不忍

 

工藤冬里

 
 

木を切る百姓が僕は嫌いだ
折角生えた桐なのだから、娘が嫁に行く時に箪笥を作ってやれば良いではないか
庭木を切る家も僕は軽蔑する
切るくらいなら植えなければ良かったのではないか
家よりも木の方が大事だということを家は分かっていない
落ち葉を掃くレレレを僕は哀れに思う
植え込まれたのは底の浅い封建であって真の管理ではない
這い上る蔦の根元を断ち切る壁を僕は憎らしく思う
間違っているのは素材であり工夫すべきは屋根の方だからだ
今は忍冬を愛でる季節であり
忍んではならない池もあるのだ

 

 

 

 

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