堀口大學と花田英三へ
たかはしけいすけ
詩はぼくのSEXだ
歳をとるとたくさんできない
空白空*堀口大學に「詩」という詩があり、
空白空白0その詩を踏まえた花田英三の「小日向」という詩がある。
詩はぼくのSEXだ
歳をとるとたくさんできない
空白空*堀口大學に「詩」という詩があり、
空白空白0その詩を踏まえた花田英三の「小日向」という詩がある。
楽器は
うまく弾けないが
好きなので身近においている
女の人は
好きだけど
近づいたり離れたり
響かないときに
咬みつかれるので
スプーンがなくなった
きのうも一本なくしている
床下に小人がいるに違いない
二本持っていったということは
楽器として使っているのだろう
きっとアイルランドから来たのだ
*アイルランド民謡で使われるスプーン二本で演奏する打楽器
役者でもないのに
舞台で頭の中が真っ白になり
セリフが出てこない
なんて夢を
見たことがある
ある高名な詩人は
自分の詩集を開くと
ことごとく真っ白だった
なんて夢を
見たのだそうだ
詩を書いていて
書いても
書いても
真っ白
なんて夢は
まだ
見ていない
修業が足りんな
役者のほうが
向いていたかもしれない
夢の中のぼくは
舞台を動きまわり
真っ白な頭の中から
とにかく何か言葉をひねり出して
喋り続けた
そんな夢は
久しく見ていない
現では
詩が
書き出されもせず
真っ白のまま
*第二連 詩人=鈴木志郎康さん
空0浜風文庫に発表の詩「びっくり仰天、ありがとうっす。」のエピソード
今月も足りない
思いっきり
お金を使ってみたい
と思うけど
いつも
そうして
いるんだった
あるだけ
全部
ありったけを
思いっきり
つつましく暮らしている
寒いのと
おなかがすいたのとで
風呂にするか
食事にするか
どちらを先にするかを考えて
ごはんを先にしたのだが
おなかが膨れると
暖かくもなるのだな
だんだん
よくなっていく気がする
心配し過ぎなたちなので
毎日不安で落ち着かない
滅多なことは起きないので
あんがい幸せといえるかもしれない
誰かの悪ふざけ
といったふうに
ハンガーが
おおげさな音をたてて揺れた
死んでまだあたらしい人は
親しかった人に会いにいける
というのは
こちら側でも知られていることだけど
これはちょっと
大胆すぎないか?
勘の鈍いぼくのため
とはいえ
そちら側の偉い人に
叱られやしないか心配になる
それに
いくら父親でもさ
とりこみ中ってこともあるんだよ
そこまでのことができるなら
ノックぐらいはできただろうに
寝てたので
出かける時間に
気づかなかった
知っていれば
しませんでした
神さまはいる
なんて
言わないほうがいいよ
見せてみろ
って 言われるからさ
きみがウルトラマンだっていうことも
黙っていたほうがいい
おかしいやつ
って 思われるから
ぼくも内緒にしてるんだ
自分が詩人だということは