michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

經書最後的一句
経典の最後の言葉

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

遙遠的海隱約祈禱,
我用神造就的耳朵
緊緊握着大水聲音,
被說出的話傾倒在廣場上。
難道! 在星辰的碎片上
還能收拾潰敗的光?
這些被救的詞語,面目荒涼。
請在途中讀出無法縮減的骨頭,
肋穹將是我的住所
一個最初的房間,
在我眼中盛放的花是簡單的。
無邊的落木蕭蕭復蕭蕭
彷彿在拯救時間的金子。
只是雙眼遺落在血的深淵
在深邃中試圖睜開!
暗黑之中,夜不再是夜。

經書裡最後一句:開始。

 
2023年3月21日 春分

 
    .
 

遙遠的海隱約祈禱,
 遙かな海にひそやかに祈りが込められ、
我用神造就的耳朵
 私は神の造った耳をもって
緊緊握着大水聲音,
 しっかりと大海の音を握りしめ、
被說出的話傾倒在廣場上。
 話された言葉は広場に注ぎこまれている。
難道! 在星辰的碎片上
 まさか!星々の破片の上に
還能收拾潰敗的光?
 まだ潰えさる光をまとめられるというのか?
這些被救的詞語,面目荒涼。
 救われた言葉たちは、荒れすさんだ相貌をしめす。
請在途中讀出無法縮減的骨頭,
 道半ばでもう縮こまりようのない骨のことを解ってほしい。
肋穹將是我的住所
 あばらのドームが私の住みかの
一個最初的房間,
 最初の一間の部屋となり、
在我眼中盛放的花是簡單的。
 私の眼中に咲く花は質素なものだ。
無邊的落木蕭蕭復蕭蕭
 果てなく拡がる木々の落葉はサラサラと音をたて続け
彷彿在拯救時間的金子。
 まるで時間を救う黄金のようだ。
只是雙眼遺落在血的深淵
 ただ、両目は血の深淵に落ちて失せたが
在深邃中試圖睜開!
 奥深いところで眼を見開こうとしているのだ!
暗黑之中,夜不再是夜。
 暗闇の中で、夜はもはや夜ではない。
經書裡最後一句:開始。
 経典の最後の言葉は:「始めよ」

 
2023年3月21日 春分
 2023年3月21日 春分

 
 

日本語訳:ぐるーぷ・とりつ

 
 

 

 

 

羅宇屋

 

廿楽順治

 
 

象が
うずくまっていた

(じぶんの現象に夜通し泣けますか
 ってんだ)

羅宇屋の
汚れた指さきが

べったりと
わたしの夢の先端へ伸びてきた

どれどれ直してあげましょう
と声がやってくる

この場所では
あなたは もう「わたし」ではないのだから
というように

象はさらに
象のなかへうずくまる
(影はそれなのに少しもへらない)

ですが
その夜のくせはきっと直せますぜ

羅宇屋が
象の影とならんで

 

 

 

sweet here after

 

原田淳子

 
 

 

まだ知らない
遠い窓をあける

報いを求める哀しみから焦点をずらす
ぼやけた未来を波に浮かべる

嘘ではない
複数の真実が芽吹く

枝分かれの時間

あの空に響く真実だけを選ぶ

ミモザの漣

哀しみだけが陽に反射する

死を風に溶かすと光がみえた
あなたをとうりすぎる風になり、笑う

光の速さで
分裂しながら生まれくる

貝は溶けるという
わたしの骨とおなじように

描かれた花だけが残る
花のうえをあなたの風がとおりすぎてゆく

去りなさいと風がいう

苦さの極みのあとに
sweet here after

土はあたたかく
無はやわらかい

窓は開け放たれたまま

 

 

 

水仙の花の、咲いてる 05

 

さとう三千魚

 
 

