飼育

 

塔島ひろみ

 
 

郵便局で用をすませ家畜を連れて帰路につく
たまった洗濯物がまつ 43号棟にむかい
首に括りつけた紐を引く
家畜は太って重く膝が悪い
家畜にあわせてゆっくり歩いた
旧棟解体後放置された空地のまん中を
ふれあい通りという名の道が通る
両側に旧棟があったときについた名だ
空地には雑草が咲き乱れ 小鳥たちの絶好の遊び場となっている
疲れたので少し休む
「今日もラーメンでいいね」とぼっそり言うと、家畜が笑った
ふいに思い立ち 紐を後ろに強く引く
家畜は首が締まり、苦しそうに咳をした
ここは私達が50年ほど住んだ16号棟のあった辺りだ
広大な地面の上に空は大きく
ずっと先に11階建ての新棟が見える
黄色い花がいっぱい咲いていた
スズメが棒杭の上に立ち 歌の練習をするように 大きく長く鳴いていた
投げ込まれたゴミをカラスがボリボリと食っていた
どこかに池があった気がする
池の場所をぼんやり探しながら
私は家畜のそばににじりより 
もう使い物にならなくなった尻を叩く
肩を抱く
家畜はイヤイヤをしてそっと逃れた

 

(5月某日、高砂で)

 

 

 

餉々戦記 (ことの始まり、あるいは前口上)

 

薦田愛

 
 

洗って剥いて刻んで煮て
にんじんあおくさい
かぼちゃかたい
じゃがいもの肌理
しいたけは石突きも捨てない
トマトを湯剥きする手順は省いて皮ごと
ほうろうの鍋の白を汚す橙いろ黄いろ
まな板が空くひまがない
二十二時
地下鉄を乗り継いで二十五分
デスクの前から家にはあっという間
でも
かき揚げ天ざる讃岐うどんや
新蕎麦に日本酒でいっぱい
なんて
寄り道のかわりに家ごはん
と言えるほどのものではないけれど
洗って剥いて刻んで煮て
ぐつぐつ
くぐつのように鬱屈する思いも放り込んで茹でたり
焦がしたりするかわりに
野菜室のすみに何かわすれていやしないか
かきわけかきわけ
ああ大根のきれはし 玉ねぎ四分の一 水菜半束
いやこれは明日のぶん
当年とってごじゅうろくのわたくし
自慢ではないが
リョウリと呼べそうなことを
ほぼ経験せずに歳を重ねた
二十代半ばに半年
(つくってくれていた親が体調をくずし
あわてて料理入門書を手に弁当ひとつに毎夜二時間)
まごまごまどわぬはずの四十代初めに半年
(涙が止まらなくなって出かけたカウンセリング先で
 まず夕食だけでもじぶんでつくりましょうと促され
 赤いパスタ白いパスタ
 赤いチャーハン白いチャーハンと
 呼んでいたあやしい一品のくりかえしを半年)
そしてこのたび
発端は
最高気温三十五度を下まわることのない八月某日
夜の炭水化物摂取はやっぱり
控えたほうがいいでしょうかと
十年かよう鍼灸の先生にふと問うや
元アスリート男前の女先生「そうね」とひと言
ゆえにその夜
唐突に洗ったり剥いたり刻んだり煮たりが
始まったのだった
そう
八月の終わり
ウェイトは一見問題なしだったけれど
みもこころもどことなく滞っていて

まっこうからリョウリといってキッチンに立つのが
面映ゆかった
ひとりっ子の生い立ちに加え
はたちで父をなくすと
あとは世話見のよすぎる母との暮らし
いちど結婚するも
諸般の事情というより周囲の懸念思惑によったろう
オヤツキケッコン
ひとり暮らしの長かった当時の夫のほうが
煮炊きの経験はゆたかだったうえ
箸のあげおろしにも講評をくわえずにはいられない母のまえでは
野菜を刻もうなどという気がうせるのは
あたりまえ

だからね

お米はとげるし味噌汁もつくれるが
そこに加えるなにひとつ
ないままに
ねえ
ごじゅうろくさい

だからね

じぶんだけのために
じぶんのたべたいものを
おもうままに煮たり焼いたり
地下鉄を乗り継いで二十五分
二十二時
ああ今夜は二十一時
この時間に帰ると
「早かったね」っていわれるんだ
母にね

