広瀬 勉

1484 : 200911 12:45 東京・杉並 阿佐谷南
#photograph #photographer #concrete block wall
目が白い穴のようにひかり
ふたつのメダルは皿のように海を分け
いないこどもをいたわることさえしたのだ
ああなんでとうめいな黒い羽根がないんだろう
ガザの美容室で
味蕾は十万種を夢見る
うまくいかない時ほど
しわあせになってほしいと思われているのだ、と••
透明度を自分で選び
画面上を滑る指先で
AI動物動画のような未来が稚拙に描かれ
物も時間も作られた捩れだと逆に知れる
ヘロインがライフでワイフなのと同じだ
脂肪肝を切り分けるナイフ
敵(カタキ)で同志のペイン
敵(カタキ)で同志のワイン
ラジカルミキの敵(カタキ)で同志
敵(カタキ)で同志の
いつだって、最後まで
#poetry #rock musician
僕はさびしいって
んっんっんっ
ぼくは寂しいって
んっんっ
繰り返す人
高田馬場で降りるまで
繰り返し繰り返し
僕はさびしいって
外回りして内回り
外と内を逆に
乗せてみる
(変わんねえな)
ラーメン屋の旗が色を失って
はためいてはためいて
訴えるでも
言い表すでもなく
いろんな人の前で
ぼくは寂しいって
んっんっ
まぁそういうことだよ
ささくれ顔で流す
まとも坂を下ると
虚ろ音に出くわす
「死んだ方がまし」と言われ
病院に行けよで
鏡、砕けた朝
でした
あんたぁ、歯がきれいやね
湯船で向かいにすわったおばあさんにほめられる。
最初は「はだきれいね」といわれたとおもってへらへらした。
おたがいに素っ裸なので、目にうつるのはからだのこと
九州の湯はあつい。
銭湯ではめがねをはずすので
ほとんどみえない目でそのひとをぼんやりながめる。
つるん、そんな音。
90年をいきた魂が
からだにあわせてしずかにたちあがる。
あたまを洗いおえてふりかえると
おばあさんはお風呂場を杖をついてあるいていた。
まんまるの背中
そのみっつの足でたより、たつ、ままのからだをあぁきれいだな、
とわたしはおもう。
おばあさんたちが湯船にあつまってする話はおいしいうどん屋さん。
閉店したおでんやさん。
旅立った知り合い。
ここにいつもいる丸顔のひとの話。
あのひと、最近どうしてるかしら。
そしてきっとべつの日は、
べつのだれかがこの場所でおなじ話をしている。
お風呂を出ると、
90歳のおばあさんの髪をべつのおばあさんが
ドライヤーでかわかしている。
あ、ここにも手がみっつ。