あるインタヴュー

 

工藤冬里

 
 

社会と資本のことだ、と彼は添えた
薹の立った雀斑だらけの
雲雀の巣だ
閉鎖病棟で
居場所とか自由とか
酒で胃に流し込み
サンバのステップがアヒルのよう
一人でやってけるし
マクドナルドのMが見える
最近のエンジンはボタンを押すとかかるとか
局部麻酔でいいんですか
枝を手で掴み
落ち葉を半分踏む
子供
産まれたての
戦争と日常を交互に映すなら
子供の写真が沢山出てくる
引っ張りあう娼婦と母
ベラルーシの必然は
弁別される
男同士で何を話す
それに懸ける歳月を
夏なのにこの寒さ
苦しそう
ただ歩いて
ピアノが鳴ってるだけだ
海はいつも芝浦の白
と思ったら大間違いだ
爺さん
寒そうな火
いつも洗い物をしながら
目が半分くらいある
白く汚いドアから出て
土を掘る
木々とはその陰
なぜだかわからないが
息子やニコや
黒いコートが
蹴り上げる松毬
シトロエンは卵を運ぶ
愛は逆さに
電話にトイレ
巻き毛の彫刻
呼ばれる父
父は呼ばれ
蹲る
間の抜けたヒキガエル
運命は失われる
その山は見たことがある
絵師は描いた
目の色のちがうばけものの顔
白光と禿げ上がった薄倖は似てる
ドナルド・トランプが共産主義を嫌いなのは知ってる
どうぶつの学生さん
関係ない話は関係あるということ
子よ 何を食べる
シャツの襟は誰が洗う
誰にも持病はある
そして話し始める
近づいて、話し始める

 

 

 

#poetry #rock musician

死体の無い死

 

工藤冬里

 
 

まだ世界があり稲は髪の毛のように伸びている
預言とは妄想を塞いでいくことだ
徒刑まであと何歩
全ては変わらないし変えてはいけないことを知るべきだ
ところが
死体の無い死は妄想を塞がずに却って
what is truth
と独語する冷笑的な世を 呼び寄せる
呼び寄せられた世に草生す
生きることしか考えない本能が
真夏の
放水路の脇の
水の流入した畑の
ミントの群生の傍に腹を浸し
生命力の減衰のみを待つ
呼び寄せられた世に草生すまでが妄想の永遠だ
死体の無い死に呼び寄せられたTLが草生す
最期まで生きることしか考えなかったが
最期まで自分のためには生きなかった
きみは冷たい水の流入したミントの傍に腹を浸す
戦後何十年経っても発見されない水漬く屍のように

 

 

 

#poetry #rock musician

猫が生きて死ぬくらいの期間

 

工藤冬里

 
 

https://youtu.be/A0d979c-6Xo

 

猫が生きて死ぬくらいの期間
執行猶予が続いた
いろんな永遠があった
ラカンは結局全部間違ってるんじゃないか
十分に猫だったし十分に似非エッセー人間だった
もう水分の注射も無理で看取ってやってくださいと言われた
一人で死ねる草叢があって幸せだ
帰ってこないので心の中で生き始めていた
心の中で生き始めるとまだ生きているものを殺すことになる
その短い期間が永遠のように感じられる
だから/それでも
瓢箪で人の命の大切さを教えられなければならなかった

 

 

 

#poetry #rock musician

浚渫船

 

工藤冬里

 
 

おれと同じくらいの白髪だオールバックの白黒は善玉か悪玉か分からないが実を避けているグループがあるなら美を生み出す派手な衣装で着飾っている全て壊され更地にされ戸惑うが全ての紙もティッシュになったのには気付かない金属は原材料の形に戻され石油製品は石油に戻され解かれた繊維は糸巻きに巻き戻された巨大な板状の船が洋上のデブリスを回収して元素に仕分けていく吉本的なものがなぞるだけの籾殻殺されたとしても触れることができないセミでrocket rocket USA名前行列が通り過ぎる冷たい粘土の層が夏の終わりまで続いている虫喰いの東方美人刺蛾の柿の葉を鋏で切るとどうなる✖︎8モーゼズの前をThe Rock, perfect is his activityと言って通り過ぎる楔のwedgeから考えだけでなく欲求や感情がぶつかるように仕向けられるきみがやめるならやめるforever and ever

 

 

 

#poetry #rock musician

方法と結果

 

工藤冬里

 
 

