工藤冬里
人が死ぬというのに明るい声で
否認段階の痛みをやり過ごすように
観光地としての死を自撮りする
ガレルめいて白化したzoomの背景画像が離れた者たちのリアルとなり
宇宙をペンキ絵のショーにしたまま
聖地巡礼は換骨堕胎され
地と海と空だけなのに墓となる
感情史に於いては
クライマックスに於ける無感情が正史となる
いかなる革命もない
刺のあるまま進み
墓を撤去する
#poetry #rock musician
人が死ぬというのに明るい声で
否認段階の痛みをやり過ごすように
観光地としての死を自撮りする
ガレルめいて白化したzoomの背景画像が離れた者たちのリアルとなり
宇宙をペンキ絵のショーにしたまま
聖地巡礼は換骨堕胎され
地と海と空だけなのに墓となる
感情史に於いては
クライマックスに於ける無感情が正史となる
いかなる革命もない
刺のあるまま進み
墓を撤去する
#poetry #rock musician
evening
I took a walk with Moco
Always
In the evening
take a walk with dog Moco
Pink clouds were floating
Swallows were flying
At such times
I don’t need plausible words
With Moco
I was watching the clouds
Swallows were flying over the river
Swallows
It was chirping
夕方
モコと散歩した
いつも
夕方には
犬のモコと散歩する
桃色の雲たちが浮かんでいた
燕たちが飛んでいた
こんな時
もっともらしい言葉はいらない
モコと
わたし雲を見ていた
川面を燕たちが飛んでいた
燕たち
チキチキと鳴いていた
*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
あなたはなにをしてきたのか、どこからきたのか
自分で穿いたズボンのバンドを締め上げ地球を巡り歩きたい所を
歩き回っていました
もっと若かった頃は
地上そのものが牢獄なのだから場所の移動など何の意味もないと考えてみたりしてましたが
歩き回れなくなって愈々、
玉虫厨子とかを除けば、
見た、行った、が何の足しにもならなかったと身に染みました
ああそれでも
今よりもっと若くて元気だった頃は歩き回っていました
見た気になった仮想の平等主義を批判しながら
絵葉書にさえ納まりました
それが年を取ると
自分でズボンも穿けず
はい万歳してー、
と言われて伸ばす手からすっぽり
拘束衣を被せられ
徒刑場に連れていかれます
それが申し込んだツアーの結末
となりました
#poetry #rock musician
曲がった世代の曲は曲がっていた
開いていく正しさとの距離を反芻しながら
遠ざかりのうちに非難されない立体を彫塑するには
三次元は手狭だった
諦めて近づいていく遠ざかりがpopなら
音は遠ざかろうとして却って近海沖に沈む
ロックアウトされた艦内で冴えた状態を保つのは
語る服が同じ柄の果物なので難しい
自分の落ち度が原因で
最高気温は二八度だった
聞いて理解して思いやる
聞いて理解して思いやるには
三次元は手狭だった
曲がった世代の曲は曲がりにまがり
近海の水は濁りに濁り
同じ間隔を保って付いて行く敗北の中で
ビオは飲まれ
像は倒されるが
定点に留まることによって遠ざかろうとするサングラスの
縁取りの中に浮かぶ黒い箱からテクストは
陽炎の中で
黒く垂れるか
#poetry #rock musician
This morning too
woke up early
Beyond the screen door
West mountains are blue
The sky above the mountains is gray
It’s flat gray
It will rain
If
I have disappointed you
Please permit me
・
Now
There is a small lemon tree in me
White flowers are blooming
今朝も
早く目覚めた
網戸の向こうに
西の山が青くいる
山の上の空は灰色だ
平らな灰色だ
雨になるのだろう
失望させてしまったとしたら
許してほしい
・
いま
わたしの中に小さな檸檬の木がいる
白い花が咲いている
*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
西暦2020年6月18日、
霊園の入相の鐘が暮れ六の黄昏に微かに鳴り響く頃、
おらっちはアベノマスクをアベノ事務所に送り返し、
国産種を圧倒して無暗に繁殖する特定外来生物、
すなわち台湾リスと画眉鳥をば、パチンコんでばんばん撃ち殺しながら、
モリ・ガソリンスタンドの跡に盤居しているミニストップまでやって来たあ、
と思いねえ。
すると見よ!
