michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

He has an eye for the beautiful.
彼には審美眼がある。 *

 

さとう三千魚

 
 

every day

write one poem

I have it in the “Beach Wind”

I promised Tori Kudo

Today
I took a walk in the evening

I met
with Nora

Nora is a stray

Nora looks like Tori Kudo

He glared

naked
It was rusty

Nora left the flowers and stayed close to them

He has an eye for the beautiful *

 

 

毎日

詩をひとつ書いて
“浜風”に

載せている

工藤冬里と約束した

今日は
夕方に散歩して

ノラと
会った

ノラは野良だ

ノラは工藤冬里に似ている

彼は睨んでいた

裸で
錆びていた

花を離れて花の近くにいた

彼には審美眼がある *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

死体の無い死

 

工藤冬里

 
 

まだ世界があり稲は髪の毛のように伸びている
預言とは妄想を塞いでいくことだ
徒刑まであと何歩
全ては変わらないし変えてはいけないことを知るべきだ
ところが
死体の無い死は妄想を塞がずに却って
what is truth
と独語する冷笑的な世を 呼び寄せる
呼び寄せられた世に草生す
生きることしか考えない本能が
真夏の
放水路の脇の
水の流入した畑の
ミントの群生の傍に腹を浸し
生命力の減衰のみを待つ
呼び寄せられた世に草生すまでが妄想の永遠だ
死体の無い死に呼び寄せられたTLが草生す
最期まで生きることしか考えなかったが
最期まで自分のためには生きなかった
きみは冷たい水の流入したミントの傍に腹を浸す
戦後何十年経っても発見されない水漬く屍のように

 

 

 

#poetry #rock musician

王国

 

原田淳子

 
 

 

夜は蝉たちの王国

噎せかえる闇
嗚咽する夏

‪19時、‬
コインパーキングのネオンサインは海を指す
汗まみれの腕
涙とおなじ辛さの泡

髪をほどいて波を歩く

暗闇をみると絵を描きたくなるのは
黒がまぶしいから

蝶を捕まえてみたら
口紅だった
久しぶりに化粧をして、踊った

朝の葉にぶらさがった亡骸
三日月形のゆりかご

水たまりに蹲る
白と黒のきみ

ゆりかごは
まだ微かに揺れている

波音のとどかぬ
貝の螺旋のおくのおくで祈る

どの光も途切れぬように
揺れつづけて

 

 

 

There is no accounting for tastes.
趣味というものを説明することはできない。 *

 

さとう三千魚

 
 

midnight
I’m listening to Sinfonia

Zhu Xiao-Mei’s
Sinfonia

I’m listening

Her life must have been a hardship
but

Her music is far from hardship
Her sinfonia is away from hardship

There are moments of light.
windy

I can’t explain the music
Like I can’t explain life

It’s like love
It’s like a pony

run off

There is no accounting for tastes *

 

 

深夜に
Sinfoniaを聴いている

Zhu Xiao-Meiの
Sinfonia

聴いてる

たぶん彼女の生には苦難があったのだろう
だけど

彼女の音楽は苦難から遠くにいる
彼女のsinfoniaは苦難から離れている

瞬間の光があり
風がある

音楽は説明できない
生が説明できないように

恋のようでもある
仔馬のようでもある

走り去る

趣味というものを説明することはできない *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

あきれて物も言えない 15

 

ピコ・大東洋ミランドラ

 
 


作画 ピコ・大東洋ミランドラ画伯

 
 

ナガサキアゲハと会った

 

ここのところ猛暑が続いている。

7月の終わりまで長雨が続いていたことが嘘のようだ。
今日の浜松は気温が40°Cを超えたということだ。
日本の最高気温を記録したとTVのニュースで言っていた。

40°Cというのはヒトの体温よりも暑い。
外にでて日射しの下に長くいたら熱中症で死んでしまうだろう。
猛暑というのか酷暑というのか。
こんな夏を灼熱の地獄といったらもっと酷い場所に居られる方々からお叱りを受けるだろうか?
しかし2020年のこの夏のことは、たぶん忘れられないだろうとわたしには思える。

コロナウイルスが蔓延しているにも関わらず世界の指導者たちは経済を優先した政策を取っている。
日本も同様に感染者数が増加しているなかで「Go To トラベル」事業という政策に舵を切った。
アメリカもロシアもブラジルもインドも指導者の政策により灼熱の地獄に向かっている。
日本も政治の無策が続いている。

