佐々木 眞
お久しぶり、おらっちコロンボ。
うちのカミさんとテレビを見ていたら、ニッポン国の首相と並んで若いモデルが立っていたので、誰だろうと画面を見直したら、ぬァんとまあ、2022年5月11日の今日、来日したばかりの、フィンランドの美貌の首相、花も恥じらう37歳のサンナ・マリンさんではないですか。
容姿端麗が歩いている! 才色兼備がほほ笑んでいる!
ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして、従来の中立政策を放棄し、NATO加盟を即決した、決断と実行の政治家として、世界的に注目されているようだが、んなこたァ、どうでもよろし。
容姿端麗が歩いている! 才色兼備がほほ笑んでいる!
テレビをつければ戦争、自殺、沈没、行方不明と陰惨な悲劇ばかりだが、そんな中でも時々マリンさんのような目の覚めるような容姿端麗、才色兼備が登場して、文字通り瞼が垂れ下がり、棺桶に両足を突っ込みかけた老人の、目覚まし草になってくれる。
容姿端麗が歩いている! 才色兼備がほほ笑んでいる!
ニュージーランドの首相ジャシンダ・アーダーン、デンマーク首相メッテ・フレデリクセン、モルドバ大統領マイア・サンドゥ、
世界は、美人すぎる政治家で溢れている。
容姿端麗が歩いている! 才色兼備がほほ笑んでいる!
ニッポン国にも容姿端麗な美人政治家がいることはいて、例えば自民党の三原じゅん子参院議員なんかは、文字通りその最右翼だろうが、惜しいことには、おむつの中身が八紘一宇で満杯で、こればっかりはどうしようもない。(きっと金八先生の教育が間違っていたんだろう。)
容姿端麗が歩いている! 才色兼備がほほ笑んでいる!
「若いのに宰相兼備。世の中にはこういう政治家もいるのねえ。生まれ変わったら、こういう政治家もいいわねえ。ところで、あなたはどういう人に生まれ変わりたいの?」
と、カミさんが尋ねるので、こう答えてやった。
「おらっちは、もう人間様にはこりごりだ。すぐにお互いにいがみ合って喧嘩して、喧嘩だけならいいけど、それがあっという間に無辜の民草を巻き込む戦争沙汰になってしまう人間社会なんかに、もう生まれ変わりたくはない。次は、鳥ならホトトギス、蝶ならギフチョウ、魚ならメダカ、花ならスミレにしよう、と、こないだ交通事故で死にかけて以来、心に決めているんだ」
「あらまあ、あーた、人間は、死んだら人間に生まれ変わるのよ。蝶よ、花よ、は反則よ」
「反則なんか知るもんか。昔から父母未生以前の存在は、人間を含めて地獄、餓鬼、畜生、修羅、天上の六道を行ったり来たり輪廻転生していて、草木国土悉皆成仏、かの梅原猛選手が唱えたように、人間は花鳥風月から修羅、犬畜生まで、なんにでもなって、何千何万回となく生まれ変わるのさ。げんに我が家のコウ君なんか、お釈迦様がお座りになっていたハスの葉っぱの生まれ変わりじゃないか」
「コウ君はそうかもしれないけど、私はずーっといろんな人間に生まれ変わっていくのよ」
「へえ、そうかい。おらっちは、随分長い間生き続けていて、もはや見るべきほどのものは見たずら。人間なんかもうたくさんだ。とりあえず次の世では、かの藤原定家が、夜も寝ないでその一声を待ち望んでいた、ホトトギスの♂なんかになりたいな」
「じゃあ私♀とは、もうすぐ永遠のお別れという訳ね」
「いや、永訣ではない。長い目で見れば一瞬の、ほんの束の間の別れだ。しばらくはお別れして、別々の人世、いや別々のライフ・ステージを、楽しもうではないか! 永久に不死身の輪廻転生を、テッテ的にエンジョイしようではないか!!」
「変なの」
「変でも構わない。それが人世さ。いや、もとい、僕たち、生きとし生けるものの、永遠の相なのさ」
「そうなの?」
「そうさ、レッツ・エンジョイ・輪廻転生!」
(2人声を合わせて)「レッツ・エンジョイ・輪廻転生!!」