広瀬 勉
女が
チケットを
買った
相撲を女と見ていた
台風の後で
見ていた
幕下以下の
裸の男たちが
土俵のうえで稽古をしていた
肉が肉にぶつかって
音をたてていた
土俵から叩きおとされている
裸で
擦り剥いたら
痛いだろう
鼻血を出している
裸の
幕下以下の
男たち
たまに笑ったりしている
汗を流している
裸の胸が光っている
花道を勝って帰る力士がいた
負けて
帰る
力士もいた
篤い人は
裸で
ひとり帰ってくる
* 工藤冬里の詩「ABOUND」からの引用
散文的な夜に
散文的な夜には
話し掛けてくる逆光の輪郭はずれ
冒した過ちは
原始的な蓋の容れ物に三角に押し込む
声を大きくすると
秘密を真珠にして
杞
一喜一憂するふたつの管
が水平に下りてゆく黒暗
水平なのに下りてゆく気がするのは
耕作地の向こうが闇だからだ
発音を何度も聴き
神はふたりだけ
流れ込む(merge)支流が行き場を失って溢れた
名前年齢身長服の特徴
水槽の脇で
地元を案内
白黒の鞘入り乱れ
玉蜀黍を思わせる
穴は上昇する
河床勾配は5/1000
湿った灰水色
rover時代のmini
スバルN360を大事に乗っていたら
蛾の服に穴はない
邪悪な天使
ある人は怒るかもしれません
あなたの神は偽の神
光る竹観たすぎ
嫌らしい和風
祭りと祭りを合わせ
穴と穴を合わせる
篤い人
LGBTのガスボンベを交換
旅を良いものにしてくれる筈
本当かどうかは
付いて行かねばわからない
その辺を二つ穴から考えてゆくことにいたしましょう
門構えの形をした門が見える
視線の歩むべき道を教える
秘密を明らかにする
友情について
愛の壮大
一時的に間違った
失われたカ行の発音
さらに愛情深い
父親
オレンジnaranjaの車
書き順を逆に 寄り添う
蒔くと鳥の群れ
ミトコンドリア型錠剤
抉れた左部分が光っている
実際に崇拝されている神はふたり
像 帽子
世とは
ふたりの銀座
本流支流どちらかを選べ
ふたつの管を逆上る
美雨はしゃあしゃあ
抜け殻に本体の蝉の響
釈放されてもすぐに去るのではなかった
ABOUND
掴め
ただ持つんじゃなくて掴め
keep a tight grip
in the word of life
let your love abound
in the hard rain
abound with this hard rain
knowing I ran in vain
or worked hard in vain
be flawless
in the hard rain
knowing that I have run in vain
or worked hard in vain
be flowless
有機体の内部では痒みは
とどめられるどころか
かえって広まっている
be flowless
in the word of this organism
in this flow
river flows
through this organism
シニセヨ シニイタセ シニサラセ
シカシテ、シルベナイ、シニザマヲ
シカトシルシ、シレシレシレイ
京急カミオオオカ カミノオオオカ
オカミノオカ オオオオオオ オオオオカミ
崎陽軒十二個入りの焼売
マレに飛ぶ飛ぶ
あぁ、「ひょうちゃん!」
小さな醤油入れがヒュー、ヒャー
小舟のようにころがる
楊枝は流された櫂
さよなら! ひょうちゃん!
シハシハシハと泣くシユウマイ
シュウマイのシュウマツ
焼売軍団、噴射!
窓にはりつくヒダヒダを
剥がして舐める
んまっ!
