受ける

 

さとう三千魚

 
 

昨日
午後に

隣り駅に降りた

椅子と
手帳と

ちいさなプリンターをカバンに入れていた

北口広場で
ひとり

月の初めの
日曜日

ここで詩を書くことをしている
立ち止まる人に

名前と
好きな花と

詩のタイトルを

手帳に
書いてもらう

それから
その人の

詩を書いてみる

プリントして
渡す

昨日は
だれも

立ち止まってくれなかった

師走の風
寒かったな

過ぎていった
足早に過ぎていったな

地上で
空から降るものを見ていた

てのひらに受ける

無いものを
受ける

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

国道

 

塔島ひろみ

 
 

うしろに大きな川がある
大きなモノたちが流れている
町を貫いて 幅をきかして流れる ニンゲンがつくった川のふちに
取り囲んで あしげにして 
追いつめていく
なにも悪くない彼を 白いへびを
逃げ場のない場所に追い込んで
執拗にいじめる
巨大なモノらは猛烈なスピード 轟音をとどろかせ
耳がおかしくなってしまいそう
頭がこわれてしまいそう
胸がつぶれてしまいそう
おそろしくて くやしくてしょうがなくて
彼を打つのだ
抵抗しようのない 弱い(そうに見える)へびを
バシンバシン 打っても打っても川の音にかき消されるからより強く 激しく 大勢で打つ
血が出ている 舌を出している

ニンゲンの川に近付いちゃいけない
あのモノにはみんなニンゲンが入ってて
流れの先は海じゃない
ニンゲンがいっぱい集まって
殺してるんだ
ニンゲンがニンゲンを 殺してるんだ
巻き込まれたらうちら ひとたまりもない 

白へびは痛そうで かわいそうで みじめで
うごかなかったけど生きていた
目をとじていたけど 聞いていた
その小さな耳に口を近づけ
うちらには ニンゲンさまがついてんだい!
と私はわめいた
へびは少しピクピクとする
おれらには ニンゲンさまがついてんだぞい!
仲間も叫んだ

川ができるまえは 向こうに行けたよ
ちょっと行くと海があって空があって およいだり とんだり いろんなのがいる

2階のベランダでキツネが洗濯物を干している 
キツネは太陽を探していた

 
 

(篠崎2、京葉道路そばで)