“unify my heart” を聴いている

 

さとう三千魚

 
 

ポカンと
浮かんでいた

白い雲が
青空に浮かんでいた

あんなふうに
浮かべたら

いいな

いちど
空を飛んだことがあった

飛ぶというより
落ちたのだった

ハワイだった
旋回して上昇する飛行機のドアが開いて

パラシュートを背負った男と
落ちたのだった

だいぶ落ちて
男のパラシュートは開いた

ゆっくりと
旋回して

地上に佇った

今朝も
小川の傍を歩いてきた

雲が
いた

小川に白鷺がいた

黄色い水仙の花の老いて揺れていた
菜の花の群れて咲いていた

小さな
カタバミの花もいた

いまは
工藤冬里の”unify my heart”を聴いている *

工藤冬里が
呻いている

こころをひとつにして
こころをひとつにして

こころを
ひとつにして

あの雲のいるところ
あの白鷺のいるところ

あの水仙と菜の花とカタバミの花のいるところ

 
 

* “unity my heart”は工藤冬里のワンマン「2004.5.5 裏窓」 の最初の曲です.
https://torikudo.bandcamp.com/album/200455

 

 

 

#poetry #no poetry,no life