狩野雅之
(記)2020年9月26日午前。長野県茅野市荒天の車山山頂(標高1930m)にて。このあと雲が切れ、強風が収まる。
名前を覚えないことで距離を置いていた
青い床
光の縁取り
裁縫の仕方を男子が教えている
なかなか身体が折れ曲がらない
宝塚っぽい暗い虹色のセーターを着て
一瞬気を失っていた
アカシア材.comから
ずぶ濡れて猫
刺し通される筈の言葉がなぜ
スペインの黄色と青のプリンタリーに
数字を右手と額に、
行為と思考に刺青する
数字と数字の距離を空けただけで
野獣は離れていくか
朱鱗洞が死ぬ一空白空白空白空九空白空白空白空一空白空白空白空八年に空白空二空白空白空〇歳のロルカは処女作「風景と印象」を出版するが黙殺される。スペイン風邪が明けた一空白空九空白空二空白空〇年二空白空白空白空二歳の時にアルヘンチーナを据えた「蝶の呪い」で処女公演を果たす。そ の空白空白二空白空白空年 間 に 何 が あ っ た か。桜井大造はそこに満を辞したコロナ明けの演劇、という視点を持ち込むが、本当にそうなのか。
座席の距離を詰めても空けても忘れ去られるだけなのだから
シニフィアン連鎖の間隔を空けることでこちらから忘れてやる
名前を覚えられないのではない
覚えないことで距離を置いていたのだと気付いた
野獣アルヘンチーナは脳内を舞う
他の名前は
覚えない
#poetry #rock musician
マイナーに酔っ払ったフジオが観に来て、僕に、ションベンみたいな演奏だな!と言うので、確かにノイズのオルガンはションベンに似ているかも、とは思ったが、うるせえウンコ野郎、と言い返せば良かったのだと今日思い付いて、ほら、ションベンにウンコと返せば気が利いてるじゃん、タイムマシンがあったら、一九七八のマイナーに戻って、言い返したいな、フジオは反浜岡原発の時非常に知的な喋り方が出来る人間だと知ったけど、それとこれとは別だからな、即興舐めんなウンコ野郎、いつか言ってやりたいな
#poetry #rock musician
I had
a father
my father is a peasant
he was the youngest child of a peasant
he became a soldier
the war was over before he went to the war in the foreign land
he drank and got rough
he must have been rough
I didn’t even talk to my father
the father once cried
I’m ruined
when I go home
my father cried
other
I had a father
I just think of them as my father
I have a poet’s father
I have a printmaker’s father
I have a photographer’s father
My brother-in-law was also my father
I have a peasant’s father
・
Please come to see me every now and then *
わたしには
父がいた
父は
百姓で
自作農の末子だった
父は兵隊になった
外地の戦いに行く前に
戦争は終わったのだった
酒を飲んで荒れた
心が荒れていたのだろう
最後まで
父とはまともに話さなかった
その父が
泣いたことがあった
駄目になって
帰省したとき
父は
泣いた
他にも
わたしには
父がいた
わたしが勝手に思っている
だけだが
詩人の
父がいる
版画家の父がいる
写真家の父がいる
義理の兄もわたしの父だった
わたしには
百姓の父がいる
・
どうかときどきは私に会いに来て下さい *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
投げられない
委ねられない
転がせない
手をつないで歩いているわけではない
右手を差し伸べられて
引き上げられるだけだ
#poetry #rock musician
yesterday
that person
died
that person was a photographer
that person was a tuna sailor
that person was a truck driver
in the precincts of a temple in Asakusa
the person took a picture of a person
“A man who learned to sing tanka at Aomori Prison” and **
“Young man who walked from afar” **
I can’t forget those portraits
there
was there
wrap human life in light
that person made a person stand
at the bottom of the light
the river was flowing
that person took a picture of a nearby person
the people nearby were those who walked from afar
・
What is he like *
昨日
そのヒトは
逝った
そのヒトは写真家だった
マグロ船船員だった
トラックの運転手だった
浅草の寺の境内で
そのヒトは人の写真を撮った
“青森刑務所で短歌を詠むことを覚えた男”と **
“遠くから歩いて来たという青年”の **
写真が
忘れられない
そこに
いた
人の生を光に包んで
佇たせた
光の底に
川が流れていた
そのヒトは近くの人を撮った
近くの人は遠くから歩いてきた人たちだった
・
彼はどのような人ですか *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** 鬼海弘雄「世間のひと」(筑摩書房)より写真のキャプションを引用しました.
#poetry #no poetry,no life
雨の新青梅
赤の信号の目
街道kd東京tk
薙ぎ倒される二三区の子音たちが
公園で阿弥陀に組み立てられている
上り下りする者たちの
ここは約束の地ではない という声が
イヤホンしてない方の耳にドップラーで混ざるが
脇目も振らず走り抜ける
青梅と新青梅はどちらが荒んでいるか競い合いながら交差して入れ替わるが
死んだ西東京のために
雨の日に自転車で飛ばすのは新青梅でなければならなくなった
赤い公園 西東京
https://www.uta-net.com/song/204846/
#poetry #rock musician