原田淳子
三月はワルツ
春の嵐に
虎の哀しみを撹拌させる
溶けてバターになるまで
アン・ドゥ・トロワ
生・死・不明
愛が
妬いた刃をむけさせる
雨を弾にかえる
殺し殺される恐怖を
脅迫で語る勿れ
殺戮に善悪はない
命の対価で失うのは
小麦粉だけではないでしょう
仔猫が埋められたというその固い庭に
山鳩の屋根から種をばら撒いた
永絶された未来
一次元のスケートリンクで四回転半
夜更けの地震
土砂降りの雨
季節が身震いして
三月、シフォンの陽光が
花を照らす
バターになるまで
哀しみを撹拌させる