カレー粉 焙煎玄米胚芽 昆布粉末
岩塩 かつお節粉末 そして水
野菜十種カレー煮のつづいたある日
豆腐や乾燥わかめに玉ねぎ椎茸を加えて
ぐつぐつ
昆布粉末を溶いちゃってね
湯豆腐ふうにしてぽん酢かけて食べた
そしてあの
伝説のメニューが生まれる
豆腐ステーキ
水切りもせずにね
木綿豆腐一丁をうすく二枚に削いで
両面あぶって
皿にのせ
しめじに玉ねぎ人参なすなんかを
塩こしょうして炒めたのをたっぷりトッピング
ぽん酢をざぶざぶかけてむしゃむしゃ
おお
二十一時
あるいは二十二時の
じぶんだけのための煮たり焼いたり
にたり
にんまり
ほころんでしまうくらい
いい
うんまいっとひとりごち
いやね毎日こしらえていた
野菜のカレー煮や湯豆腐ふうだって
けっこう美味しく食べていたんだが
いずれにせよ今夜のだって
リョウリと呼べるほどのものではあるまいが
それでもこれは
誰かに食べてもらってもいいのかな
いや
食べてもらうあてもないけれど

箸が止まる夜半
ことの始まり
これがはじまり

 

 

 

5月35日

 

工藤冬里

 
 

5月25日
被曝と5Gとコロナの有効な治療法が同じということは顎に鉤を付けて再稼動反対から虹に向かせただけで2011は未だに終わってないということ、石原さとみが海から上るgodzillaだということ、陰謀は「全く変わってないこと」←(ココ太字な)
になる
https://youtu.be/6wOPCmVhO9I

100円になった70%
得意気にプレゼンしていた姿が眼に浮かぶようだ

とうめい花びら

愛国心は他の国を憎むことと表裏一体なので、ナショナリズムはその溢れる愛によって先天的に間違っています。それに対してグローバリズムはそもそもの愛がないことによって後天的に間違っています。自分を憎む者を愛することが出来るかが分かれ目だと思います。

Yahoo!newsが”開示系”に傾いているのは支配の平衡を取るために過ぎない、とまず思わないといけないのかな。

それでも受けるという人の根拠は、①生権力として徴兵とは違う種類の要請であること、②体を殺してもその後は何もできない人たちを恐れてはなりません(luk12:4)、というような気持ちを汲んでいるということでしょうか

量子力学における時間の概念の変更が悪用されていて、それが顕在化しています。焦ってるみたいです。スウェデンボルグの頃から何も変わってない。

昔、歩けない人を乗せて田舎町を走っていたら道の駅で香西かおりショーというのをやってたのを思い出した。「雨酒場」とか

いま樋の落葉の掃除が終わって疲労compile

鶴さんとこでもらった梅を漬けるのに蜂蜜を買おうと思うんだけど中国の500円のやつより同級生の西崎のやつを買ってやろうと思うのって当たり前だとおもうが愛国心以外に呼び名はないのか

茶にできる方のジャスミン?が生えているのを発見

この茉莉花は毒があるそうです

森の中で眠る、というのは現体制では不可能な夢としてある。ゴダールに森の中で裸の男女の群れがボール遊びをしているシーンがあるが虫に刺されないだろうかとか同質の怖れを感じる。それは自然農法に対する不安にも通底する。

ホタルが多くて怖ろしい

ただブルゴーニュではあんまり虫はいなかったよ
https://youtu.be/e8Eq–d88wE

5月26日
undergroundの5曲目で歌ってるpenelope peabodyて誰?マキさんより抜けてて急に安心させられるんですけど

スマホは夜の輪郭が撮れないし耳鳴りを録音できない
https://youtu.be/k1tqYadOTuY

曇っている
ホタルはまだいるのでつらい

5月27日

https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1397684480819687427?s=20
https://twitter.com/seiun_seidan/status/1399041163210878976?s=20

rap/ture

塵を舐める家畜
を被曝させる
元素にカエル
勤続に金属
平服で平伏
コミナティ筋注
車からrapture

https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1397684480819687427?s=20/

https://youtu.be/cNUHnlPKZDI

西村君、朝君

ホタルまだいるのでくるしい

5月28日
いつまで動くの?
生きたいという気持ちがないと人が奇異に見える

FMの音の風景でリクエストを受け付けているのを知って、昭和30年代の、汽車がホームに着く時流れる「アオモリ」と「ヒロサキ」に濁点が付いたアナウンスをまた聴きたいと思った。
青函連絡船の回の時に流れるかと思い耳を澄ませたがその時は聴き逃した。

