公園で

 

さとう三千魚

 
 

七月には

近所の公園の
花たちに

水をやった

サルビア
ジニア
コリウス

どれも地上の花たちだった

毎朝
水をやった

たまに
夕方もやった


おいしいかい

花たちに話しかけた

七月が
終わった

八月に福生の街を女と歩いたことがあった

遠い日
夏草が茂っていた

光ってた

塀の外へ
歩いた

草叢に佇ってた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

残り雨

 

たいい りょう

 
 

バス停の屋根から
滴り落ちた 残り雨

いくばくもない生命(いのち)を
振り絞って

まるで 渇れ果てた 涙のよう
それでも 乾いた地面を
しっとりと濡らす

人は なぜ 生まれるのだろう
人は なぜ 生きるのだろう

異星人の声が 聞こえてきた
わたしは 火星から やってきた

音のしない葉音は
幽霊のように
手足をそよがせる

そして
盲目のわたしは すべてを
心のスクリーンで映すから
何も消えない

だから
私は 胸に手をあて
額を涙で拭う

明日 天気になあれ