家族の肖像~親子の対話その41

 

佐々木 眞

 
 

 

はてしないって、なに?
どんどんどんどんどんどん、よ。

チキショウって、いっちゃダメでしょう?
ダメだよ。

お母さん、お気に入りってなに?
すごく気にいっていることよ。

とぐは、お米でしょ?
そうだね。

アザミにトゲあるよね?
あるね。
トゲ、痛いよね。
痛いね。

お母さん、従うって、なに?
いうことを、きくことよ。

お母さん、こんど平成なくなるの?
そうよ、5月から令和になるのよ。
「さよなら平成」、ぼく、いいましたよ。

ぼく「おしん」面白かったよ。
そう。良かったね。
また見ますよ。
見てね。

110番て、なに?
警察の電話番号よ。

お母さん、こんど令和でしょ?
そうよ。
ぼく、令和、好きですお。
そう。
レイワ、レイワ、レイワ。

お父さん、草むしりしないと、ダメでしょう?
そうだね。草ぼうぼうになっちゃうからね。
草むしり、草むしり。ネ、ネ。

お父さん、家族の英語は?
ファミリーだよ。
カゾク、カゾク、カゾク。

お母さん、しりとりしよ。むさしこすぎ。
ぎ、ぎ、ぎ、ぎぼし。

お父さん、勝手なこといっちゃだめでしょう?
そうだね。

お母さん、ぼくはマツダ先生好きだよ。
お母さんも。

お父さん、ゴロゴロは雷でしょ?
そうだね。
ゴロゴロゴロゴロ。

永遠なれ!って、なに?
いつまでも、よ。

お母さん、蓮は水を張って、でしょ?
そうね、水盤にお水を入れるのよ。

大半て、なに?
ほとんど、のことよ。

フホウは、亡くなったときでしょ?
そうよ。
ナカノ君、亡くなった?
そうよ。
フホウ、フホウ、フホウ。

お父さん、気絶するって、なに?
気を失うことだよ。コウ君、気絶したことあるの?
ありませんよ。キゼツ、キゼツ、キゼツ。

笑いごとじゃない、って言われたよ。
誰に?
鎌養の先生に。

ゴキゴキって、なに?
コウ君、ゴキゴキすることないの?
ないよ

一晩中って、なに?
夜の間ずううっと。

お母さん、担うって、なに?
それをおんぶすることよ。

お母さん、ぼく明日もセイユーへ行きますよ。
はい、分かりました。

綾瀬は長後からバスでしょ?
そうなの?
そうだお。

ぼく「ブタブタ君のお買いもの」好きですお。
そう。おかあさんも。

マリちゃん「任侠ヘルパー」見た?
見たでしょう。

受け止めるって、なに?
そのまま認めることよ。
蓮佛さん、「受け止めてね」っていったお。
そうだね。

蓮佛さん、なんで「よろしくお願いします」っていったの?
お母さんのことを頼んだのよ。
ぼく、蓮佛さんの声、好きだよ。
お母さんもよ。

お父さん、カミキリュウノスケ、「いだてん」でどういう役をやってるの?
分かりません。お母さんに聞いたら?
お母さん、カミキリュウノスケ、「いだてん」でどういう役をやってるの?
落語家よ。
「いだてん」、「せごどん」の次だよね?
そうよ。

