告白

 

松田朋春

 
 

こんなに近くにいるのに
会えないなんて残念です
わたしはすっかり髪が伸びて
別人のようですよ
あなたを驚かせたかった
あなたは変わったかな
会えない時間だけ歳をとって
同窓会のように少し照れくさい気持ちで過ごす
最初の数分を味わいたかった
今は誰にも会っていないと聞いて
わたしは密かに喜んだのですよ
このまま会わない人になるのなら
私はまた違うかたちで
あなたの幸せを願うことが
できるかもしれない
会えないあなた
あなたは今、
どんな気持ちですか
そんな手紙があったとして
詩よりも伝わること
伝わってしまうこと
詩は告白ですらないなら
そこにあるものは何なのか

 

 

 

破られる契約の中で話語は

 

工藤冬里

 
 

生き返った彼というシニフィエは存在しなかったが
声の調子とかパンの割き方で死ぬ前の彼と結びついた
彼というシニフィアンは差異として眺められてはいたが
システムが時間のことを考慮に入れてなかったので元初のシニフィエ、根源的パロールが現れて目の前で魚を食べてしまったのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

He stopped short at the gate.
彼は門のところで急に立ち止まった。 *

 

さとう三千魚

 
 

I wonder what about

midnight
look for

find no words

old sister
old brother

I’m glad to meet you

mom
granny

father

are you alive

is it
dead

I’m near that place

I saw the surface of the water from the bottom of the river
the sun was shining
it was shaking

summer
the aquatic plants sway
the fish are swimming with their tail fins waving

kissed
sweet lips

I ate watermelon

you died after Fukushima

Tamiya
how are you

it’s a peasant

I met Mr. Ozawa at a coffee shop in Yonago

yet
I divide the language array

yet
I divide

I wonder what about
I wonder what about it

beyond no words

find you

midnight
I hug moco on the sofa

moco
warm

He stopped short at the gate *

 
 

どうなんだろうか

深夜に
探す

ない言葉を探す

姉さん
兄さん

会えてよかった

かあさん
ばあさん

とうさん

生きていますか

死んだ
のですか

その場所の近くにいます

川底から水面を見ました
水面にお日様が輝いていました
揺れていました


水草がゆらゆら揺れます
魚たちが尾びれを振って泳いでいます

口づけ
した

くちびる甘い

西瓜を
食べた

きみは福島の後で死んだ

民也さん
元気ですか

百姓だね

米子の喫茶店で小沢さんと会った

未だに言語配列を分断しています
未だに

分断

どうなんだろう
どうなんだろうか

ない言葉の先に

いない
きみを探す

深夜
ソファーでモコを抱きます

モコ
暖かい

彼は門のところで急に立ち止まった *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life