花瓶は茶封筒

 

爽生ハム

 

 

からし揚を口にする祖母の頬が赤らむ。満足そうに手をはね、昔も今も変わらない文章を投げかけてきた。愛くるしい元気かというようなこと、忘れつつあるボウリングのこと、天気のことなど、夕方がまたやってくる。暗くなるまで電気をつけないせいで苦い。夕方をドリップする度に怖くなる、祖母のミルクの時間が。
飲み込めない物を飲み込む時間。
すぐさま、水につけないと容れ物にこびりついてしまう。放置してると花を飾ってみたくもなる、こういう花瓶を捜してたんだと思う。