お母さん、やりにくいって、なに?
やるのがむずかしいことよ。

お母さん、事故防止って、なに?
事故が起こらないようにすることよ。

お父さん、「気持ち悪い」の英語は?
I feel sickかな。コウ君、気持ち悪いの?
悪くないお。

「わたし、オカジマ先生ですよ。」
こんにちは、オカジマ先生
ぼく、オカジマ先生すきですお。

お父さん、椅子の英語は?
チエアだよ。

お父さん、少ないの英語は?
リトルとかスモールとかフユウとかかな。

お母さん、いわゆるって、なに?
よくいわれている、よ。

お父さん、カワシマさん、六地蔵に住んでたの?
そうだよ。

毎度、いつも、でしょ?
そうよ。

お母さん、おもしろいって、なに?
そうですねえ、コウ君、おもしろいって、なんですか?
おもしろい、ですよ。
コウ君、人生おもしろいですか?
おもしろいですお。

お父さん、デリケートって、なに?
超微妙なことだよ。

お母さん、ぼく令和好きですお。
そう。お母さんは、昭和が好きでしたよ。
レイワ、レイワ、レイワ。

リョウちゃんがねえ、「コウ君が嫌がってるよ」と言ってくれたお。
そうなんだ。よかったね。

サッチャン、ずうーと笑ってたんですお。
そうなの。

お母さん、アイラブユーって、愛してますのこと?
そうよ。
アイラブユー、アイラブユー、アイラブユー。

症状って、なに?
お腹がいたいとか、体の状態よ。

 

 

 

『令和1年8月6日 広島』

 

みわ はるか

 
 

8月6日、早朝、わたしは始発の新幹線に眠い目をこすりながら1人飛び乗った。
広島まで自宅からおよそ4時間ほどかかる。
その日は朝からあいにくの雨だった。
濡れた折り畳み傘が隣の人に当たらないように細心の注意をはらってくるくると小さく元の形に戻した。
新幹線の中はよく冷房が効いていた。
リュックからごそごそと持って行こうかぎりぎりまで迷った淡い水色のカーディガンを取り出した。
着てみるとちょうどいいくらいの体温になり、心底持ってきてよかったと感じた。
本当は礼服で行くつもりだったが、雨のこともあり白い控えめなワンピースにした。
窓から見えるあっという間に過ぎ行く景色を見ながら感慨深い気持ちになった。
ずっとずっと行きたかった。
22歳の春に初めて原爆資料館に入館し衝撃を受けたあの時から。
テレビのニュースで灯篭流しの様子を食い入る様に見つめたあの時から。
それが今年やっと叶った。

多くの人がご存じのとおり毎年8月6日、広島では原爆に対する慰霊祭と夜には灯篭流しの行事が催されている。
今年は朝に少し強めの雨が降ったものの、その後は夏らしい入道雲がもくもくと出現し夜まで晴れていた。
時間の都合もあり慰霊祭を見ることはできなかったが、10時くらいに到着するとあふれんばかりの人で埋め尽くされていた。
夏休みということもあり子供から大人まで様々な年齢層の人がいた。
そして、ツアーが組まれているであろう団体や、外国人の数の多さにも圧倒された。
今回の行事のスタッフと思われる首から名札をぶらさげた人も多く見た。
年配の人も多かったけれど、若いおそらく高校生や大学生、社会人の人も多数いた。
なんだかそれにほっとした。
原爆を経験した人が高齢化する中でそれを継承しようとする若者に頭が下がる思いになった。
みんな一生懸命に身振り手振りを交えて説明していた。
わたしもさらっとその団体の最後尾について耳を傾けた。
額から汗を流しながら語る人たちからは今日という日がどれだけ大切な日なのかが伝わってきた。
こんなにも澄み渡った青空の真上から一瞬にして何もかもを吹き飛ばしてしまう鉄の塊が落ちてきたなんてにわかに信じられなかった。
でもそれは今や世界中の人達が知る真実なんだとも思った。

