河口へ

 

さとう三千魚

 
 

川沿いを

はじめは
歩いて

川の曲がるところで
佇ちどまり

水面を見ている
水面に空がいる

屈伸して
膝と

足首を弛めながら

水面を
見てる

土手の斜面に
オオキンケイギクかな

ランタナも
咲いている

どちらも
外来種か

それから掌をひらいて
空にひらいて

走っていく

土手の雨上がりのアスファルトの
歩道を

カタツムリや
ナメクジや

ミミズ

ゆっくり
歩いてる

いくつか
踏み潰されている

やがて

河口の
水門の前で

不二を見る
いつも見る

見えない時も見る

河口には
野良たちがいる

野良たちは餌を待っている
おじさんたちが

おとなしく
餌をやっている

野良のそばに鴉もいる

野良も
鴉も

やがて土に帰る
ひとも土に帰る

カタツムリや
ナメクジや

ミミズ

ゆっくりと
歩いている

ゆっくり河口を行く
ゆっくりと土に帰る

そこにいる
みんないる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

古い唇は黄土色の喜びを

 

工藤冬里

 
 

ハライソまでもうひと眠り
鳥は空からの感情
Jegar-sahadutha(エガル・サハドタ)
敵たちさえ友好的になる
当面は正しいように見えるので
即興で悪を利用する
柳井港から暴力の光市へ
殴り合う政治家たち
半島経由の少しだけ手の込んだスカッとするムービー
断酒も祈れるのか
張り合いでラクダ色してんじゃねーよ
古い唇は黄土色の喜びを
彫刻は3Dプリンターから
記憶の映像はAIから作られていて
何もない荒野でどうやって焼き鳥屋を
渇望の墓場Kibroth-hattaavah(キブロト・ハタアワ)
古い唇は黄土色の喜びを

 

 

 

#poetry #rock musician