッチ箱のような形
乗り手は言葉と呼ばれ
白かった
ホワイトハウスはどんなところですか
白いよ
小麦一リットルが八千円
セントヘレナ島以外の全ての人が
目と想像力を活用して強めてゆく
風化との闘い
鉛筆だけで光を表現している
何故そう言えると思いますか
王冠を被ったり投げたりしている
ヒゾーガンである
ビーツの葉も実も、煮出すと瑪瑙のように赤かった
目が沢山あった
バランスと生理は関係ない
沢山ある目を受け入れなければならない
壮大な場面
魚群も鳥の群れもクラゲのように窄んで開く
色とりどりの葉、丸い黄色い葉
所詮私には無理だったのだ
相手の中に何があるかを確認してもらい
第四脛骨脱臼
チャリタブル プランニング
宇宙船で視覚が奪われる
人の姿をした漢字が、立っている
形にあらわすことはとても大事
世の中わるくなっても先頭にいるのは白い馬
集合的な努力
これ以上低くならない海抜ゼロをいつも見ていたから
チベットに居ても
この最低の平面を思い出すだろう

という字には貝が二つある
右の賣は売の旧字である
一見して売り買いのことと知れる
買うと賣る
貝に貝
貝で償う黨員
Celui qui appelle du levant un oiseau de proie