麦はどうしてこんな毒のある食べ物になってしまったんだろう
麦こそが地球を侵略する宇宙人だという説まである

3時前からspaceを 開きますからよろしくお願いします

https://www.facebook.com/events/319235449557034?ref=newsfeed
fbにイヴェントをアップしたところ、村に火をつけ白痴になれもとい人の目を閉じてケモノとして生きようのsaki machidaさんがlikeしてくれました。ありがとうございます。

fbページでエルカエル切り絵でお馴染みのくらもとさんがlikeしてくださいました。感謝です。
fbページで活動的なフリージャズのサックスの庄司さんがlikeしてくださいました。今年はさびしいですね。ありがとうございます。

田村さんはTwitterでは見ないのでfbでしょうたいしましたがネットはあんまりやらないみたいなので伝わったかどうかは分かりません
あとは外国でも同じことだと思いマクラウドも誘いましたが

と思ったらマクラウドが参加予定にしてくれていました。律儀な奴だなあ。

ホタルまだいる怖い

fbページで松山のヒッピー王画廊主大地君がlikeしてくれました。ありがとうございます。これからも捕まらないよう頑張ります。

5月29日
僕は自然農に於ける「雑草」の敷き方もアートだと思っています。レッドクレイヨラの3人が食べられない野菜で、familiar uglyが食べられる雑草です。

重力に浸かる
人体という土地に化学物質を入れる
それにしても毎日変わる植生の凄さ
野良の顔疵
5G-la
ボウリング的進行に於ける覚醒という名のガター
聴く音楽を聴く時間がもうない
あと何年かで、トラウマを抱えたまま死ぬ
シーンと淫らなノイズの縦糸横糸で
耳型の取手を彫っていた
耳鳴りcosmic

Hay un amigo que se apega más que un hermano
apegarseはアガペーに似ているのでくっ付く、と語呂で覚える

前日にやる筈だった佐島の人とフィラデルフィアの岩田の友達がlikeをポチッてくれました。情宣は大体こんなもんかな

ホタルまだいる長生きだね

5月30日
ヒットエンドラン
ヒットエンドラン
5G寝落ちで無頭葉

Ya desde antes de nacer, estará lleno de espíritu santo

5月30日
https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1399016913401827330?s=20

 

 

 

#poetry #rock musician

夢素描 14

 

西島一洋

 
 

 

雨が降っている。

川の中だ。
浅い川だ。
川岸も川底も全てコンクリートだ。
川幅は広い。
暗渠もある。

濁ってはいない。
透き通っているが、臭い。
汚泥の匂いだ。
糞尿の匂いだ。
強い消毒薬の匂いも混じっている。

全身裸で横たわると、流されていく。

川底はスルスルとしている。
滑らかだが、藻ではなく、汚泥の沈殿物が、うっすらと覆っている。
沈殿物の中には、ドロドロになった便所紙もある。
表面は、細い髪の毛のようなものが、流れに沿って揺らいでいる。

半身は水面(みずも)より上に出ている。
時折、全身が沈み、
川底に当たり、クルクルと回転されながら流される。

すこーし傾斜が強いところに出ると、スピードが出る。
といっても、時速40キロメートルくらいだ。

流されていると、建物があるはずなのに、見る余裕が無い。
せいぜい川岸まで程しか視界に入らない。
流されることに必死だからだ。
ただ、建物に囲まれている気配は十分にある。
建物は、全てモノクロームで、凸凹(でこぼこ)したバロック建築だ。

人の気配は全く無い。
ずーっと一人っきりで流されている。
川の中にも、川岸も、それらを囲むように林立しているだろうと思われる建物の中にも。
人の気配は無いのだが、虫のような気配があるのが不思議だ。
ただ、生命体ではない。

動かない虫だ。
死んでいるのではない。
ただ動かないだけだ。

動いているのは、川と僕一人だけだ。
あとは、きちんと見えてはいないが、
気配としては、じっとしている、というのを感じる。
それらは動いていないのに、それらの気配だけは感じる。

川幅の広いところに出た。
突然、虫の気配も、建物の気配も無くなった

空間というか、天空というか、空というか、何も無いというか、そのような気配が生じてきた。
何もないのに、あるという気配ではない。
何も無いという、そのものの気配なのだ。
言葉的には矛盾しているが、無という有が感じられるのだ。

怖くは無い。

この辺りに来ると、川は二股に分かれている。
上流から下流に向けて二股になるというのは、不自然ではある。
しかも、二股になることによって、水量も増える。
流れの勢いも増す。
これも不自然だ。

血管で言うと、静脈でも動脈でも無い。
静脈は、山から、小さな川が、徐々に一つになって海に流れ込むという態だ。
動脈は、津波のように川が海から逆流して、陸の奥に行くに従って分散していくという態だ。
そのどちらでもないのだ。