小学校4年生の時、担任の音楽を得意とする女の先生から「はだしのげん」という本を薦められた。
漫画はほとんど読まない性分だったため初めはためらっていたけれど、ぜひという強い一言でとりあえず1巻を手に取った。
それからは早かった。
どんどんその魅力に吸い込まれていって、当時15巻位まであっただろうか。
3日程ですべて読み切った。
そしてそれを間をおいて3回程繰り返し読んだ。
日本にこんな時代があったことに衝撃を受けた。
一瞬でいなくなってしまった家族や友人、吹き飛んでしまった家や学校、皮膚がただれ水を求める人々、タンパク源にイナゴを食べる日々。
その本には戦時中のむごさはもちろん、戦後にどうにかこうにか生き延びた苦悩も描かれている。
あの時、あの本に出会わなければわたしはきっとこんなにも戦争や原爆のことを気にもとめなかったかもしれない。
広島にある原爆資料館でも同じ衝撃を受けた。
本からある程度は想像していたけれど、いざ視覚的に当時の物や写真を見るとぐっと胸にくるものがあった。
8時15分で止まったままの理髪店の皿時計、ボロボロにちぎれた子供の服、眼球が突出したまま歩いている人の写真。
目をそむけたくなるようなものばかりだった。
今年リニューアルされたばかりだという資料館はいかにその当時を再現するかに力を入れたものだったような気がする。
館内にいる人々の顔は驚きや悲しみに思わず眉間にしわをよせてしまうようだった。
資料館を出たときの太陽は驚くほどまぶしかった。

夜、18時から灯篭流しが始まった。
わたしも折り紙のような鮮やかな赤色の和紙を購入しメッセージを書き込んだ。
川に灯篭を流すための長い行列ができていた。
みんな思い思いに色んな色の和紙に様々な言語で文章を書いていた。
最後尾に並んで数十分後、川岸にたどり着いた。
スタッフの人があらかじめ灯篭用に用意してくれていた木でできた囲いにきれいに和紙を張り付けてくれた。
その中にはろうそくが1本たっていてそっと火を灯してくれた。
消えないようにそろそろった川の側まで歩き、ゆっくりと灯篭を流した。
慌ててリュックの中から数珠を取り出して両手を合わせた。
流れが穏やかだったためわたしの灯篭はゆっくりゆくり川下へ流れて行った。
それはとても幻想的でいつまでも見ていたくなるような光景だった。
それからは川岸の階段に座って全体の光景を眺めていた。
夜もふけてくるとさらに美しくなった。
川岸や橋は人でいっぱいでみんなが穏やかな顔をしていた。
たまたまわたしの隣に1人で日本全国を旅行中の60歳のカナダ人のおじさんが腰を下ろした。
カナダでは歴史学の教授をしており、奥さんとはずいぶん前に別れて子供と孫がそれぞれ4人ずついると教えてくれた。
カナダでは離婚率が高いらしい。
そして、こうわたしに柔和な表情で話しかけてくれた。
「北海道から東京、京都、大阪、広島と旅してきた。どこもよかったけれどまさに今この瞬間が最も心に残る。
そして、こうやってあなたと会話できたことも。」
「美しい、本当にこの光景は美しい。」
ずっとそうつぶやいてカメラのシャッターを切り続けていた。
5週間の内残り2日間となった日本滞在。
満足そうな笑みを浮かべて宿泊先だというゲストハウスのある方向へ帰って行った。
去り際わたしにこんな言葉を残して。
「あなたはこんなにも外国人がいることに驚いていると言ったけれど僕はそうは思わない。
ネットやテレビ、ラジオ、雑誌、様々な媒体で報道されている。世界中のみんなが知っている。
逆に今日ここに日本人が少ないことが悲しい。」

8月7日、チェックアウトぎりぎりまで眠っていた。
灯篭流しの帰りにふらっと寄った少し小汚い居酒屋で見た野球中継を思い出しながらベッドから起き上がった。
広島だけあってもちろん広島カープの試合が流れていた。
しかし、その試合の前だろうか、後だろうか、監督をはじめ選手がみんな灯篭を持って黙祷をしていた。
まさにわたしが流した灯篭と同じものだった。
何の銘柄を頼んだかは忘れてしまったけれど、その時の日本酒の味はものすごくおいしかった。

