原田淳子
半分の朝 半分の夜
夜の森ペレリン 色の砂漠
生と死に
引き裂かれたわたし
裂け目のあなた
グラオーグラマーンの叫び声
半分の朝と半分の夜を重ねたら
永遠の海
そこでわたしは初めて
眠ることができるのだろう
争いがないということではない
回復させるのは失われたものである
病がなくなるとは過ちを許されるということ
平和がない
連れ子に雷
雨で繋がる平和が欲しい
la corona de la vida
this morning is the morning
埋葬されなかった王のように
平和ではない
ルイーズ・グリュックはこれで分かった
犬も食わない苦闘ににせの扉が開いたのだ
beauty on either side, beauty without alternative
平和ではない
スティーブンが裸になり、ゲバラだったらこのようにしただろう、とか言って両足でピアノを軍履の四つ打ちのように連打し、弦が切れそうだったがそのままピアノごと上手の袖に消えた
下手にグラスゴー的な茜色のドレスの女性が現れ、treeが修正され並列に置かれることをのみかれは拒否した云々と締め括った
平和ではない
修正主義に怨恨を持つのはいつも死者たちである
個人の仕事とは先取りした死者のアーカイブを大虐殺の前に完成させることに向けて全生活を収斂させてゆくことであり、大他者を入れ替えてシニフィアン連鎖を操作する業界の野心のことではない
平和はない
大地は叫ぶが個人では支払えず、機関説的に王が回収の機能を担う
平和ではない
それが過ぎると不在の王が貨幣となってサカナを水面に浮かせる
平和はない
犬も食わない苦しみから逃れる方法が欲望を全方向に加速させることしかないのであればそれは人格陶冶ではなく自爆テロのための下準備に過ぎない
平和ではない
凡ゆる器型がいやらしいので作りに行くとしたら可塑的で不可避的な爆発以外考えられない
平和ではない
朝から草刈りですっかり疲れたので檮原で買っておいた蜂の巣を切って食べたら少し元気が出た
イチヂクを干したやつも2つ食べ、エルダーフラワーのシロップを薄めて飲んだ
カエルは鳴くけどかなかなはなかなかなかない
beauty on either side, beauty without alternative
平和ではない
かなかないた
かなかなないた
かなたでないたかな
資本主義に於いては輿論誘導の結果としての自分を回収出来ない裂け目が自分なわけだから善悪の決定など出来るわけがない
裂け目が何を決定するというのか
全方向に欲望してゆくだけではないか
旗を振ったところで私は生きてはいない
連鎖しているだけだ
私は安倍であり私はコロナである
それだけだ
私たちはWi-Fiとウィルスによって淡く手を繋いでいる
もはや人の輪で国会を包囲することもない
身体を日本に改造され、ゴキブリホイホイを取り囲むゴキブリのように連帯させられているだけだからだ
平和ではない
勝ったらどうなるというのか
勝っても負けてもひどくなるだけだろう
平和はない
岸田今日子のナレーションみたいな曇り空
平和ではない
耳の底地鳴りを覆えcicadas
機械ではなく獣である
版図を押し広げようと犇く角は十本
扇風機と向日葵に顔を向ける
国家群を集める息は蛙の形をした偽情報であった(rev16:13,14)※
※
ἐκ τοῦ στόματος τοῦ
out of the mouth of the
δράκοντος 【 ˈdra.kon 】
dragon
θηρίου 【thirío】
wild beast
ψευδοπροφήτου 【psew.do.proˈpʰe.tes】
false prophet
πνεύματα τρία ἀκάθαρτα
spirits three unclean
ὡς βάτραχοι
as frogs
εἰσὶν γὰρ
they are for
πνεύματα
spirits
δαιμονίων
of demons
ποιοῦντα
(they) doing
σημεῖα,
signs,
ἃ ἐκπορεύεται
which is going out
ἐπὶ τοὺς
upon the
βασιλεῖς τῆς
kings of the
οἰκουμένης
being inhabited [earth]
ὅλης,
whole,
συναγαγεῖν
to lead together
αὐτοὺς εἰς τὸν
them into the
πόλεμον
war
τῆςb ἡμέρας
of the day
τῆς μεγάλης
the great
τοῦ θεοῦ τοῦ
of the God the
παντοκράτορος.—
Almighty
龍と野獣と偽預言者の口から出て来るのは3つの汚れた息(スピリッツ-プネウマ複数形)、
悪霊たちの息だ
カエルみたいに見えるそれらは奇跡的な徴(サイン-奇跡)を行い、地上のすべての国家群に向かう
全能の神の天下分け目の平和にゴキブリ王たちを誘き寄せるためだ
#poetry #rock musician
バンザイ、バンザイ
昨晩ギャン泣きの洗礼を受けた