中国は香港国家安全維持法により地獄への道を選んだ。
中国は国内においても、チベット、香港においても、国家の安全を維持するためというよりも、
共産党独裁体制を維持するための法案を作り人々の生と生活の自由を取り締まろうとするだろう。

ここまでくると国家というものを動かしている指導者たちの動向が日々の中に見えてくる。
国家の政治というものがいかに偏ったものであるかが見えてくる。
その偏りに巣食っている者たちがいるのだろう。

国家という枠組みを考えなおす時ではないだろうか?
国家は本当に人々に利益をもたらしているのか?
むしろ国家はわざわざ世界の人々を分断させていないだろうか?
国家は暴走することをわたしたちは知っている。
国家の指導者たちの暴走をわたしたちは監視する必要があるだろう。

また国家を超えて人々が繋がるようなシステムをわたしたちは構想するべきではないか?

朝、ナガサキアゲハと会った。

女が出掛けるのを犬のモコと見送り、
モコを抱いて、
木蓮と南天と金木犀、あじさいに水をやり、
ヤブタビラコに水をやる。

ふと見上げると金木犀の枝に蔓を這わせて咲いたノウゼンカズラの花に赤い斑点がある黒揚羽が舞い降りてきたのだった。

ナガサキアゲハだった。

ナガサキアゲハが、
ふわふわと舞い降りてきてノウゼンカズラのオレンジ色の花にとまったのだった。
この灼熱の日にナガサキアゲハはノウゼンカズラのオレンジの花にふわふわと舞い降りてきたのだった。

その無垢に眩暈がした。

この灼熱の世界を見て、
この灼熱を引き受けて、
原初がもういちど世界を形成するのを見るようだった。

 

ナガサキアゲハと会った。
ほとんど言葉がありません。

 

作画解説 さとう三千魚

 

 

 

猫が生きて死ぬくらいの期間

 

工藤冬里

 
 

https://youtu.be/A0d979c-6Xo

 

猫が生きて死ぬくらいの期間
執行猶予が続いた
いろんな永遠があった
ラカンは結局全部間違ってるんじゃないか
十分に猫だったし十分に似非エッセー人間だった
もう水分の注射も無理で看取ってやってくださいと言われた
一人で死ねる草叢があって幸せだ
帰ってこないので心の中で生き始めていた
心の中で生き始めるとまだ生きているものを殺すことになる
その短い期間が永遠のように感じられる
だから/それでも
瓢箪で人の命の大切さを教えられなければならなかった

 

 

 

#poetry #rock musician

Please bear this fact in mind.
この事実を心に留めておいてください。 *

 

さとう三千魚

 
 

this morning
I saw the woman leave with Moko

I was looking at the back of a white car

I’m going to water the quack

And the lily magnolia
And a fragrant olive

Nandina

I’m going to water

A red-spotted black flycatcher flew over the orange blossoms of a knotweed that had crawled on the branches of a golden osmanthus and bloomed with vines

fluffy and light

family of birds of prey

on a hot day
Are you from Nagasaki?

Please bear this fact in mind *

 

 

今朝
モコと

女の出掛けるのを見送った

白い車の後ろを
見ていた

モコを抱いて
ヤブタビラコに水をやる

木蓮にも
金木犀にも

南天にも
水をやる

金木犀の枝に蔓を這わせて咲いた
ノウゼンカズラの

オレンジ色の花に赤い斑点のある黒揚羽が飛んできた

ふわふわと

ナガサキアゲハか

炎天の日に
長崎から来たか

この事実を心に留めておいてください *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

浚渫船

 

工藤冬里

 
 

おれと同じくらいの白髪だオールバックの白黒は善玉か悪玉か分からないが実を避けているグループがあるなら美を生み出す派手な衣装で着飾っている全て壊され更地にされ戸惑うが全ての紙もティッシュになったのには気付かない金属は原材料の形に戻され石油製品は石油に戻され解かれた繊維は糸巻きに巻き戻された巨大な板状の船が洋上のデブリスを回収して元素に仕分けていく吉本的なものがなぞるだけの籾殻殺されたとしても触れることができないセミでrocket rocket USA名前行列が通り過ぎる冷たい粘土の層が夏の終わりまで続いている虫喰いの東方美人刺蛾の柿の葉を鋏で切るとどうなる✖︎8モーゼズの前をThe Rock, perfect is his activityと言って通り過ぎる楔のwedgeから考えだけでなく欲求や感情がぶつかるように仕向けられるきみがやめるならやめるforever and ever

 

 

 

#poetry #rock musician