宿泊していたホテルをチェックアウトしたあと最寄りの駅には寄らずもう一度原爆ドームへ足を運んだ。
どうしても見たかったものがあったからだ。
その日は昨日に増して日差しがじりじりと照り付けていて帽子をぐっと深くかぶった。
数十分キャリーケースをゴロゴロと転がして原爆ドーム前の灯篭流しの川に到着した。
見事だった。
あれだけの灯篭が川に流れ、ろうそくの火で燃えたもの、そのまま岸辺にたどり着いたものいろんな形で残っていただろう。
川岸の階段や橋にはギュウギュウ詰めに人がいた。
食べたり飲んだりしている人もいた。
あの暑さだ、ほとんどの人が手や鞄にペットボトルをもっていた。
だけれども、川にも道にも箸にも塵1つ残っていなかった。
首から名札を下げていたあのスタッフの方々が夜遅くまで残って掃除した姿は容易に想像がつく。
日本の美徳だと思った。
昨日のカナダ人のおじさんが途中でぼそっと「この大量の灯篭はどうするのだろうか。」と言っていたけれど、
ぜひ今日この光景を見てほしかった。
彼は何と言っただろうか。
きっと赤く日に焼けた顔でにこっと笑ってくれたのではないだろうか。

また来年も来よう。きっと来よう。
蝉の大合唱の中、生暖かい風がふわっとわたしの首筋を通過した。

 

 

 

From the bottom of my heart

 

今井義行

 
 

こころの 底から 愛し
こころの 底から 憎み
こころの 底から 恨み
こころの 底から 祈ろうと 思った

私たちの 関係を ──

Do not give up, Yuki.. I will manage…  Do not think many things…
空白空白空Do not worry…Pleaseeeess
空白空白空白空白空白Pleaseeeess… … … …

Pleaseeeessが 尾をひき こだま している
悲鳴の、ように

言ってることが 毎回ちがうじゃないかと
私は アルジェリーに 言った

From the bottom of my heart
こころの
底から


ほんとです、と
あなたは 言っているのだろう、、、、

信じたいよ。
12月にはクリスマスを 1月にはニューイヤーを
いっしょに マニラで 祝福したいのだ、と言うのだね。

いま、写真が4枚
送信されてきた アルジェリーが
大きなショッピングモールの白い壁に凭れて
少し 寂しそうに 微笑んでいる写真

結婚式は 4月か5月か6月に
順延になりそうだ、、、、
出稼ぎ労働者の 長女のリアンが休暇を許されないからだ

でも 私は 複数回 渡航する費用がないよ

Goodmorning, Yuki I will pay your ticket on the month of our wedding nextyear…
it could be in the month of april, may or june ,
because Rian need to be there… Rian not allowed to go Philippines on january.
Lets think the happiness on december.. we will celebrate christmas and new year together with my family

12月にはクリスマスを 1月にはニューイヤーを。

結婚式は いつだよ
晴れて 法廷で 独り身になれたのだろう?

言ってることが 毎回ちがうじゃないかと
私は アルジェリーに 言った、が
正直 うんざりする ことも あったのだが

こころの 底から 愛し
こころの 底から 憎み
こころの 底から 恨み
こころの 底から 祈ろうと 思った

Please do not worry…….. I am working for our future believe me.!!!!
You and me in Japan….
You and me in japan….

空白空白空白空白空白空白Pleaseeeess… … … …

 
わかったよ、アルジェリー、、、、、、、、、

 

 

 

ネズミ

 

塔島ひろみ

 
 

涼を求めて入りこんだ天祖神社の境内に、洗濯物が気持ちよさそうに干されていた
降雨のあとの蒸し暑い夕刻、男は汗をぬぐうハンカチを持たない
干してあった女物のTシャツで、首筋の汗を拭き、またそこに掛ける
道に出て、少し歩き、自動販売機を見つけ、ポカリスウェットのボタンを押す
そして返却口に手を差しいれて、おつりを探す
おつりはない
体を起こし、すぐ隣にある「pokka sapporo」と書かれた自販機に移動
今度はボタンを押さず、返却口だけをチェックした
おつりはここでも見つからない
また少し歩く サントリーの自販機がある
適当なボタンを押して返却口に手を入れる
おつりを探す
ここにも彼のおつりはない

