また旅だより 35

 

尾仲浩二

 
 

どうやら梅雨が明けそうな東京。
長い暗室作業が終わった。
コンタクトシートを見て選んだカットのネガを取り出す。
時計の修理の時に使う様なレンズを目に挟み、ネガに付いている埃を取る。
ネガフィルムをネガキャリアに挟み引伸機に入れる。
イーゼル上でトリミングを確認しルーペでピントを合わせる。
ポイントとなる部分にテストピースの印画紙を置き露光。
自動現像機にテストピースを挿入し、しばし待つ。
出てきたテストピースを水洗し乾燥機へ。
テストピースをチェックして露光時間と三色のフィルターを調整。
調整作業を幾度か繰り返し、落とし所を見つけ本番プリント。
色味、露光時間、見落としていた埃など調整して再度プリント。
この作業を暗室で25日ほど続けていた。
来週からは猛暑となるのだろうか。

2021年7月15日 東京中野にて

 

 

 

 

 

松田朋春

 
 

おれはいまから
じぶんをひとじちに
しをかこうとしているんだ

んだ
がただしいのかな
のです
なのかもしれない

あそこにあるごみが
なくならない

家事の音も聞こえている

しあわせだと言えたことがない

猫に聞く

結束バンドで首をしめるのが確実だと考えて
そのことをずっと
考えている

龍角散のイメージが
ときどきある

赤い結束バンドをAmazonで買って
あちこち使っている
シャワーカーテンのリングとか

結束バンドのことをよく考える
米国の逮捕現場では
親指を重ねて
手錠替わりにする
ほんとかよ

あともどりできないところがすごくすきだ
だから結束バンドは
赤にするべきなんだよ

赤に

はやくしなければ