ファンファーレ

 

長谷川哲士

 
 

ケムリ模様の雨模様
雨ばっか降りやがって
どんどん雨激しくなりやがって
哭く喚く天の声なのかよ
ひゃっひゃっひゃっ

ああキノウの蝶々だなこれ
地に目を遣る
激しい雨に打たれ打ちひしがれて
飛ぶ事諦めさせられ
死んで行った美しい揚羽蝶
その美し過ぎる屍はヌルリ輝く

まるで嬉々として残酷シャワーに晒され
爆音警報鳴り止まぬ中
びしゃびしゃ飛翔しようという
抵抗の姿を見る
それは神々しく狂おしくも無残解体へと変容し
黒いアスファルトに貼り付けられる結局

その燻んだ翅模様、死んだ一昆虫の微々たる光
ぺたりと存在しています、ばらばらばら
ひとごとでも無かろうに、ククク笑いが込み上げる

死への面影だけは身綺麗にしておきたいものだ

 

 

 

蝶のように

 

さとう三千魚

 
 

犬猫病院から帰った

郵便局で
手紙を出して

海によってきた

秋の空
みてた

帰りにカナダビール屋で
缶ビールを

買ってきた

詩をひとつ作り
カレーも作るはずだったが

飲んでしまった

夏が終わり
犬のモコ

すこし元気になってくれた

うれしい

ビール
美味しい

夏は終わったのかな

ことし
庭に

羽黒蜻蛉はこなかったな

いつも
梅雨の終わりから

夏に

番いで
蝶のように

浮かんでいた
浮かんでいたな

 

 

 

#poetry #no poetry,no life