雨も強くなってきたが、音が無い、静かだ。
しかし突き刺さるような雨の力だ。
豪雨を超えてはいる。
視界は薄暗いが景色はハッキリしている。

二股のどっちかを選ぶ余裕も無く、僕は左の方の流れにぐいと引き寄せられた。

雨はまだ降っている。
まだ降っている。
いつまでも降っているので、
雨に飽きてしまった。

もう少しで、橋の下をくぐる。
木造の橋である。
木は腐ってカスカスだ。
崩れる寸前の太鼓橋だ。

僕が行くまで崩れずに、
ずーっと待っていてくれる。

おそらく。

 

 

 

家族の肖像~親子の対話 その54

 

佐々木 眞

 
 

 

今日はおばあちゃんち行ってえ、図書館行ってえ、西友行ってえ、お弁当買って帰りますお。
分かりましたあ。

今日はサケご飯にして、お母さん。
分かりましたあ。

オシャレって、なに?
すてきな洋服を着て外を歩くことよ。お母さん、オシャレしたいな。
オシャレ、オシャレ、オシャレ。

お母さん、目黒構内って、なに?
目黒の駅の中よ。

引退って、辞めることでしょ?
そうだね。

お父さん、連佛さんのドラマ録画してくださいね。
分かりましたあ。

「バイバイ、さよなら」と言ってくれたよ。
誰が?
サユリさんが。
いつ?
昔。

お父さん、ぼく連佛さんのビデオ見ますよ。
分かりましたあ。

お父さん、連佛さん泣いちゃたよ。
なんで?
分からないけども。

連佛さん、なんで寝ちゃったの?
お酒のんで、よっぱらっちゃったのよ。

またたくって、なに?
キラキラすることよ。

掛け算のカケルは、バツに良く似てるね?
バツ? ああ、そうだね。

お父さん、2つ録画してくれた?
バッチリ録画しましたよ。

お母さん、あした図書館と西友行きます。
リョーカーイ!

ヤマモトリョウコは、旅館で働いてるの?
東京の旅館で働いてるみたいよ。

連絡帳にね、鎌倉郵便局は嫌いです、と書いといてね。
分かりましたあ。

竹中直人さんの斉昭、死んじゃったのね?
そうだね。

お母さん、「今まで普通に渡っていた、鎌倉郵便局の信号が苦手になった!
怖くて渡れなくなった。」そう連絡帳に書いてください。
いつから怖くなったの?
3月から。
信号なんで怖くなったの?
「タッツタッツタ」というようになったからだお。
そうなんだ。知らなかったなあ。

お父さん、「恋はディープに」見ますお。
分かりましたあ。

患うって、なに?
病気になることよ。

ぼくはシュウマイです。
こんにちはシュウマイさん。

ぼくは、「戦うラーメンマン」好きですお。
そうなんだ。
ラーメンマン、ラーメンマン。

ぼくヘチマ好きですお。
そうなんだ。
ヘチマ、ヘチマ、ヘチマ。

お父さん、録画した?
しましたよ。帰ったら一緒に見ようね。

みっともない、恥ずかしいことでしょう?
そうねえ、ちょっと恥ずかしいことかな。
みっともない、みっともない、みっともない。

洗濯物、乾きましたよ。
雨が降ってきたから、こうやって部屋で乾かしておきましょうね。
分かりましたあ。

 

 

 

いのちとの別れについて思うこと

 

ヒヨコブタ

 
 

こころのなかに
降り積もっているかつての
命あったひとたちのことを
おりにふれ思う

じぶんよりうんと若い命との別れがあった
それを悔やむより
よく頑張ったよと
いまはそんなこころもちで

幾人かの友人が世を去ったとき
それはまだ見えぬ未来に変わる
じぶんのなかで
そのひととの細かな会話や
すこしのエピソードがわたしを慰めるから
まだ生きていかねばならぬのだと
強く強く思わされてきた

なかには
とても酷い人生のように見えるひともいた
生まれ変われたならきっとと思う
にこやかにただふつうに
生き返ることを願う

そういうことを
すこしずつ共有できる僅かな友がいるのは
めぐりあわせとしか思えぬこと
大量消費されるようにたいがいは忘れるひとのなかでは
わたしは
黙する

美化することもなく
蔑むこともない
皆がいつか行く道の
そのひとつでしかないのだろうと
わたしは再び
ことばを探しに
潜っていく
深い深い水のなか
高い高すぎる空の上に
ことばを這わせて