向いの溶接工場から、危険作業に打ち込む男たちの汗臭い笑い声が響いてくる
男は背中にその声を聞きながら、空っぽの返却口を指で叩いた

一台の軽トラックが走りぬけざま何かに乗っかり、メリッと小さな音を立てた
もう一台 白いホンダ車のタイヤがまた、同じ位置でかすかな破滅の音を立てる
車たちが走り去ったあと、道にこなごなに潰れた何かが残った
ネズミだった

また車が来た 開け放たれた窓から音楽が聞こえる
それは男の好きな曲だった
車は潰れたネズミの死体を轢いていった

それは私の好きな曲だった

 
 

(8月30日、奥戸4‐11付近で)

 

 

 

愛とはなにか *

 

断崖の病院の窓から

平らな海を
見たことがある

海辺では
カモメたちが

空中に浮かんで停止しているのを
見たことがある

西の山の上に
雲がポカンと浮かぶのを

見たことがある

ちいさな黄色の花が風に揺れるのを見たことがある

しゃがんでオシッコしたモコが
ふりかえるのを

仏壇の前で
女が泣くのを

見たことがある

女が泣くのを見たことがある
女が泣き叫ぶのを見たことがある
女がふっと微笑むのを見たことがある
女が黙って見つめるのを見つめ返したことがある

義母の心臓が止まり
眼を見開くのを見たことがある

死んだ母の小さな体を抱きしめる姉を見たことがある
死んだ義兄が焼かれて太く白い骨になるのを見たことがある

見たことがない
見たことがない
見たことがない
見たことがない
見たことがない

TVニュースでは香港の若者たちが警官に警棒で何度も殴られるのを見た

見たことがない
カタチのある愛を見たことがない

 

* 工藤冬里の詩「愛とはなにか」からの引用

 

 

 

愛とはなにか

 

工藤冬里

 