ミヤミヤとかずとん
目しょぼしょぼさせながらトースト齧り
朝食会兼作戦会議
「抱っこする時背中ぽんぽんするといいかも」
「激しく泣く時はウンチしてることがあるからオムツ見ないと」
その横でコミヤミヤとこかずとん
バンサイ、バンザイ
両手挙げたカッコで眠ってる
おんなじカッコで眠ってる
すやすや涼しく眠ってる
昨夜コミヤミヤは口を歪めた般若の顔で
ウァーン、ウァーン
呪いをかけるように腕をぐるぐる振り回した
こかずとんは目を腫らした土偶の顔で
エァオーッオエッ、エァオーッオエッ
弓のようにぴーんと反り返って暴れた
哺乳瓶がぷるぷる震えた
恐れ慄いたミヤミヤとかずとん
おろおろ抱っこ、また抱っこ
ひたすらお怒りが鎮まるのを待った
それがどうだ
今、朝の光にふうわり浮かぶ
コミヤミヤの菩薩様のような顔
こかずとんのおむすび様のような顔
バンザイ、バンザイ
夜の顔も朝の顔も
どちらもコミヤミヤでどちらもこかずとんだ
君たちがこれからどんな変化を遂げようとも
君たちが君たちであることに違いはないよ
バンザイ、バンザイ
親父は呑んだくれ
お袋は美術なんか、だし
当時の流行りか
おもちゃを撮った写真に映り込む
白いビーナス
ギリシャ美に遠い暮らし
町営のアパートの鉄扉に指をはさむ
あわてて指を拾って
お袋が縫い付けた
おかげでゆびはそこだけ
石膏のように固まる
ビーナス
ダビデと名付けた犬は
尻尾を噛んで
ぐるぐる高速で回る
もうこいつはダメたい
保健所が明日来るけん
と父
連れで行かんどっての声も弱い
噛みちぎった尻尾を埋める
階段は燕の糞で台無し
水筒を屋根に投げる
爪を噛んでいた
幼稚園カバンの紐を食いちぎる
もう物になる!
かねがねの人生
黒光して沈む
こけしと並んだビーナスは
家じまいで
トラキアの海に
濡れている
呆けたように振り返って
死ぬと思わず死ぬな
無敵の人と必敗者が対峙する布陣となっている
雇われたrogueなアカウントだけではなくきみの顔にもおりものが覆い被さっている
the covering that is woven over all the nations
湾曲した遠浅の父母ヶ浜(ちちぶがはま)は砂ではなくカーディフ湾と同じく泥で出来ている
「楽曲」という言い方の解説が発せられた時点でアウトだからNO SHARKに倣えば次はNO ROCKだろう
黙示録の馬のサーフボードが犬も食わない悲しみを人格陶冶と勘違いしている
ヤドカリと貝のバランスが崩れた海岸でクラフトビールを売っている
#poetry #rock musician
愛とはなにか?
と
問う人たちが
けっこう
まわりにいたころ
ぼくも考えた
考え続けてみた
愛とはなにか?
と
いまのぼくなら
べつの問いを
投げかけるかもしれない
愛とはなにか?
と
どうしてあなたは問うのか?
と
もちろん
問いはしない
そんな
こと
愛とはなにか?
と
さえ
問いはしないのだから
もう
問うているかぎり
起こらないものがあり
問うこともなくなったとき
それになりきる
そんなものも
ある
愛とは
問わないことだ
ひとり
たたずむ
のかな
佇んで
いたな
きみは
ピンクの
グラジオラス
なんだね
なにを
思い出して
いたのか
うさぎ
瞳が黒かった
memo.
2022年7月3日(日)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩! 第二回 」で作った詩です。
お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。
タイトル ”うさぎ”
花の名前 ”グラジオラス(紅、またはピンクの)”
#poetry #no poetry,no life
人間は言葉があれだ
結局はそういうことだ
動物の生はすべて完全だ
詩が矢面に立つのだろう
必要悪として
悪として
ちいさな人間に於いて
泣いておわり
赤だったり
ピンク
だったり
黄色だったり
した
きみは
咲いていた
ならんで
揺れていた
緑と
青の
わたしは
場所にいた
memo.
2022年7月3日(日)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩! 第二回 」で作った詩です。
お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。
タイトル ”緑と青”
花の名前 ”チューリップ”
#poetry #no poetry,no life
からっぽ
と
いうのかしら
透明な
アクリルと
いうの
かしら
そこに
白く
咲いていたよ
リョウブの花
咲いていた
揺れていた
memo.
2022年7月3日(日)、静岡市の水曜文庫という書店で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩! 第二回 」で作った詩です。
お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。
タイトル ”透明なアクリル板”
花の名前 ”リョウブ”
#poetry #no poetry,no life