さとう三千魚
窓辺に
小鳥が来る
いつか
山鳩が来たこともあった
息をころして
見ている
餌を
啄んでいる
下の道を
隣家の
猫が通る音がする
黒猫は
首に鈴をつけている
・・・
** この詩は、
2024年8月23日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第8回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。
#poetry #no poetry,no life
窓辺に
小鳥が来る
いつか
山鳩が来たこともあった
息をころして
見ている
餌を
啄んでいる
下の道を
隣家の
猫が通る音がする
黒猫は
首に鈴をつけている
・・・
** この詩は、
2024年8月23日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第8回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。
#poetry #no poetry,no life
毎晩風呂に入るので、毎朝風呂を洗っている。
たいていの汚れは落ちるが、擦っても擦っても落ちないのが、いつの間にか風呂の内側の壁面についた茶色い滲みだ。
それは、長年にわたって俺と妻と息子が、代わる代わるこの狭いプラスティックの箱の中に入って、擦りつけた薄茶色の澱だ。
それは、人間の澱。動物の澱。動物の体内からにじみ出る分泌物。
どういう成分だか分からないが、ともかく有機物の澱だ。
この薄茶色の澱をじっと見つめていると、なぜだか昔のいろいろを思う。
なぜ青山で一人暮らしをしていたトップモデルは、ぐらぐら煮えたぎる熱湯の中でまっ白な骨になってしまったのか?
なぜサカイくんは、深夜の浴槽で不慮の死を遂げたのか?
なぜユダヤ人たちは、アウシュビッツで殺され、なぜ私は、ぬくぬくと生き延びてあたたかなこの湯の中でひと時のしあわせを享受しているのか?
いつか私も、父母のように突然心臓まひや脳卒中に襲われ、それがこの薄茶色の澱のついた浴槽で、声なき助けを呼びながら、ひとり真夜中に息絶えるのかもしれない。
さっきから「傘がない、傘がない」と、陽水が歌ってる。
線状降水帯の集中豪雨を眺めながら、やけくそのように歌ってる。
いよいよ台湾有事の大戦争がはじまったが、
徴兵前に、好きな女を、も一度抱きたい。
だけど「傘がない、傘がない、傘がない」と
まるで拓郎みたく歌ってる。
傘がなければ、なくてもいいじゃんか。
雨に濡れ濡れ走っていけば、好きな女と、も一度デキルじゃんか。
そう思うけど、このニッポン一の優男は、小名木のリバーサイドに佇んで
「傘がない、傘がない」と、いつまでもカッコつけている。
なるへそあんたは、日本全土をすっぽり包む外国製の巨大な傘じゃなくて、
エゴマ油がぷんぷん匂う、小さな、小さな番傘が欲しいんだ。
相も変わらず「傘がない、傘がない」と陽水が歌ってる。
線状降水帯の集中豪雨を眺めながら、やけくそのように歌ってる。
2000kmほど
クルマを運転した
静岡から山梨
長野
新潟に抜け
出雲崎の丘から海を見た
向こうに
佐渡が浮かび
西域かと思えた
柏崎の宿に泊まり
柏崎から
富山
金沢へと向かった
金沢は観光客で賑わっていた
かほく市で海を見た
金沢では
四角い池の
平らな水面を見つめるヒトを後ろから見る
駅前のホテルに泊まる
富山に戻り
岐阜を通り
名古屋に抜けて帰ってきた
2000kmほど
運転した
女は運転が怖くて眠れなかったと言う
帰って
毎朝
小川沿いを歩いている
西馬音内の盆踊りも終わったろう
今年は踊ろうかな
そう電話で
姉は言っていた
風鈴の音を聴いている
風が吹いて
風鈴が鳴っている
#poetry #no poetry,no life