工藤冬里
さて
ところで。
わたしに対する治療は存在しない
わたしに対しては隔離だけが存在する
わたしに医者は存在しない
宣言する者だけが存在する
病は汚れだからだ
汚れているか汚れていないかの判断と宣言だけが存在する
禿げは汚れではない
父は最晩年に頭の天辺が少し禿げてきていた
誰も何も言わなかった
さて
ところで。
病は無くなる
禿げも
たぶん無くなる
さて
ところで、
#poetry #rock musician
さて
ところで。
わたしに対する治療は存在しない
わたしに対しては隔離だけが存在する
わたしに医者は存在しない
宣言する者だけが存在する
病は汚れだからだ
汚れているか汚れていないかの判断と宣言だけが存在する
禿げは汚れではない
父は最晩年に頭の天辺が少し禿げてきていた
誰も何も言わなかった
さて
ところで。
病は無くなる
禿げも
たぶん無くなる
さて
ところで、
#poetry #rock musician
ぼく、ソナタ好きですお。
ソナタ弾いてよ。
嫌ですお。
あした図書館へ行ってえ、西友へ行きますお。
分かりましたあ。
お見合いって、なに?
結婚しようと男の人と女の人が会うことよ。
ぼく、お見合い好きですお。
そうなの。
「エール」でお見合いしてたよ。
してたね。
スマップ、やめたの?
そう、やめたのよ。
なんでやめたの?
なんでかねえ。
孤独って、なに?
一人でさびしいことよ。コウ君孤独なの?
じゃないよ。
ワイドドア、椅子が少ないね。
そうだね。
精神的って、なに?
気持ちの持ち方よ。
お父さん、ヨシネキョウコはナナだったんですお。
なに、なに?
「高嶺の花」の話ですお。
留守は、いないことでしょう?
そうだね。
忘れはしない、って、なに?
忘れることはない、よ。
恋って、なに?
とっても好きになることよ。
お母さん、なにとぞ、って、なに?
どうぞ、のことよ。
輸血って、なに?
血が足りないから血を注射することよ。
「話しちゃダメ」って言われたんですお。
誰に?
イナズミさんに。
どの放送の話なの。
「高嶺の花」ですお。
お母さん、ぼく、お祭り好きですよ。
そうですか、ワッショイ、ワッショイ。
ワッショイ、ワッショイ。
局地的って、なに?
その場所だけ、だよ。
プラネタリウム、なに?
お部屋の中でお星さまを映し出すとこだよ。
お父さん。病院は怪我したとき?
そうだよ。病気したときもね。
綿はオクラに似てるね?
そうだね。
オクラ、ねばねでしょ?
そうだね、ネバネバだね。
ねばねば、なばねば。
ぼく、ポンキッキ好きだお。
お母さんも。
お父さんも。
激励会って、なに?
励ます会よ。
マコトさん、立ち止まったらだめでしょう?
ダメだね。
縁起でもないって、なに?
そんなこと心配しないでいいよ。
エイコさん、薬剤師さん?
そうよ。
もう一丁って、なに?
もう1回よ。
お父さん、石原さとみのビデオ録画した?
したよ。
した?
しましたよ。
お母さん、「夜明けよ」印刷してね。
分かりましたあ。
人身事故だと電車動かないでしょ?
そうだね。電車とまるとコウ君どうするの?
分かりませんお。
マコトさん、ボクジョウ、まきばのことでしょう?
そうだよ。
ジュンサイ、つるつる?
そうだよ。
コウ君、スイカ食べますか?
食べますお。
モモ食べますか?
食べますお。
ブドウ食べますか?
食べますお。
水ようかん、食べますか?
食べますお。
海が見える道を通りますか?
通りませんお。
車体構造って、なに?
車の中身だよ。
お母さん、一直線て、なに?
まっすぐよ。
お母さん、従うって、なに?
言うことをきくことよ。
ぼく、オクラ好きですお。オクラ、アフリカ原産ですお。
へええ、そうなんだあ。
お父さん、ひっぱたいたら痛いでしょ?
そうだね。痛いね。
コダック、会社の名前でしょ?
そうだよ。
なんでキシモト先生「またケンシン」ていったの?
また歯をみましょうね、とおっしゃたのよ。
ぼく、リョウちゃんとサカイさん、両方好きだよ。
そうなの。
「ほか」って、「以外」のことでしょ?
そうだね。
駒、将棋でしょ?
そうだね。
ぼく、将棋したいですお。
感じるって、思うことでしょ?
そうね。
Uターンって、なに?
くるっと回ることよ。
Uターン禁止って、なに?
