弟好きの何が悪い ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 120     ayaha さんへ

さとう三千魚

 
 

弟は
坊主あたまで

かあいいよ

ほっぺを
たまに

ひっぱって
あげる

おもちみたいよ

彼岸のころ
彼岸花

咲いていたよ

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った120個めの即詩です。

タイトル ” 弟好きの何が悪い ”
好きな花 ” 彼岸花 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

薦田 愛詩集「そは、ははそはの」を読んで

 

佐々木 眞

 
 

題名がなぞなぞのようなので、ちょっと調べてみたら、「ははそ」はドングリの実がなる木の総称である柞の葉っぱで、「ははそはの」は母にかかる枕詞らしい。万葉集の他三好達治の詩集「花筺」にその引用があるというので、岩波文庫を探してみたらありました。

いにしへの日はなつかしや/すがの根のながき春日を/野にいでてげんげつませし/ははそはの母もその子も/そこばくの夢を夢みし、で始まり、ははそはのははもそのこも/はるののにあそぶあそびを/ふあたびはせず、で終わる「いにしへの日は」という全部で21行のみやびやかな詩でした。

ちょっと驚いたのは、三好達治の最終連である

 ははそはのははもそのこも
 はるののにあそぶあそびを
 ふたたびはせず

という3行のひらかなが、今回の母子二人の長いようで短い道行きをうたい上げた薦田さんの第4詩集の、すべてを象徴するように印象的なエンディングになっていることでした。

それで、この詩集における作者の語り口はというと、本書の題名や詩の凝った表題の付け方にみられる古語、古典文学の広くて深い素養と、平明な現代日本語とが自然に融合したユニークな修辞によってさりげなく彩られ、現代を生きる大人の詩篇として興趣が尽きないものとなっています。

巻頭から母子は、鳥羽、河津、新宮、茅野、長崎、犬山、尾道と、全国各地に同行二人の旅に出ます。

 女ふたりで「夫婦岩なんてえね、と/鼻をかむ/だって/縁結びを祈る女子旅ではなくて/恋のアルバム作成中のふたりでみなくて/父つまり夫を送って三十年の母との旅だ」(「ふたみ、夕暮れの」より)

どうやら母親は高齢であるにも関わらず、桜をカメラに収めるのが趣味で、そのために桜前線の北上を追って全国の桜名所の寺社や名城に出かけるらしいのですが、母子とも結構うっかりもので、時間に遅れたり、大事な忘れ物をしたり、旅の失敗談がいくつも出てきて微苦笑させられます。

けれども世間の母子の大方が表向きは仲睦まじくとも、一皮めくればいろいろあるように、詩集の主人公である私とその母との間にも、ある日亀裂が走ります。私と恋人との3人暮らしに軋轢があったのか、母が突然家出して、東京から故郷の四国に戻ってしまったのです。

長く暮らした東京をはなれ/戻らないと言っていた土地へ戻ったひと/はは/母という/ばっこばっこ/はは ばっこ/その母/舜動する(「ばっこばっこ、ははは」より) 

そしてその道行の掉尾は、子が母に成り代わって事態の全貌を序破急の急で歌い上げる物語第3篇≪参≫のにあり、それが≪壱≫、≪弐≫と続いた人世の一大事の荘厳なコーダとなって、私たち読者の胸をしたたかに打つのです。

 あな、恥ずかしの身の上かな/おうおう と/聲あぐるはいと易けれど/おしころし押し殺す底ひより/たぎりたちくるもののさうらいて/あの/あの子/あの子の名 を/こゑ に/こゑ に出ださず/聲 にせむ(「ものぐるひ」より)

なお、本書のあとがき「後記、そのいきさつの」によれば、「母は郷里の街で、老境を生きている」そうであります。

 

・浜風文庫の本
https://beachwind-lib.net/?page_id=4694

 

 

 

トーマスの歌 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 119     aoto さんへ

さとう三千魚

 
 

トーマスの
機関車に

のったこと
あるよ

おとうさんと
おかあさんと

おねえちゃんと
ぼく

のったよ

たんぽぽの
わたげが

そらに
うかんでいたよ

ながれていたよ

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った119個めの即詩です。

タイトル ” トーマスのうた ”
好きな花 ” たんぽぽ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

木の下でさくらと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 118     soichiro さんへ

さとう三千魚

 
 

木の

下に
いた

おじいちゃんと
おばあちゃんと

ぼくと
さくらが

いた

いつも
いる

ぼくと
いる

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った118個めの即詩です。

タイトル ” 木の下でさくらと ”
好きな花 ” 桜 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

音 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 117     fuyuki さんへ

さとう三千魚

 
 

憶えて
いない

生まれたとき
聴いていたのか

どう
なのか

聴いていた
ガーベラ

咲いていた
オレンジ色の

音が咲いてた

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った117個めの即詩です。

タイトル ” 音 ”
好きな花 ” ガーベラ(オレンジ) ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

ラジオのジングル ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 116     yuki さんへ

さとう三千魚

 
 

山道を
歩いてた

どこまでも
歩いてた

どこまでも
いくよ

百合に
会いたい

胸のなかで
ジングルなった

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った116個めの即詩です。

タイトル ” ラジオのジングル ”
好きな花 ” 百合 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

buried alive in blues

 