7台の巨大な陸送トラックが、威風堂々と停車しているではないかあ。
そしてそれらのトラックのフロントガラスの上、
バスなら「行き先表示板」にあたる場所に、
よく爆走トラック野郎たちがそおしているよおにィ、
思い思いの書体とデザインで描かれたステッカーが貼られていたぜィ。
最初に「勝利する人」と描かれたトラックから降りてきたのは、“ジャンケンポン必勝法
の人”だった。
「勝利する人」は、太い右手の拳を上下に振りながら、
「最初はグー、ジャン、ケン、ポン!」と、おらっちに迫って来たので、
思わずチョキを出すと、その男はグーだった。
「あんたはチョキ、おいらはグーで、おいらの勝ち。別に金を取ろうという訳じゃあないから、もう一回やってみないか」
と男が言うので、今度はおらっちが、
「最初はグー、ジャン、ケン、ポン!」と言ってからパーを出すと、相手はチョキだった。これで2連敗だ。
「おいらはこのトラックに乗って、会う人ごとにジャンケンしとる。何千何万という人とジャンパンしたけど、今まで一度も負けたことなし。それは長年の経験から編み出した“ジャンケンポン必勝法”を知っとるからだあよ。
ええか。最初はグー、だから、続けてグーは出さない。出すのはパーとシチョキ。
しゃあけんど、グーからパーよりも、チョキの方が出しやすい。
よっておいらは、いつでもグーを出すんや。
同じ相手と2度やる時は、相手は今度はパーを出すから、おいらはチョキを出す。
あんたにそうしたようにな」
と言うて、「勝利する人」は、首猛夫のようにアッハと笑った。
「働く人」と描かれた2台目のトラックから降りてきたのは、幼馴染のノブイッチャンやった。
ノブイッチャンは、おらっちと同じ西本町に住んどった小学生時代の友達で、信夫山の彼は、栃錦のおらっちを、よくサバ折りで負かしたもんやった。
半世紀以上も前の旧友との再会に、2人ともギャッと驚いたが、その驚きと喜びは明後日の方角にさて措いて、ノブイッチャンは、なんで自分のトラックを「働く人」と名付けたのか、その理由を語ってくれたんよ。
「わいらあ、長いこと倉敷の石油コンビナートで働いとったんやけど、おんなじ土方やったら、郷里で働いちゃろ思うて、帰省したんや。
ほんでなあ、東本町の道路工事でアスファルトで簡易舗装したとき、町長はんに約束したんや。
ほんまはこんなちょろいアスファルトやのおて、頑丈なコンクリにせにゃならん。
今回はしょうがないけど、次回は最新型の戦車が通っても大丈夫な、アメ公と、も一回戦争しても勝てる頑丈な道路をつくってみせまっせ、と。
ほんでもって、それ以来、とりあえず、おらっちは、生コン運送専門の運転手になったんや……」
「遊ぶ人」と描かれた3台目のトラックから降りてきたのは、大学の先輩のタダさんだった。
千歳烏山に住んでいたタダさんを訪ねると、いつもシェークスピアを原書で読んでいたが、すぐに彼の兄貴や“怒りのチビ太”を誘って“徹マン”に突入し、それに飽きるとボロボロの“ケンとメリーのスカイライン”の助手席におらっちを乗せて、深夜の246を時速150キロで突っ走った。怖かったゼイ。
「やあ、ササキィ、元気かい。ここらへんの里山では、ゼフィルスが採れそうだな」
「去年の今頃、あそこらへんでミドリシジミを目撃しましたぜ」
挨拶もそこそこに、タダさんはトラックの後部から、蝶採集専用の大きな絹素材のネットを取り出し、ミニストップの駐車場で、2度、3度と軽やかに振りまわした。
タダさんときたら、真冬の深山幽谷に出かけて、越冬ちうのルリタテハやアカタテハを叩き起こして捉まえる“怒涛のおめざ蝶フリーク”として、コレクター仲間では鳴り響いているのよ。
しかし、まさか陸送トラックの後部を、世界中の蝶たちが自由自在ににはばたく空中楽園として改造し、全国を移動しながら、子供たちに解放していたとは、おらっち不覚にも知らんかったぜィ。
「戦う人」と描かれた4台目のトラックから降りてきたのは、高校の同級生でただ一人天下のオックスフォード大学に入った秀才のオオツキ君だった。
「どうして“戦う人”なの?」と尋ねると、オオツキ君はドアから身を乗り出して、
「あんなあマコッチャン、長いこと生きてきて、ボクようやっと分かったわ。人世はどこまで行っても、戦いなんやね」と、阿呆くさい総括をしながら、次のように語った。
「ある朝、外で奇妙な大騒ぎがする。
窓の外を見ると、道路の上に数多くの翼が波立っていた。
こんなに大勢の鳥たちが睨みあい、お互いの威嚇するように喚き散らす姿を見たのは
生まれて初めてのことだった。
漆黒の濡れ羽色で武装したハシブトカラスの大軍が、四囲をぐるりと取り囲んで俘虜にしているのは、一頭の大きな鳶やった。
孤高の王者鳶は、黒衣の集団との長時間に亘る熾烈な空中戦を熾烈に戦うたが、多勢に無勢、薄茶色に包まれた大きな肢体のどこかを負傷した模様……。
猛禽を思わせるその鋭い嘴と爪をアスファルトの上に休めていたが、やがて凶悪なカラスどもに最後の戦いを挑もうと、ゆっくりと黄金の双翼を広げたあ……」云々
「愛する人」と描かれた5台目のトラックから降りてきたのは、郷里の西本町のヨイヤマカメラ店の跡取り息子の、ユウヘイ君やった。
