michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

From the top of the hill you can look over the city.
その丘の頂から町を見渡すことができます。 *

 

さとう三千魚

 
 

staring at the west mountain

morning

when I wake up
open the window of the room

staring at the west mountain

the west mountain were under the clear sky

the west mountain
the top was hidden in the rain clouds

the west mountain
a white cloud was floating above the top

there were such days

there is a woman who once lived over the west mountain

have children

the west mountain is a blue-green mountain

probably a massif of several mountains

I have walked halfway on the farm road

there is a orange field
the oranges were growing

the blue sea was spreading under my eyes

From the top of the hill you can look over the city *

 

 

西の山を
見る

目覚めると
部屋の窓をあけて

西の山を
見る

西の山は晴れた空の下にいた

西の山は
雨雲に頂が隠れていた

西の山は
頂の上に白い雲が浮かんでいた

そんな日々があった

西の山の
向こうに

かつて暮らした女がいる

子どもたちがいる

西の山は
青緑の山だが

いくつか山が集まった山塊なのだろう

農道を登り
途中まで歩いたことがある

みかん畑があり
みかんが実っていた

眼下に青い海がひろがっていた

その丘の頂から町を見渡すことができます *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

入院した日本語

 

工藤冬里

 
 

顳顬から眼底にかけて疼き
薄らと吐き気を伴う
青寄りのピンクを引っ掻いて地が見えるのがアートっぽいがそれどころではない
白を巻いたきみは白本語を話さない
ただ家を燃やしたいだけだ
白の家を燃やす
束の間の無痛の他は
ただ白を燃やしたいだけだ
ただ日を燃やす
無痛分娩した憎しみを育て上げ
大学に送り出す
箱はピグメントの黒
扁桃腺に舌の先を当て
熱燗で作るカップ麺
きみは擂り下ろされて
白本語を話さない
エイの言葉を話す
エイはひらひら話す
「ああすがすがしい
戦争前夜の黒い溝の上澄みのような気分だ」
太い道が出来ちゃってるけどほっといたら治るんじゃないの
通行止めにするには警備員雇わないと
バイパスは作れない
先に新道作ってから後で旧道作るようなものだから
役者の自殺が多いのはそういうことか
重層的非決定へ、などと言えていた余生も過ぎ
日本語は多重を生きられなくなってきたのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

He was dressed in an old coat that had seen better days.
彼は使い古された上着を着ていた。 *

 

さとう三千魚

 
 

before noon

He was at the desk
suddenly

He wanted to stare at the sea

He is empty
so he wanted to stare at the sea

He didn’t take the dog Moco

on the beach
the wind is blowing

seagulls were flying

the waves hit the tetrapod and were breaking

there were clouds over the distant peninsula

the man
was blown by the wind

He was dressed in an old coat that had seen better days *

 

 

昼前に

彼は机の前にいて
ふいに

海を見たくなった

スッカラカンになっていて
それで

海を
見たくなった

彼は犬のモコを連れていかなかった

浜辺には
風が吹いていて

カモメたちが飛んでいた

波がテトラポッドにあたり砕けていた

遠くの半島の上には雲がいた

その男
風に吹かれていた

彼は使い古された上着を着ていた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

to Jesus

 

工藤冬里

 
 

言葉は作れないのでフォントを作った
歳を取るのは今だけの特権なので
はみ出た絵画を白髪染めにしてみた
自分を捨てるのが好きなので
額縁は犬にやった
池のほとりで眠くなり
水草の上を歩くのを忘れた
小さい花が付いていた
Jesus
顎でブリーフな遺言を認め
病室で天敵にマウントを取った
昼食は酸い太陽だった
梅干しの核子のように捨てた種の中で
白いカップルが抱き合っていた
もう少し
死んでいようか
びっくりして飛び出した
賢い兎だったが
消し忘れてはみ出した白
点滴の逆さの青空

 

 

 

#poetry #rock musician

I am tired with walking.
私は歩き疲れている。 *

 

さとう三千魚

 
 

afternoon
before going out

I was listening to Morrissey singing

became an uncle
Morrissey

I was listening
” IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL ” **

I was listening to his song

He sang
” the future is ended by a long, long sleep ” **

Morrissey

Uncle Morrissey
Uncle Morrissey

close your eyes and sing

sing

Morrissey
became an uncle

the future is gone

I am tired with walking *

 

 

午後
出かける前に

モリッシーが歌うのを聴いてた

おじさんになった

モリッシーを
聴いてた

“IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL” **

彼の歌を聴いてた

“未来を終わらせるのは 長い長い眠り”と歌っていた **

モリッシー

おじさんのモリッシー
おじさんのモリッシー

目を

瞑って歌え
歌え

モリッシーはおじさんになった

未来は
過ぎ去る

私は歩き疲れている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** モリッシーの歌「IN THE FUTURE WHEN ALL’S WELL」から引用.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

I’m Thinking of Ending Things 2

 

工藤冬里

 
 

もう十分行くとこまで行ってると思うよ
命の価値と同じくらいに
裏返りは裏返り裏返り
時間軸なんて無いも同然
表も裏も無くなってから誕生した生権力
体はもはや日本でさえなく
脳死から心停止までの間を生きるだけ
受けるより臓器を与えるほうが幸福です
という原則で栽培される哺乳物
と鈴虫しか居ない

 

 

 

#poetry #rock musician

また旅だより 25

 

尾仲浩二

 
 

大阪での打ち合わせが終わって京都へ行った。
観光客がまばらな四条河原町。
普段は泊まれないちょっといいホテルも投げ売りしている。
なので連泊してパソコンで仕事をすることにした。
日中に散歩してみたけど暑すぎて危険。
食事は隣のスーパーの惣菜。
ほとんどホテルにて京都にいる感はほとんどない。
四泊した最後の夜にひとり鴨川の河原で飲んだ。
いい風が吹いていた。この夏の思い出。

2020年8月27日 京都にて