michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

追いつけぬ、春

 

ヒヨコブタ

 
 

濃い紅色の花が咲く頃はとても嬉しいのに
薄く色づいた花が咲き始める頃
わたしは落ち着かなくなっている
毎年のことだ
と言い聞かせようとして
さて
毎年がここ数年は少しずつ異なっていることを思い知らされて
また落ち着かない心持ちになる

家の窓口になるというのは
不幸があってもお祝いがあってもさしてかわらないのだが
不幸が続くと
花をみる心も揺らぎ始める

墓参りを済ませ
すこし清々しく感じても長続きせず
年老いて気弱になり始めることばを吐く人たちに
ゆらゆら揺らされていることにも気がつく
平気な顔をしてそれらを片付けては
ため息のような空気がこころにたまっている

変化していくのはなにも子どもの頃だけではなかったのだ
大人になり年々季節が変わるのに追いつけなくなっているじぶんがいる

わたしの年齢にかつて暮らした親を重ねてみても
なんだか心許ないのは
そのひとたちに心底安心を得て過ごしてきていないからではないかと
責任転嫁してみる
いや揺れ動くじぶんを
操ったり宥めたりすることが
まだまだ不得手なのだと
思い知らされる気がする

春を待ちわびていたのは
何かが変わるからだった
いまはそうではないのかもしれない

日々新聞をひらくとそこには猫が乗り
撫でろと鳴く
一枚捲るのに宥め撫でながら
すこしの安寧がそこにあることを思う
猫は撫でて欲しいのか
はたまたそうではないのか
わからないまま撫で、ブラシをかける
気が変わりすとん、とジャンプをして
また寝入る猫に
羨ましいようなほっとするような不思議さ

春は嫌いだといえばいいのか
いや春は好きだ
いまのじぶんの心持ちが好きではないのだと
離れたじぶんがじぶんをみている

 

 

 

She wept like anything.
彼女はひどく泣いた。 *

 

さとう三千魚

 
 

because the woman is going to aerobics

to the station
by car

I sent her

on the way home
I came back a shortcut along the river

Somei Yoshino cherry blossoms were in bloom along the river

flowers

concently
bright

in the evening
I’m going home

so the woman said

we had walked under the flowers with her mother

She wept like anything *

 
 

女が
エアロビに行くというので

駅まで
車で

送ってきた

帰りに
川沿いの

近道を帰ってきた

川沿いにソメイヨシノの花たちが咲いてた

花は

こんもりと
あかるい

夕方には
帰るよ

と女は言っていた

花の下を女の母と歩いたことがあった

彼女はひどく泣いた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

pass over musings

 

工藤冬里

 
 

一番大事な満月が明日です
血と体が目の前を過ぎるのを見守るという
一瞬だけのメモリアルですが
‘リアル’と踏みたいとは思いません
発酵は明日は罪です
松山は昨日は59人でした
マスクはよく忘れます
猫と目を合わせても負けなくなった
終活(ルビをアルシーヴ)に疲れたからかな
今日は39人
罹ったかも このまま治らないかなあ

 

 

 

#poetry #rock musician

This poem is attributed to him.
この詩は彼の作品とされている。 *

 

さとう三千魚

 
 

awake

blue sky morning
windowside

bulbul standing

wild cherry blossoms were blooming in some places on the west mountainside

This poem is attributed to him *

 
 

目覚めて

青空の朝の
窓辺

ヒヨドリの佇む

西の山の中腹のところどころに山桜は咲いてた

この詩は彼の作品とされている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

キャンセル・カルチャー

 

工藤冬里

 
 

期日のない〆切は迫り 迫るほどに遠ざかるが 全ては同時だという考え方が 死を囲いに追い込む どの政府も悪く思わないようにするが 巷に捨てられた銀を見てから優先順位を定めてももう遅い 戦況はどうですか マタニティードレスの険しさの中に 平和の蟲は忍び寄る

 

 

 

#poetry #rock musician