ここでくるっと回ってはいけません、よ。
お父さん、名前の英語は?
ネームだよ。
名前、名前、名前。
めぐむって、なに?
困っている人になにか上げたりすることよ。
め・ぐ・む、め・ぐ・む、め・ぐ・む
農作業って、なに?
田んぼや畑でお米とかお野菜とか作ることよ。
迷ったら困る?
迷ってもいいよ。
ぼく、少年隊、好きですよ。
そう。お母さんも。
感動、なに?
こころに響くことよ。
お父さん、ぼく「アンサング・シンデレラ」の最終回みます。
わかりましたあ。
お母さん、せめてコウ君が死ぬ前の日までは頑張って生きるようにするわ。いや亡くなってあと1週間かな。あとはお父さんにまかせて。
コウ君、イトウ君はね茅ヶ崎から相模線に乗って2番目の駅で降りるんだって。
香川ですお。
え、そうなの。
蒲、蒲田の蒲でしょ?
そうだね。
お父さん、竹中直人、録画してくださいな。
何曜日ですか?
日曜日ですお。
分かりました。
when I was young
I met Yasutake Funakoshi’s book
it’s an upholstered book
the word “boat” is stamped on the cover with silver foil.
in that boat
there was a human
I read the book
I wanted to meet the statue of the 26 saints
a few years ago
I went to Nagasaki to visit Chihiro’s grave
some days
I walked in the city of Nagasaki
I met the saints at that time
in the sky
floating
Nagasaki was a hill town
I heard the whistle of the ship
I heard the church bell ring
so
it came true
・
Would you mind shutting the window *
若い頃
舟越保武さんの本に
会った
布張りの本で
表紙に”舟”と銀の箔が押してある
その舟のなかに
ヒトがいた
その本を読んで
二十六聖人を見たいと思った
数年前に
千尋さんの墓参に長崎に行き
何日か
長崎の街を歩いた
その時に聖人たちと会った
空に
浮かんでた
坂の街
だった
船の汽笛を聴いた
教会の鐘の鳴るのを聴いた
それで
叶った
・
窓を閉めてくれませんか *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
世話することが仕事だった
世話の必要な羊を世話するために
食べない羊を飼い始めた
給料をもらうことが仕事なのではない
世話することが与えられた仕事だった
飼うことそのものが仕事だった
飼うために飼った
きみがペットを飼っているとしたら
それがきみの仕事なのだ
草むしりは仕事ではない
野菜作りは虚しい労力の浪費であった
地面は石ころだらけで
川の氾濫もなかった
それは草も生えないその達成は今日の労働に似ていた
労働の結果は火花に似ている
着火はするが燃え上がることはない
一二月一六日的空を 心はしていた
#poetry #rock musician
冷えた空に
一条の残照
夏の思いが
渡る
the wind was strong
yesterday
outside
The princess apple tree pot
I put it in the front door
in the winter sun
the princess apple tree had its leaves glowing yellow
mother-in-law
she laughed at me
that winter day
I will never forget
I can’t forget
・
It began to rain cats and dogs *
風が強かった
昨日
外の
姫林檎の
鉢を
玄関の中に入れた
冬の日を
浴びて
姫林檎の木は
葉を黄色く光らせていた
義母は
はにかんで
笑ったな
あの冬の日に
忘れない
忘れ
られない
・
雨が土砂降りに降り始めた *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
デイビー デイビー・クロケット
素敵ないい男
スタートダッシュで出遅れる
三つで熊を倒す
僕は四歳
万世一系の系図を憶える
二つ以上数えられない人たちが国を作る
三つ目は数えられない人たちの
政党
だだっ広い荒野
どこまで行っても離される
僕は四歳で倦怠を知る
デイビー デイービクロケット
真逆のいい男
時間とは熱の不可逆性との闘い
私は自らの体温でなんとかそれを乗り切った
#poetry #rock musician
2020年12月11日、今日はいつものように、あてどなくめぐり転ぶのではなく、練馬の関町の庭から一歩も出ずに、書き始め、書き終えてみたい。モリカズさんのようにというのは笑止のごとく烏滸がましいけどね。ところで、さっそく寄り道ですが、烏滸がましい、おこがましいの「烏滸」は水際でカーカー鳴き騒ぐ烏の意味から来ているそうです。言わずもがなのことを謙遜ぶってカースカ言う輩のことでしょうか。