事故に遭ったと言うので急いで出かけて行ったが
事故に遭ったと言うので急いで出かけて行ったが
視程は昨日と同じ
うつくしいメロデー
分厚い本を借りて
光は粒だと
一点の曇りなく
そういえば、で終わる
その怪獣みたいな音はなに
長い慰めのノイズ
楽しいんだろ?
だったらもっと口を開けろよ
毛虫にもいろんな顔がある
辺境を拡大できます
何の嬉しさもない
虫が鳴いているな
アケルダマ
フグの背と腹
変身する勢いを保つ

 

 

 

 

 

注釈
アケルダマのダマはアダムのアーダマーだから土,アケルは血、吊った枝が折れて岩に落ちて裂けた

 

 

 

#poetry #rock musician

地軸

 

工藤冬里

 
 

動かない線に張り付いてTLはゆっくり動き
叙事はきみを落ち着かせる
傾(カブ)いたままの章動的な背骨の震えによって
蝉は地球のように空洞だ
言い足りない事があるとすれば
それはいつも公転面に置かれた「愛してる」の解像度の変化による

 

 

 

#poetry #rock musician

短歌歌短

 

工藤冬里

 
 

短歌歌短

不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正が続いたらどうなるるなうどらたい続が正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
不正不正不正不正正不正不正不正不
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大
大変な事が起きるるき起が事な変大

 

 

 

#poetry #rock musician

ベテスダ

 

工藤冬里

 
 

大林に比べ戦後間もない「東京物語」の遠い尾道は更に黒瓦で統一されており、「ありがとうね」の「が」に強調が置かれるイントネーションが却って鼻筋のバタ臭さと溶け合い、「六七で大往生」の寿命感も余人を周章てさせるだろうし、網戸の無い別の国から僕の母もルイーズ・ブルジョワの母もホドロフスキーの父も来たと知れるのは、喪服を持って或いは持たずに乗る弾丸列車のデスティネーションこそが映画史の父母であるからなのだった。さてガレルが映画史的に偉大なのは、ノスタルジーの問題を乗り越えようとした苦闘の質においてであり、彼がニコを通して大他者の視点を獲得し、自分の父と自分の子を別の人間として扱うことができるようになったからだった。それに対して「東京物語」は実の子ではない者が義理の母と結びつくルツとナオミの物語である。彼らは最初から別の人間であり、戦争という大他者が彼らを結び付けている。そこでは苦闘は正面からは描かれず、消えていく美徳への哀惜のみがある。映画人に好まれるのそのためである。それで、というわけではないが鎌倉で小津の墓から洋酒の小瓶を何本か盗んだことがある。その夜病気の友人が自分を殴って死んだ。僕は電話に出なかった。「そうかい」と笠智衆が言う。ところで僕が「地獄の季節」で好きなのは「ベテスダ」である。イエスは一本の円柱にもたれていた。それは映画のようだ。かれは不具者を見ている。かれは何もしない。異なった二つの治癒の出所についてだけが略述される。

 

 

 

#poetry #rock musician

仮名かな手本芸獣ケミカル

 

工藤冬里

 
 

貧困が問題ではなく
名前各部の熱にバラつきがあり
パーマ屋には行く
歳取ったって別にいい
いつも明後日の予定を考えなさい
自分が死んだ後に起きたことを学びなさい
芸術肉体労働者は体と心を使い
芸術職人は頭と心を使い
芸獣はクスリを使う
明後日
多くのスキルはなくなります
四十日面会できなかった間にすっかり弱って
心手術してないのにイタイイタイ聞くのが辛い
ユーラシア南東のビンロウジの吐き跡が
ペンシルベニアドイツ語圏メノナイトに

かなかなをうちに一瞬寄らせる名が関係している

 

 

 

#poetry #rock musician

Go To Idola

 

工藤冬里

 
 

本土というけれど島じゃない陸なんてない
ユーラシアだって島じゃん
みどり色の片岩の上に建っているすべての

一人称単数で言うべきことはそこじゃない
東風についてだろう
理解できない命令が与えられ
突然

七つだか八つだかの洞窟がある
手を合わせるからタイだ
カメラは引き
おばあちゃんの真似してるみたいなおばあちゃんだね

彼女は見えますが歩けません
彼は見えませんが歩けます
稜線から上の
弾けた
白眼色或いは
酸化の白磁の鈍光

北米やヨーロッパだけではない
人に根を下ろしその人の上に建てる
坑道を守ることの方が大事

それなしでどうしたらいいか
the old personality

愛する人は洞窟をよく知りません。洞窟はイドラだからです。私たちが愛するのは洞窟がまず私たちを愛さなかったからです

なぜ
無理矢理そうすることもできた
手練手管を張り巡らしてそうすることもできた
公正の感覚によってそうすることもできた
しかし

 

 

 

#poetry #rock musician