田作

 

工藤冬里

 
 

脱ぎ捨てる力がないまま
折れた首をエアコンに晒している
死ぬ前に食べたい太肉
人を贈り物にして
睡りを返礼とする
釘に食事を食事に田作を
建てられずに折れた首の
いつか食べられる気配を睡る
写本の夢を睡り
晦日のスーパーを睡る
一飛びに明けてほしい
屋根瓦の日々は崩れ落ち
永遠にhappy new year1969と叫び続ける釘を
雲の隙間から眺める
(見られていることの方が見ている主体を上回っている)

 

 

 

#poetry #rock musician

こかずとんは見ている

 

辻 和人

 
 

見ている
ただ見ている
すぐ横で
コミヤミヤがくるっ軽々回転
うつ伏せの姿勢から
もっこもっこ
背中が盛り上がっていくよ
上体起きて
頭がくるっ回転
窓の外の庭のゆずの木が風に騒いで
やってみろ
ほそっこいコミヤミヤの腕が
ふんにゃふんにゃ上下したよ
マットが撓み
進んだ?
ちょっぴり?
いいや、ただ体が微かに上下に揺れただけ
疲れちゃったか?
いいや、またふんにゃふんにゃ
おっと目が合っちゃったよ
でもかずとんパパに関心なし
また頭くるっと回転
ゆずの木騒ぐ
またふんにゃふんにゃ
すぐ横で
仰向け姿のこかずとんが
見ている
ただ見ている
目に特別な色はない
見ている
ただ
ふんにゃふんにゃするコミヤミヤを
見ている見ている見ているんだ