広瀬 勉
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バス停の屋根から
滴り落ちた 残り雨
いくばくもない生命(いのち)を
振り絞って
まるで 渇れ果てた 涙のよう
それでも 乾いた地面を
しっとりと濡らす
人は なぜ 生まれるのだろう
人は なぜ 生きるのだろう
異星人の声が 聞こえてきた
わたしは 火星から やってきた
音のしない葉音は
幽霊のように
手足をそよがせる
そして
盲目のわたしは すべてを
心のスクリーンで映すから
何も消えない
だから
私は 胸に手をあて
額を涙で拭う
明日 天気になあれ
と