夢の方がまだ良かった
夜叫ぶ鳥等がその証拠だった
万能感に打ち拉がれるよりは
夢の中に早く入りたかった
寝ながら人を殴るとしても
夢の中の方がまだ良かった
夢の中では二色の車のドアを外した
黒い方のドアを燃やさなかったことで女が金切り声で歯軋りした
誓うことで論争は終わる
夜叫ぶ鳥等に誓うことで論争は終わるか
今年は冬瓜を見ない
産直市とかでまめに探すのだが高知にも愛媛にもなかった
不作だという情報さえない
冬瓜に何があったのだろうか
熱帯化によって旧来の夏野菜はうまく育たなくなっていると野網君が言っていた
朝顔が秋の花になったように私たちの夏は秋になり、太陽は木星に、月は血に変わるのだろうか
夜叫ぶ鳥等よ
夢の方がまだ良かった
きみたちがその証拠だった
万能感に打ち拉がれるよりは
夢の中に早く入りたかった
寝ながら隣人を殴るとしても
夢の中の方がまだましだった
夢の中ではドアを外した
黒いドアを燃やさなかったことで女は金切り声で歯軋りした
自分より偉大な者に懸けて誓うことによりどんな論争も終わる
その誓いは法的な保証だからだ
歯は前線の城なので
マウスピースはあたためておけ
公民館のワタナベとマツモトの子らをがっかりさせて
町営住宅の 来た道を急いで戻る
アイダさんが見にくるとりかえしのつかない夜に
特攻の蚊が遠くで
サックスよりも遠くで
墨流しに似た白線の平行移動
マル・ウォルドロンのホールトーンの平行移動
カミナリもありまっすぐには降らない
点々だし
マスクメロンを被っていた
藤井マリの消息を久しぶりに目にした
カボチャは売られていた
冬瓜
夜叫ぶ鳥等
身軽になって
やさしさの反対に除き去られ
富はわたしたちの為に使われ
痺れが辛さに対するように
四次元から感情を見下ろす
示されたのはモダニズムの線の限界
海底の山を飛行機から見下ろす
額には三つの海
手の平は甲より厚く柔らかく
高さと低さの測定の為に
1㎠に2500のセンサーがある
無人の店の実の正しさは
予測できる富の消滅
忘れ去られていく死んだ人々
シーズン2まで形作られた
論理と思われていたもの
シルバーヘアの内面が黒
宇宙外の服の人がいるけれども
外はいずれ衰える
前もって考えた
親に育てられなかったが
根から青く変わった
コンクリートさえも輝く
ダクトはクジラ内部の乱視のイカのようだ
塗り絵の囲み線に
夜の水色を乗せる単純が
壁に髪ごと埋め込まれている
吊り梯子で外縁へ出、
家族の言うことを聞かない
卵子星のヘリウム→炭素 爆発
星 と 人 にも示される
ザラメの回転の 声
崩壊は意図されていたものか
大気は断熱材として
ヨクちゃん
竹という草は
家や服に
草津のヨクちゃん
赤ん坊の黒目がちに戻れたら
白クマの毛は透明だが
皮膚は黒なので鬼萩
体温は37℃をキープ
動物は永遠に生きない
二千億の星のキズナのいわれ
矯正のいわれ
他愛のない言葉に
脱ぎ捨て 身に着ける
断熱材としての家や服
四肢の整った
青髯の身分証明
脱ぎ捨て 身に着け
犀を抱いて二人で歩め
と陰影明朝体で発音する
魚の顔でギャングに会う
夢の中で殴ってくる
夫のいない天候
落下する胸の水
子供というより子供の気絶死に気を配り
あやめのセットアップを手伝う
必要な土に還元され
根差した垂直の労苦
パンツを履かされた石
一つ選び 継続する
人類だけでなく 私に
一つ選び 継続せよ
裏の裏を裏返して
すっかり疲れて元気
夢の中で殴る
燐寸とは誰か
薪を割り変化を補給する
高知の魚の下顎の歯の列
落葉眼に降るジャングルで霊的に餓え
撫で肩に従う
爽××××
顎のラインがしんちゃん
鰐の蝦蟇口
一日二ドルの収入
海はその深さによって分断すると同時にその名のさらなる深さによって私たちを結び付けている
絶えない体
絶縁された体
配偶者の必要に敏感な
カフカの耳をしているが
この辛抱は本物だ
温和 温和 温和
敬う
その概念さえない中で
示し方を教える
褒めすぎてはいけない
自慢する姿を見せない
おきてがまもりとならなければならない
誓いにより論争は終わる
夢の中では悪魔が興行していた
他の岬の境界にある仮の建物で
見知った人々がパゾリーニ組のように役を演じていた
夢が妄想以上に経験に食い込んでいることに気付いた
ロッヂにはハンバーガーの名前が付いていて
ラファエルを通して祈っていたので舞台は剥がれた
便所裏の草叢で
最初は家族だったと思い至った
その思い出を体系化しようとしたのだ
韓国朝鮮語特に韓国語手話のメンタリティは半分海峡に埋まっている
感情は役に立たない
感情ではなく行いによってしかそれは示されない
感情は後から付いてくるだけだ
それは終わらせることができない
それは永遠に続く
それは感情ではない
パゾリーニ組の劇団シナプス
それはやさしさからは程遠い
それは感情ではない
感情は遥か下に見える
麻から眺めた辣のように
被抑圧者への同情も抑圧者への感情も支配者の論理に絡め取られる
巧妙な椅子のすり替えによって
わたしからノートを取り上げ替えたばかりのタイヤをパンクさせた
支配するとは支配していないふりをするということなので
偽の為政者を立てることまでして隠れようとしている
憎悪を見える為政者に集中させるためだ
だから感情は役に立たない
感情移入の能力を利用されてはならない
犀を抱いて二人で歩むためには
夢や妄想ではなくストレスの中に棲む戦士でなければならない
その定義ではなく実戦のテクニックを教えなければならない
それは