道ケージ
どうしたのだろう
新緑のひかる木の梢
若葉の準備に浮き立つ辺り
白い布?が干されている
どうしてだろう
その下をあたふたと
灰色の制服の男たちが
駆けずり回っている
どうするのだろう
手に手に黒いビニール袋をもち
すばやく屈み
また走る
のぞみの鼻先に
キリンのような
鮮血が
垂れた布?からは
ぬらぬらした
何かが垂れてきている
落ちてきたのは
…眼球だった
下の茂みをもう見られないね
ぼくらはこちら側で
ディズニーからの帰りなのだ
止まった列車を乗り換える
こだまに
今、男が白い腕を
ビニールに入れたところだ
子供のけたましい叫び声のこだま
先ほどの絶叫と変わりはしない
ホームを変える人たちは
いらだち
高架の奥の青空は
どうということもなく光り
小さな振動を伝える
ひかりが入ってくる
奥のビルの窓に
肉塊が張り付いているのを
発見した係員が
手を振って合図している
瞬間の決意
瞬間の痛み
瞬間の後悔
のぞみの切っ先に
赤い霧がひかり
こだます
架空地線に
こびりついたものは
いつも取り除けない