michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

hole 穴

 

母の
腹から

産まれた

憶えてないが

空白から
産まれたのではない

母は
絹といった

一人娘で

兄は
沖縄の戦争で死んだから

苦労もした
水をはった田圃に

屈んだ母の
姿を憶えている

空白から産まれた
のではないが

そこに
帰る

笑っている