工藤冬里

 
 

線は流れて水母の足はひだりに曲がり
名付けなかった死は野良に過ぎ去り
芯の別れに「今すぐ会いたい」と
それには勝てるかどうか確かめないと
アサド屋ゆんたの文字は光りに
誰のものだろうひとは胎児は
投げ出されたスクーターが
音符のようにみぎうえに向かっている
無限の肋トンネルがつづき
青と白の大理石があった
gentilesのモリブデンが氷解し
部外者の埋葬の唐鍬はひかった
そしてスタカートを打つ

自分を自分のものと思い込んでいる時点で話はそこまでだ
自分の体や思考やレンタルした子供を自分のものと思い込み
シェアした車を汚している

 

 

 

#poetry #rock musician

good teacher, and gold

 

工藤冬里

 
 

褒美が屈折する
褒美としての屈折はいらない
屈折としての褒美はいらない
血圧が上がる
屈折が走り寄ってきて跪いた
褒められる前に屈折していた

Διδάσκαλε Teacher
ἀγαθέ good,

銀行は金を貸し与えて自分の喜びを大きくした
返してくれなくていいとさえ銀行は思った
貸し与えた人が不貞腐れていても銀行の喜びは失われなかった
鳥にさえ金を遣った
鳥にユニクロに行くよう勧めた
ニンジンは好きかと訊いた
災害のときは特に気前よく出前した
喜びは不気味に爆発した
石の家の金岡さんの綽名はカネゴンだったが
アスリートの記録会でthreads風に再会した
メインストリートを保存するために木と漆喰を与え続けた
無限の力で専業主婦の家事を手伝ったのだ
欠損補填に対してわたしたちは出し惜しみしたりしない
インド訛りでボンクと言った
渋谷で訓練
された犬
ウシジマ号が樹海に向かい
見て学べという考えは古いていうか
そのような仕方で与えると
周りの人もそうしようという気になるから
タコで満ちるようになる
カタツムリも減ってる
金の渦巻
鳴門のワッパー屋の工事は進まず
絵本の海に金のにおい
a cheerful giverは金の表情をイメージする
返せない人に貸し与えるガチャ
金融の復活の時報われる
川に流すパンのキックバック
自分でも延べ棒で大きくすることができるように作られた金のdough

 

 

 

#poetry #rock musician

釣り人たちといる

 

さとう三千魚

 
 

朝には
事務所に

忘れていた
年末調整の書類を届けた

帰って
机の前で

ぼんやりしてた
ふと

ゴンチチが聴きたくなり
CDを聴いた

最後の方
16番に

アート・リンゼイが歌っている

なんども聴いたのに
忘れていた

アート・リンゼイは若い頃に聴いた

顔が死んだ義兄に似ている
アレクセイ・リュビモフにも似ている

 夜が来て光を分ける *
 ただ繰り返し *

 反省し *
 ただ *

 気を紛らわせておくれ *

夕方に
海を見に行った

マリーナ横には
釣り人たちがつどっている

糸を垂れて
おしゃべりしてる

野良も釣り人たちといる
鷺も餌をもらいにくる

青い波が穏やかに揺れている
青い波がいくつも揺れている

 

*アート・リンゼイの詩「templo」の一部をgoogle翻訳しました
 

 

 

#poetry #no poetry,no life

マーサ

 

道 ケージ

 

まあさまあまあだ
マーサまだだ
まっいいかまだいいか
待つよ待てよ
舞う前、魔王まさか
摩訶不思議
ママン膜巻く枕
魔剣曲げ巻け
誠、真菰、真琴、馬子マゴまことちゃん
まさかまさしまたか
魔性魔女真白
まずまずマッスルマスター
麻酔マスクまずいマスコット
ませガキ混ぜ
末席まそっとマゾ
またねまたかまたぐまた
待たせたなマタイ
マタギマタンキ又郎
マッチマチマチ待ちかねて町田
マッチョ街場の祭り間違い待って
末端真っ白抹消末梢
待てってマテウス待てない
まとめ纏まどかまとも
待とうまとめて窓からマンタ
学んだ真名序
真夏まなこ眼差し
マイナス間に合うマニ教
マニアマニキュアマニアック
間抜け免れ
マノン目の当たり
マッハマッハマルハ丸々
真昼麻痺マフラー
真冬マフィンマブダチ
眩しいまふまふ
目深真帆魔法
まほろば幻
ママンママ友ままごと
見えるまみれた真向かい
マキシム魔夢まむし
豆つぶ豆まき豆状
まもなく守る摩耗
摩耶馬屋マヤまやかし
眉繭黛眉毛まゆみ
マヨネーズ迷って真夜中真横
魔羅マラソンマラカスマニラ
鞠まりこ摩利支天
マリンマリアマリーマリーナマリコ
丸いマルコスマルサマルクス
丸天うどん丸美屋 
マルタまんまる漫画
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周り回るまわしマンション
卍漫才万年饅じゅう
まんずまんずマンゴー 
マンタンマント満月
まんまでまんま満州
マンスリーマンキー曼陀羅万力満願
マンセーマンコー!