天使よ、早く帰りなさい

 

道 ケージ

 
 

祈りをやめないで
そう並ばれては
恥ずかしい

突然
やたら強く 声なしに
腿を摑まれた朝

組み伏すしかない
羽根が 口に入る
離さない 背負うように

おあっ、関節を
外された でも離さない
あなたはなぜ滅ぼさない
なぜ試すのか

私の貧しさは
あなたの貧しさではないのか
力を入れるたび組み伏され

飛び立てば、いいではないですか
私を放りやり

お前は明日から驢馬
「ロバですって」
「言わんこっちゃない」
「さあ、大人しく座って」
帽子なおして

いつのまに
従わずに従っている
反抗の手が命乞いの形だ
おまえは私なのです

祈りをやめないで
見ているだけで
いいのだから

 
 
 

註 P.ゴーギャンの「説教の後の幻影(ヤコブと天使の闘い)」に触発されて書いたものです。。