似合いはジンビーム
目指せ、上海
三日月の切っ先
飛ぶ飛ぶシュウマイ
一コ、ニコ、三コ
肉汁クレーター
ミンサーに足から入れて
(けっこう固い)
シュウマツのシュウマイ
作って作らされ
(つぶつぶの君、切れ切れの言葉)
ピース混ぜてみた
私の詩集の校正をしているのだが、目次に聞いたことも見たこともないタイトルが続々と登場するので、いったいこれはどんな詩に対応しているのかさっぱり分からず、右往左往しているわたし。8/2
スズキ氏の新刊が出たので、その編集者に会いたいと思って、版元まで直行したのだが、彼女は超多忙で、とても面会できそうにない。ふと足元を見た私は、両足がいつの間にか毛むくじゃらの密毛で覆われ、右足の踵の上の白骨が剥き出しになっているので驚いた。8/3
真夜中に社員寮に住む社員をホールドアップさせた怪盗がいたが、頭髪が逆さだったその後ろ姿は、さながらこの男の遺影のようだった。8/4
2校が上がったので、校正しようと机に向かったのだが、文字の大きさも書体も、字間の開け方も、どうにもこうにもしっくりこないので、私はその違和感に激しく落ち込んで、思わず泣いてしまった。8/5
わが軍の猛烈な爆撃によって、敵の攻撃がようやく一段落したが、敵は今度は海上を漂っているわが軍のエリート専用の別荘を狙い撃ちしはじめたので、われら2等水兵は再び戦場に担ぎ出された。8/6
こんなトロイ内容の詩が、いきなり冒頭に据えてあったら、誰だって、読む気がしなくなるに違いないと、私は、校正刷りを前にして、頭を抱えた。8/7
ショウを終え、疲れきったヨージヤマモトが、黒づくめの衣装で出てきたので、私が挨拶しようと待っていたのだが、いつの間にか彼の姿は、魔法使いの老婆のように、消え去ってしまった。8/8
私らに襲いかかるゾンビには、獰猛なライオンがアシストしているので、私らは、まず獰猛なライオンを斃してから、ゾンビをやっつける計画を立てた。8/9
太平洋で、工作船ファシスト号が沈没した時に、はなった号砲ひとつ。8/10
◎◎事件については、警察は、頭から首を突っ込む私の姿勢を、高く評価してくれた。8/11
隣国の王子が呉れたものは、夏のお菓子ではなく新曲の楽譜だったのだが、簡単なメロディだけだったので、私たちは、演奏するのにえらく苦労した。8/12
消防署への通報は、○×△という奇妙なキーワードしか送られてこなかったので、消火活動が遅れに遅れて、とうとう館は全焼してしまった。8/12
第2次ロケット打ち上げ計画の対象は、火星だったので、地球に嫌気がさしていた私は、イの一番に手を挙げて、意気揚々と乗り込んだ。8/13
息子が乗った飛行機は、台風10号の渦巻の遥か上空を、悠々と飛翔して、姿を消した。8/14
おなじ業種でライバル同士の両社は、今期も激しい売上競争を繰り広げたが、結局年度末には、ほぼ同じ成績で終わった。8/15
今夜は、長野県史上最大最高の花火大会で、なんとこれから3日3晩にわたって短距離ミサイルを打ちあげるというので、世界中のメディアが詰めかけているようだ。8/16
追われ追われて、2人のお尋ね者は、岩山のタコツボ状の穴に飛び込んだが、生憎ちょうど頭だけが飛び出していたので、追跡者の草刈り機で、スパリと刈り取られてしまった。8/17
その指導者は、「53分後に終着駅に来い。俺はそこで待っている」と言い残して、列車に飛び乗った。8/19
3千人の日本女性軍は、8千人の米国女性軍と熾烈な戦闘を繰り広げた挙句に、かろうじて勝利を収めたそうだ。8/20
射撃場の向こう側には、標的としてビール瓶と書物が入り混じってぶら下げてあった。どっちを狙う?と聞かれたので「ビールを」というて撃ち始めたが、そのうち書物にも弾が当たりだしたので、私はライフル銃を見境なしにぶっぱなし続けた。8/21
おっらちは中年のケイカンだが、ケイカン食堂で定食券を持ったまま隣に並んでいる若いフケイが気になって気になって、どうしてもキスしたくなって、ついキスしたところが、案の定大騒ぎになって、これがほんとのケイサツザタだと思った次第。822
国王となった弟は、長年の宿敵であった兄を、絶海の弧島へ永久追放したが、じつは兄も、それを、他ならぬ弟のために望んでいたことを、弟は死ぬまで知らなかった。8/23
社食が終わったために、ランチをとれなかった社員のために、名ばかり社長である私は、ここぞとばかり、隣の会社の社食から、大量のカレーライスを持ちこんで食べさせたので、中村七之助似の社員は、泣いて喜んだ。8/24
アーノルドパーマーという傘のマークのポロシャツが、爆発的に売れたので、その年のボーナスをもらったアートディレクターのムラクモ氏は、給料袋から取り出した紙幣を机の上に立てて、「ほらほら見て御覧、ボーナスが立ってるよ」と、私ら新人社員に自慢した。8/25
米大リーグ選抜チームを9回まで3-1でリードしていたのだが、案の定我われ日本選抜チームは、ガダルカナルの決戦の時のように平常心を失って、一挙5点を奪われて沈没してしまった。8/26
大金持ちの若旦那で、若い燕であるおらっちは、惚れた情人が見境なしに着物を買い漁るので、だんだん懐具合が心配になって来た。8/28
参戦か非戦かの最終判定を委ねられた超有名な反戦派の町内会長が、日ごろの政見と打って変わって、参戦の断を下したので、おらっちはとても驚いた。8/30