無防備都市

 

工藤冬里

 
 

無防備都市は灰とピンクか黒と薔薇か
世界政府であろうと信頼できない
右目を押さえると黄緑が湧き出る
魚は食べない
今ゲームしてるからちょっと待って
今や彼らはしようと思ったことを何でもできる?
煉瓦で塔は建てられない

駐在!Ambassador

大夏では共産主義は根付かなかった
大使はバージョンアップされてゆくゲームに沿って盛大な平手打ちの音を立て
世界の半分と顔の雛型を生産し
滅ぼしてから返す
あとは父に直接言ってくれ

駐在は朝からラーメンを作って死んだ、
と未亡人は懐古した
遺影は笑っていた
イエイ

 

 

 

#poetry #rock musician

豪奢・静寂・逸楽

 

加藤 閑

 
 

夏色に豪奢を呼ぶ歯生え揃ふ

光舞ふ花鳥を描き纏ふかな

生毛はや薔薇に染まりて懶惰

手のなかで羽化する揚羽愛を告げ

雷鳴秘めし空は女友達の色

熱風にしばし盲目太古の戈

金の雲無人の船のマスト灼く

オパールの裸体いづみに沈めゆく

信仰の茎剝いでゆく夏星座

白はすにカロンの櫂のしづけさよ

峰雲は静寂に立ち海に落つ

驟雨去り智慧の実熟す領土かな

恋人ら合歓ひらく音に息を吞む

液体に玉蟲と寝て溶ける夢

言葉なきエピキュリアンに夏日射し

逸楽の演技者たらんと蛇殺す

逸楽に眼射られ舌抜かれ晩夏

ゆふやけにキャラバンを組む贋天使

憑代としていかづちに撃たれけり

いちじゆくの割れて喜悦の落暉かな