michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

addicts

 

工藤冬里

 
 

泰山木の分厚い中生代に夏は
依存のミトコンドリアを配置する
イスラエル産のグレープフルーツは買えないな
漢方にも合わないしね
no heaven
そこにいないというのはさびしいことだ
輪廻とか進化とかグレープフルーツ大のおにぎりにして
馬鹿らしいけど私は店長
ヒジャーブから覗く愛国
1989に壁が崩壊し、そのタイミングで
矢張りというかフェンタニルのゾンビサッカーが白粉の上塗り
そしてすれ違う殆どがスマホに目を落としていてヤバいと思う
たぶんゲームしながら運転してんじゃないかな
きっと酒も飲んでる
大五郎とか
予定説に陥って恨む状態から抜け出るには振り返ることが大事だった
他者としての水戸コンドリア
すこしこらしめてやりなさい!

 

 

 

#poetry #rock musician

花たち

 

さとう三千魚

 
 

女が出かけるのを

見送りに
出て

今朝

ひらいて
いた

薄みどりの花芽の
膨らんで

クリーム色に膨らんで
白い

花は
咲いた

義母が逝って
犬のモコが逝った

鉢から
金木犀の木の下に

カサブランカを移し
植えた

光を求めて茎が横に長く伸びるのを
紙紐で吊り下げて

支えた

カサブランカは
花弁をひらいた

一つだけ花は大きく白くひらいた

花の中に
モコがいる

花の中に義母がいる
たこさんもいる

カサブランカの花の中心には太い雌しべが突き出ている
その周りを紅い花粉にまみれた6本の雄しべたちが取り巻いている

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

半端な永遠

 

工藤冬里

 
 

半端な永遠のお陰で明日が不安で仕方がない
いっときの快楽のために安定性を放棄するのは愚かだ
と言って蒟蒻の中を泳ぐ
成瀬というような苗字の
戸籍をひらひらさせて
泳ぐ泳ぐ案件の中を
Amazonの半端な永遠の中を
もうすぐ死ぬというのに
血判だとか半跪拱手とか
課金するわけないじゃん
柳井から帰る

 

 

 

#poetry #rock musician

壁で壁を乗り越えろ

 

辻 和人

 
 

あれ、できないよ
できなくなった
壁相手に
腕バッタバタ
足パタパッタ
寝返りラクラククルックル
ずり這いジェット噴射ゴーゴー
なのに
あれれ、突然できなくなった

模様替えで1階の大人用の見守りマットを取り払ったんだ
1階は平べったいお昼寝マットだけ
ここで問題発生
コミヤミヤもこかずとんも見守りマットを練習用の壁に見立てて
えいっえいっ体動かしてた
壁がないと反動使えない
平たい面でも寝返りの稽古はできるけど
ダイナミックにクルッというわけにはいかない
何だか物足りない
何だかつまんない
寝返りしてて急に泣いちゃったりとか
ごめんね
かずとんパパ気づかなかったんだよ
何で最近急に不機嫌になるんだろうって

そしたら賢いミヤミヤママ
オムツを入れる箱と洋服入れる箱を並べて
「これを即席の壁にしましょう」
すぐさま始めたよ
コミヤミヤが腕バッタバタして
背中クルックルころっくる
こかずとんが足パタパッタして
ジェット噴射前進ゴーゴー
赤ちゃんってのはこんな練習を重ねて
ハイハイができるようになるんだなあ
ハイハイへの壁は
壁を使って乗り越える
壁で壁を乗り越えろ