michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

池でないものを

 

駿河昌樹

 
 

停滞そのものとなって
人生
などという
大それた巨視を
すっかり放棄してしまった人が
きっと
はじめて
詩のようななにかを
書き止められるのかもしれないと
思っている
いつも

思いながら
ない池の
ほとりにたたずんで
見ている

池でない
ものを

 

 

 

道迷い ふらふらカンレキ  蕗のとう

 

一条美由紀

 
 


嘘は快感となり、舌の上を転がっていく
腐敗した祖父は甘い香りを放つ
段ボール製のベッドはいつも私に優しい

 


旅行記は書かない
キウイをたくさんもらったから。

 


お互いの痛みと暖かさを手を触れた途端に分かり合えたらいい
全て自分のものにならなくても、欲しい時には
いつでも持ってる人から貸してもらえる
死は怖いことではなく、また生まれてくることができる

なぜ神様はそんなふうに人間を作らなかったのかな。
ま、
そんな世界に人間は居たくないのよね。

 

 

 

There is a post office close by.
すぐ近くに郵便局がある。 *

 

さとう三千魚

 
 

recently
without going out

in the living room
playing with moco

reading a book on the sofa
I’m doing

the woman
she was there this week

she says she will go to work next week

also
I will live with moco

to a distant friend
I’m going to write a letter

There is a post office close by *

 
 

ここのところ
外に出ることも

なく

居間で
モコと遊んだり

ソファーで本を読んだり
してる

女は
今週いてくれたが

来週は仕事を行くといっている

また
モコと

ふたり暮らしになる

遠い友人に
手紙を書こうかな

すぐ近くに郵便局がある *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

凍てつくあたたかい夜明け前

 

工藤冬里

 
 

起伏の中に嵌め込まれた白の像が輝き
風景は初期の油絵のように塗られている
詣でる人らの中のペパーミントのジャンパーが
ザクロの川を渡る
机が鋭角に描かれる
机にナッツの袋が重たい
結婚式のようなネクタイをして
ひたすら待つ
カーテンは重力に従って時間のように垂れているが
過去形の夫の癌は治らない
根こそぎ解決するえらい人たちはなぜセーラー服のようなマントを着ているのだろう
一兆円を超える金銀銅が寄付されたが
鰓はそのまま
今まで食べたサーモンたちの下顎のことを考える
頭が痛い
目を閉じるとフラフープが見える
半泥子の「あけぼの」のようだ
燃える黒い心臓
凍てつくあたたかい夜明け前だ

 

 

 

#poetry #rock musician

Preparations are already under way for the Olympic Games.
オリンピックの準備はすでに進行中だ。 *

 

さとう三千魚

 
 

“woman talks too much”

the remarks of the uncle of the construction worker in the neighborhood have become a hot topic.

it must have been an honest opinion to the uncle
it didn’t work in the world

Apollo’s moon landing
Tokyo Olympics
EXPO ’70 too
Bubble too

there would have been people in this country who lived independently

they would have lived in the land

after the tsunami
a lot of small boats arrived in the cove

there was a cry there

we can’t see the radioactivity
we can’t see the virus

Preparations are already under way for the Olympic Games *

 
 

“女は喋りすぎる”

近所の土建屋のおじさんの発言が
話題になっている

おじさんには
正直な意見だったのだろう

それが世界には通用しなかった

アポロの月面着陸も
東京オリンピックも
EXPO’70も
バブルも

無関係に生きた人たちがこの国にいただろう

彼らは
その土地で生きていただろう

津波の後
入江に小舟がたくさん流れ着いた

そこに叫びがあった

放射能は見えない
ウィルスは見えない

オリンピックの準備はすでに進行中だ *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

立春(節分)

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

五時五十分;黑夜猶豫徘徊
林中廢墟,雀鳥開始噪鳴。序
六時三十五分;微風微蜜蜂,嗡嗡嗡
弦外鋸來往來往,悲痛的木 一杯
七時十八分;一個祈禱。聚攏
無池的盡頭,反動城。這片水,淚光鯭難逃
鼓。很遠很山很海九時四十八分
我把蜜塗在門上,等你
光線來,輕若羽劃
精雕細刻。十一時五十九分 灰色。
一年之初并不重要。釘子釘上就立春。

 

 

・翻訳はこちらで
https://www.deepl.com/translator

 

 

 

法廷

 

工藤冬里

 
 

判決前から有罪と決まっている生を
法廷に運ぶ
何でこんなことのために生きてきたのだろう
ハグをはぐらかして今生の別れ
デモからの古典的なしょっぴかれ方ではなく
仕組まれ押し入られ拘束されるという劇が刷り込まれるが
未来がないとしたらその時にはもう死んでいるのだ
時間を消すことで生きようとしている右翼らは
自分がすでに存在していないことにさえ気付かないまま
時間ではなく出来事に組み込まれていく
古典的時間に生きる左翼らは
時間がすでに存在していないことにさえ気づかぬまま
出来事にではなく存在しない未来へと立ち消えてゆく
法廷は存在しない
法廷とはすでに結審した何かだからだ
そして尚且つ生きねばならぬというテーゼだけが
体に与えられているのだ
逃げ道としての死が封じられ
犬猫を放っておけない類の情の時代となるだろう
身体は餌代で破綻したゴミ屋敷となるだろう
海よ法廷を飲み込めと彼らは叫ぶだろう
川よトラウマを流せと彼らは叫ぶだろう
山よ地下基地を覆えと彼らは叫ぶだろう
そして死刑が宣告されるのだ

 

 

 

#poetry #rock musician