ラストダンスはわたしに ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 48     jyun 様へ

さとう三千魚

 
 

赤や
黄色

白や
ピンク

むらさきいろ

ドレスは
いろいろ

箪笥にある

百日草だった
ダンスホールの花だった

遠いのか
近いのか

遅いのか
早いのか

青いのか
深緑か

わからない

最後に
踊りましょう

わたしと

 

 

***memo.

2023年7月24日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った48個めの詩です。

タイトル ”ラストダンスはわたしに”
好きな花 ”百日草”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ベランダ ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 47     yu 様へ

さとう三千魚

 
 

地上だろう

ベランダこそ
地上だろう

乾いている

なにも
置かない

洗濯物が風に揺れていた
いつまでも

風は
吹いた

そのひとは佇つだろう
そのひとはベランダに佇つだろう

佇つ

あじさいだった
青い

 

 

***memo.

2023年7月17日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った47個めの詩です。

タイトル ”ベランダ”
好きな花 ”あじさい(青)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

塀の外へ

 

さとう三千魚

 
 

昨日
こだまに乗った

いつも
こだまに乗る

11番A席だった

海側の席に座り
由比と

熱海と
小田原で

海を見る

新宿駅で降りた
中村屋で秋艸道人の書を見る

横浜の新高島駅のBankARTでAyakaのタイ語の絵を見る
URUNOの動くオブジェを見る

塀の外へ

歩いてみる
残るものがあるのか

歩いてみる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ミシンとギター ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 46     jyuki 様へ

さとう三千魚

 
 

ジーンズの


空いた穴

ザクザク
ミシンで

縫った

縫い目
尖って

ギター
キィーン 鳴った

薔薇赤い

赤い
赤い

薔薇
咲いた

 

 

***memo.

2023年7月2日(日)、静岡市水曜文での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第十五回で作った46個めの花の詩です。

タイトル ”ミシンとギター”
好きな花 ”薔薇の花”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

いちばん古い記憶 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 45     kokoro 様へ

さとう三千魚

 
 

わすれてた

たぶん
おぼえて

ない
風が流れてた

れんげ草の
花の

香りがした

とつぜん
なみだ

流れた

 

 

***memo.

2023年7月2日(日)、静岡市水曜文での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第十五回で作った45個めの詩です。

タイトル ”いちばん古い記憶”
好きな花 ”れんげ草の花”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

花嫁のお目覚め *

 

さとう三千魚

 
 

雨は
やんだ

庭の金木犀の木立の
下の

カサブランカの


落ちていた

一度に落ちたのか
雨に濡れて

花弁は
透明に

土の上に重なっていた

残っていた

花を落として
雌蕊は

残っていた

雌蕊は目覚めていた
育むものがある

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

塀のこちらに

 

さとう三千魚

 
 

ちいさな
花を

いくつか
集めて

咲いた

白いあじさいの
花は茶色に変色した

緑に膨らませていた花芽をひらいて
咲いた

カサブランカ
香っていた

子どものころわからなかった
ヨイヨイ

ということ
わかったよ

そう言い
根石さんは電話の向こうで笑った

昼なのに暗い
雨にならない

塀の
こちらに

カサブランカの白く佇っている

ヨイヨイがいて
ボンクラがいる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

コメディア・デラルテ *

 

さとう三千魚

 
 

小雨の
まだ

降っていた

女は

西の街の
ショッピングモールに出かけていった

クルマでいった

わたしは
モコといた

カレーパウダーと
クミンと

オリーブオイルと
ハニーバターミックスナッツは

買ってきて

女に
言った

庭の金木犀の木立の下に
カサブランカは

いた

緑の花芽は雨に濡れていた
膨らんでいた

佇ってた

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

しゅうきょう ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 44     pintarou 様へ

さとう三千魚

 
 

きみは
あさ

って
言った

けど
麻じゃないとも

言った

あさの
花って

わからない

わからないで
祈ることもある

 

 

***memo.

2023年6月4日(日)、静岡駅北口地下広場での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第十四回で作った44個めの詩です。

タイトル ”しゅうきょう”
好きな花 ”あさの花”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

おと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 43     riou 様へ

さとう三千魚

 
 

ひろばでは
水の

流れる
音を聴いた

アンデスの

笛の
音も

聴いた
桜は

どんな
音がするの

花びらが
流れていく

たくさん

 

 

***memo.

2023年6月4日(日)、静岡駅北口地下広場での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第十四回で作った43個めの詩です。

タイトル ”おと”
好きな花 ”桜”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life