「マコちゃん、増村保造監督の映画「赤い天使」をみてみなよ。
弾丸雨あられの戦場で、芦田外科医を愛した看護婦の若尾文子はんは、一晩かかって中尉の中毒とインポテンツを、文字通り“身を呈して”、ケンシンテキに治してやる。
ほんでもって、男として人世に復活した芦田中尉は、最後まで最前線で敵と戦って、見事に死んでいくんや。ホンマ、泣けるでえ。
おらっちは、若尾文子はんのような赤い天使に愛されたい。愛したい。
あんたかて、そう思うやろ?」
と言いながら、また運転席に戻っていったんや。
「さすらう人」と描かれた6台目のトラックから降りてきたのは、高校時代の友人のキタハラ君やった。
キタハラ君は学業も優秀だったが、独学で始めたピアノの達人で、音楽教室の片隅に置いてあったヤマハのアップライトピアノで、モザールやバッハの鍵盤音音楽をたくさん聴かせてくれた。
ので、当時「谷間に3つの鐘が鳴る」命、だった我々全員が、熱烈なクラシックファンになりました。
東京教育大学の英文科に進学したキタハラ君やったが、当時上映されていた「5つのたやすい曲」という映画をみて、ミンセイに飽き足らんかったか、賀来丸に嫌気がさしたか、よお知らんけど、せっかくの英文科をいきなり中退し、その後、アルバイトで貯めたお金と親の遺産でこの立派なトラックを買うたそうや。
ほいでもってその後部に、ハンブルグ製のスタインウェイの最新型のピアノを乗せて、放浪と演奏の世界漫遊の旅に出たそうです。
「キタハラ君、久しぶりにバッハを聴かせてくれよ」と頼むと、
キタハラ君は素早くトラックに攀じ登って、バッハの“フランス組曲の第5番”を、グレン・グールドよりも早く、ギーゼキングより少し遅いテンポで、おらっちのために演奏してくれました。
最後の7台目の車には「沈黙する人」と書いてあった。
どうして「沈黙する、なの?」と尋ねたが、ドアの中の運転手は、なにも言わずにトラックの後部に消えた。
それで仕方なく、うんと背伸びをしてシートの中を覗き込むと、彼は10円玉と100円玉をいっぱい集めて、それを一枚一枚ポリプロピレン・ボックスの細かな枠に丁寧に並べている。
どうやら大量のコインを、鋳造年度別に整理整頓しているようだ。
年度別に積み重ねられたコインは、みるみる、どんどん、どんどん積み上げられ、天井すれすれの高さに聳え立っている。
すると彼は、突如せっかく積み上げた鋭く尖ったお城を、全部バアーンと叩き壊してしまったが、辺り一面に散らばった10円玉と100円玉をかき集め、またしても鋳造年度別に、高く高く積み上げていくのだった。一声も発することなく……
――――――――――――
やがてミニストップの駐車場を出た7台の陸送トラックは、
ハイランドの急坂を喘ぎ、喘ぎ、登りつめ
音色の異なる7種類の警笛を
「なんだ坂、こんな坂、赤尾薬局、遠坂薬局」
と思い思いに吹き鳴らして、おらっちに別れを告げ、
ホトトギス鳴く葉桜並木の向こうへと消えていったのよ。
meet that flower
suddenly
I meet that flower
when taking a walk
I should have always seen the flowers
I didn’t know
with that stray cat
met
did not notice
until now
did not notice
・
They suddenly came over
花に出会う
突然
わたし花に出会う
散歩の時
いつも見ていたはずなのに
きづかなかった
野良猫と
出会った
気付けなかった
いままで
気付けなかった
・
突然 向こうからやってきた
*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
私のために邪魔になるものを排除してくださった
商品を、店を、労働を
共生と共犯と強制を
パソコンとパトロンとパンタロンを
最後には地球を
未来完了で
走り回る
ブリクストンで回し飲みした古い経験を語る
貧困の踵に襲いかかる
分捕られ椅子からずり落ちる
目の可愛い魚は遺言を守る
ぶとぶとの中年になってゆく拳銃使いは塀を越えて伸びる
その意味のまとまりは母胎と山の祝福に勝る
涙を拭い去るためにカウカウファイナンスのティッシュを渡される
過払金欲しさに借金が増える
未来完了しかない一致に抉られる
騒ぐので横たわり道になる
その道を逆走してくるサポーターを待てと言われる
それは様々な性格の猫を暴れさせる
卒なく熟す見事な野菜がパソコンとパトロンとパンタロンを排除する
#poetry #rock musician
Yabutabiraco
YabuKarashi
Halzion
Orrea
Allium tuberosum
Allium nipponicum
・
I transplanted those flowers into my heart
*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life