poetry・(集合的に)詩

 

さとう三千魚

 
 

女と
犬と

ベッドに
いる

眠ってる

部屋の
窓をあけた

高速道の騒音が聴こえる

西の
山が

見える

晴れている

雲が
ひとつもない

ひとつも
ない

みんないつか死んでしまう

空が
青い

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年残像処理ソフト

 

工藤冬里

 
 

あなたは何をしていたのか

いろいろ行き巡って観光してました

あなたは正しい人を見たか

いえ観光なんでそういうのはちょっと
でも爪痕は撮って

感光したわけだ
今は動けないから移動が懐かしいだろう

ションベン小僧の前とか人魚の前とか
自分が居ても居なくても一緒ですよ

わたしはずっと休日に働いてきた

桜桃ですかそれ
流星号応答せよ
休みながら働くのか働きながら休むのか
生きながらブルースに葬られ、ってありましたよね

殺されながら生きるのか生きながら死ぬのかどっちだ

おいしいウォッカかすごくおいしいウォッカしかないですよ

観光中でも仕事中みたいに缶コーヒー飲むのか

役に立たない血ですよ

せめてビーツ入りのスムージーだったら赤いのに
菌たちに平等に繊維食わせないと

ぼくは行かない どこにも 
地上には ぼくを破滅させるものがなくなった、ってやつか

宿便行ですかそれ

捨てるのは撮る何倍も手間がかかるから
生きた時間の編集は千年ではとても足りない
たとえ数年生きただけでも作業に百年はかかるだろう
生きるということは背後にその何十倍もの死後のアルシーヴを抱え込むということだ

石を積み上げて山を作り
その上で一緒に食事をするのだ
そうして折り合いをつけるのだ
追いかけて来る時間と自分との

編集は生きている時間の何倍もかかるということに皆気がついていない
それを知ったらこわくてそもそも生きられないだろう
老人になって連結が不活発になり蟄居するようになればなるほど枕木の間隔は伸びて作業は滞り編集時間は増える
高尾の篠田の老父の家に配達の仕事がてら行っていたことがある
庭の縁台のこれこれをこうするにはまずはホームセンターに行ってそれから
と考えだすと他のことは考えられなくなる
人頼みなのでその一件を処理するのに数週間かかる
子供はゲーム機を取り上げられるとそれが全てなので自殺するが
それも嗜好というより生まれてきてしまったことの処理の問題である

ファイルのデータを追い過ぎて
朝目蓋を開けないままだと数字の残像が縦に流れる
脳はすでに狂った数学者の隠れシェッドのようだ
下層には文系も理系もないが
死後のデータ処理の速さを競うのが全ての終わりのない頭の疲れる労働の基礎だ
髪の毛一本も失われることなく記憶しようとする
それさえできれば生きていることなど二の次だ
人口削減を口にするなら残像処理能力を手にした富裕層(you saw 富裕層)から死んでみせるのが理性的に考えて妥当だ

 

 

 
#poetry #rock musician

また旅だより 20

 

尾仲浩二

 
 

どこにも行けないことをうだうだ書いてもつまらないので昔の話。
35年ほど前に住んでいたボロ家の近所のちいさな食堂がまだあった。
ここのちっとも辛くない麻婆豆腐は刻んだタマネギがたくさんで美味しい。
だから僕が作る麻婆豆腐はいまでもタマネギがたくさん。でも痺れるほど辛い。
9年前の話。

2020年4月14日 東京中野にて