一週間が過ぎた

過ぎたのか
過ぎていったのか

こだまで
由比のトンネルを抜けるとき

海を見なかった
見逃してしまった

富士川を渡った
熱海を過ぎた

小田原の早川を渡った

恵比寿では
広瀬さんと会った

深瀬昌久の洋子に会った
サスケに会った

美深の家族たちに会った
ブクブクする深瀬昌久に会った

赤坂では
桜島の写真の前で楢橋朝子さんと会った

それから伊藤時男さんと会った
井上有一の花とも会った

伊藤さんと
奥さんと

六本木で中華そばを食べた
ビールも飲んだ

子犬をおんぶして
劇場や街を歩いたという奥さんの話が可笑しかった

それから
高円寺で

芋を飲んだ
ロックだった

うれしかった
うれしかった

彼らは
そこにいた

静岡駅では貨物列車が通過するのを見ていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

GPT-4がつく嘘のように

 

工藤冬里

 
 

朝、砥石山で洞穴が風で鳴る音が聞こえた
低いソとファの2音あった
また巡り来る晩年の
紛うことなく春であった
から吉増は止します
黄砂を伝ってWi-Fiは
トンネルでも義経の八艘飛び
ビニールハウスの中には高速が走っていて

腰掛けと思って本腰を入れないスピード・オブ・ライフ
植えたり建てたりすることはない
来世のような未来を連れて地球を散歩させている
GPT-4がつく嘘のように
咳き込んだ後、画面には両力士の出身県が左は埼玉、右は兵庫、と出ていた
カレーの中でうどんは大腿部のように沈んでいた
大抵のポットは鳥を模しており
うとうとしていたら撃たれた
サカナのpendantしてるやつの服の綻びが見えるくらいには時節を弁えているつもりだ

 

 

 

#poetry #rock musician

レンジでチン

 

辻 和人

 
 

午後5時半回った
コミヤミヤとこかずとんはミルク飲み終わって眠ってる
今がチャンス
キッチンへ急げ
司令塔ミヤミヤは育児情報の収集やら何やら忙しいから
ごはん担当はこのかずとんが務めます
と言ってもぼくにできるのは
ただ炒めるただ焼くただ煮る
それじゃ味気ないって
週2回O社のミールキット使ってお料理だ
レシピ付きで材料がおまかせで送られてくる
ポークビーンズ風煮込みに香味ネギだれチキン
所要予定時間20分簡単で結構おいしいぞ
さて今回はサメの竜田揚げとインゲンと枝豆の白和え
サメだってさ
フカヒレ取った身使ってるらしい
まず副菜の白和えを作ります
サイコロ豆腐をレンジでチン
インゲンと枝豆もレンジでチン
ビニール袋に移して添付の調味料入れて揉んで水気切れば
ありゃまもう出来上がり
いよいよ主菜のサメの竜田揚げ
付け合わせのナスとオクラをレンジでチン
サメの身はもう衣ついてる
強火でジュッジュッ
耐熱容器に添付のつゆと水入れて混ぜ混ぜタレ作り
はっ、またまたチンだ
揚がったサメの身とナスとオクラを器に移して
チンしたタレかければ
ありゃまもう出来上がり
5時55分、予定通りだ、ミヤミヤ呼んでくる

チン、チン、チン
さすがミールキット
加熱に極力鍋使わない
チンしなかったらこの時間に出来上がらない
洗い物も少なくするのがこのキットの良いトコ

コミヤミヤとこかずとんが目を覚まさないうちに
早いトコ食事済ましちゃおう
「サメ肉、意外に淡泊で揚げ物に合うね」
「白和え、ゆず風味なんだね。ちょっと思いつかないかな」
ミヤミヤにも好評
良かった良かった、でも
ぼくが作ったけど
ぼくが作ったとは言えない
「お届けする食材」から「仕上げる」まで
番号つきで全部手順が書いてあるんだもん
その番号と番号の間を
チン、チン、チン、が
通りすぎる
目を覚まさないうちにやる
今のぼくたちにはこれが一番大事
チン、チン、チン
食べ終わったら早いトコ片づけてお風呂の準備しよう