tribe・種族

 

さとう三千魚

 
 

以前

高円寺にある

バーに
通っていた

店の主人が
写真家で

壁に写真が掛かっている

店には
写真家たちが集まる

写真家たちは
鳥の種族だと思ったことがある

舞踏家や
詩人も

その部類かもしれない

見えない
翅で

羽ばたいてる

1mmも
浮かばないが

羽ばたいてる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年婚

 

工藤冬里

 
 

同性婚の家の子が、うちのお父さんは女です、
と言うので
それは話が合いますね、
実はわたしの親も、男でも女でもないんです、
と返してみる
親子を語るときだけ人は厳粛になれる
no joking official publicである
有線では、たいていビリー・ホリデイかモンクがかかっている
マル・ウォルドロンばかりかかかっていたこともある
そういうのを親だという人もいたけれど
そんなとき、言うほうも聞くほうもまじめだったのを思い出した
子はあなたのことを二百回おとうさんと呼んだ
あなたは男でも女でもないので
イエのアレゴリーは便宜上のものだったと知っている
それでも
それは唯一効果的な説得の仕方だった
いくら家庭内暴力で評判を弱めようとしても
終わりのときまで家族に対する思い入れの大枠は生き続けた
エディプスはそれだけ筆に乗せやすかった
それでわたしも
実はわたしの親も、男でも女でもないんです、
と返したのだ
家族が重要なのではない
その制度を使った比喩こそが実体のアルファ・オメガなのだ

 

 

 
#poetry #rock musician