それはさておき、数ヶ月を遡る、まめ蔵コロナ休業の卯月はじめ、吉祥寺視察自転車周遊を終えて、庭に帰ると、いきなりハナモモが満開であり、箒状の幹に零れるように咲く純白の花群がそれは眩いのだった。このハナモモの種類は「照手白」てるてしろという。歌舞伎や浄瑠璃の演目として伝わる小栗判官照手姫伝説由来の花桃で、花の色の赤は照手紅、ピンクは照手桃、白は照手白である。
我が家の照手白はまだ樹齢20年そこそこだが、そのひび割れた幹から松脂みたいなゼリー状の樹液がそこかしこに吹き出し、それはそれで好ましいのだ。というのも、いつからか、照手白には亡き母の儚く華やいだ精気が宿るようになり、その樹液は母の乳の匂いがしてあまやかで、さらに母の兄さん、つまり伯父の吐く紫煙の脂が混ざり合って、どこか馥郁たる妄想の芳香を放つようになったのだ。小栗、照手姫とはなんの関係もないが、ときに白く咲く花は、死者の息を吸って育つと聞いたことがある。
伯父といえば生前は清貧寡黙子宝高潔の人で、傾いたようなぼろ屋の門柱の裏には、隠れたように菊の紋が彫ってあった。段ボール専門の回収業、時代風に言えばバタヤさん稼業で、貧しくも高潔というのは圓朝の人情噺めいている。ダンボールうず高く積んだ自転車リヤカー、飄々の咥え煙草の伯父さん、不思議な人だった。生きていれば115歳になんなん。
庭の照手白には、妄想香求めて界隈徘徊する黒白チャップリン、サビのゲンシュウ、茶トラのココア、その名も北の国からクロイタゴロコなんかが、妖し気に擦り寄って来て、媚態にやあにやあとまあ愛らしいこと。
桜散る頃ともなれば、ぽつぽつと乙女の粟粒のような花芽が吹き出し、日ごと夜ごと膨らむつぼみが、我慢出来ずに八重九重の白い花群となって、それは美しいことである。そもそもこの照手白は22年前父の遺した古家を解体して建て直した折、近所の園芸店で6、70センチの苗木を求め植えたもの。今となっては南家小庭で樹高7メートル、帚状のシンボルツリーのようだが、そもそもハナモモはバラ目バラ科モモ属に属するだけあって、生育が早く、3、4年のうちに、小さいながら桃の実を撓わにつけて、あまた熟れて落果するのも早い。齧ってもけっして旨いことはないが、頃合いを見て、果肉を刻んでジャムに煮込むと、これが由来の照手姫らしく気品ある淡桃の芳しさ。自家発酵させたヨーグルトに混ぜ込むと、軽い懺悔の余韻のような味わいを楽しめるわけです。
後先考えずに植え込んだ、トネリコ、ムクゲ、ライラック、ヤマボウシ、レンギョウ、ドウダン、ハナミズキ、ヒュウガミズキ、雑植の木立、ときに風吹けば西向きの庭に慈悲の鳥が羽ばたき、胸騒ぎのする庭で飲むビールは格別で、そんなふうにコロナの夏が過ぎ、秋が過ぎて、さて冬来たりなば、来るべき春は?
go to the sea
even yesterday noon
I was looking at the sea
go buy tangerines
on the way home
stand on the beach
the wind is strong
on top of the tetrapod
there were two young peoples
they are fishing for scorpion fish
in the harbor
the wind is blowing
the pigeons were on the ground
ripples changed shape and spread in the sea
in the blue water
the collapsed tetrapod was sinking
there were under the swaying ripples
the sea water looks blue
because it reflects the blue of the sky
・
The airplane was lost to sight *
海にいく
昨日の
昼にも
海を見てた
蜜柑を買いに行き
帰りに
海辺に佇つ
風が強く吹いて
テトラポッドの上には
若者がふたり
いた
カサゴを釣っているのだろう
港には
風が吹いて
鳩たちは地べたにいた
海には波紋が形を変えてひろがっていた
青い水の中には
崩れた
テトラが沈んでいた
揺れる波紋の下に
いた
海の水が青く見えるのは
空の青を映しているからだ
・
飛行機は見えなくなった *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
矢が刺さる
私たちに矢が刺さる
蜂の巣のように口をあんぐり開けている間に
子供たちは飛んで行ってしまうのだ
夫は無口で
娘は勝気
夫は死んで
BUMPの追っかけをやめた娘と
こぞって屋根に上ってしまう
腐った音を食べ続けてレコード屋になるよりはマシか
ダーツに数人プールに数人
マスクしてhangingaround
ミュートして参加する
ミュートして参加するビジネス
ミュートして参加する家族
てにをはのおかしい緑のバス
Ⅰ-Ⅴ-Ⅳの無いクープラン
#poetry #rock musician