extent・範囲 程度

 

さとう三千魚

 
 

今朝

詩の範囲

ことばを書きとめたが消した

午後に
出かけて行き

子どもたちと遊び

夕方
帰った

もう夜になった

西の山は
闇の中に

いる

若い時に

“夢から醒めて泣いた”

という言葉の断片に会い

深く
動かされたが

いまは
理由がわかる

夜になった

闇の中に西の山がいる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年のむき出し

 

工藤冬里

 
 

人の限界の先は滝になっていて
生政治が落下している
MMAの勝者は丁寧語であった
カール・ゴッチも紳士であった
児童図書しか借りない引き籠もりの男は番付表を誦じていた
鮎川は叙情詩に落ち着いた
コロナは新型と呼び習わされている
正しく闘い続けるとは児童書を借り取組を覚えてコロナに新型を付けることだろうか
そうかもしれない
いつもそれはそういう感じなのだ
上からの照明で顔は変わる
姉と妹が照らされず内側から明るい
漫才ユニットの片割れ片割れのように明るい明るい
コンビニの前で世馴れた交渉をする危機に
下を向くレッスン
人気のある時はあラッスンだと差された
オタマジャクシたちの運営
ペニエルの取っ組み合いは明日の嫌なことを忘れさせた
昭和のくぐもり
をスマホの解像度が消す
ゲジゲジ眉が慰安所を作った
財産は家畜
唐を荒らしても稽を無くすな
八割れの牝牛
に似ているけどネコ
タプタプ
身頃に止める穴付き
カーテンの襞を垂直に垂らす強い力
言葉の使命
薄いモオブ
モオブ
濃いモオブ
ほとんど黒
濁音の排除
ペダル踏んで
構築され切った晩期資本主義脳
慣れない状況ではありますが
般若のアングルで
ドラクロワ
荒唐の堅さで
襞が三点透視
光で唇が溶ける
ご飯食べてない
赤トンボ色の
怖れ
もう重力ない

ネガティブなことを語り過ぎない
と言うと叩かれる
ジャコブは恵みを求めて泣いた
疲れ切っていたし
丁寧にお断りし
知らず知らずのうちに
にせものは目に見えるからわかる
ネコはぶぜんとする
壁があまりにもはっきりしているので
でもそこに戸口がある
千年平行移動して
城の周りを回る荒唐ハーモロディクス
八十八周回ってもも崩れない無稽の壁
ル・マンのボタンダウンの団栗頭
枝が柔らかくなって
もうすぐ終わるから
逃げ道​を​知ら​ない​さまざまな国​の​人々​が​レイモン・クノー​します
マックス・ジャコブに立ち
水も買った
拡大写真で何も分からなくなる
特に注意する人
甚だしい水曜日
こういう時だけ
荒唐は嘆きながら働く
真っ当なことを言えないので
無稽封じにはなる
真っ当なことが壁になって
荒唐のハーモロディクスが地に堕ちていく
この世界の敵たち全てのように
むき出しにされて堕ちていく

 

 

 
#poetry #rock musician

夢素描 01

 

西島一洋

 

前書きの前書き

 
 

寝て見る夢である。

20年くらい前かなあ、「夢記憶交感儀」というのを名古屋市民ギャラリーで二週間ぐらい開いたことがある。

10センチ角の木材と晒し木綿で、畳二畳程の小屋を作り、ギャラリー内に設置した。床面は10ミリ厚ベニア板で、ギャラリー床面より30センチくらい浮いている。晒し木綿で囲ってある。

中には裸電球を一本吊るした。そして小さなちゃぶ台、座布団はおそらく無かったと思うが、ベニア板の上にはござを敷いた。僕はそこに鎮座した。ギャラリー内のあかりは無く、まあ外から見れば大きな行燈といった言った態、朝から夕刻までの二週間。外には、古いブラウン管モニター6台に、メッセージを文字で「どうぞ中にお入りください。あなたが見た夢についてお話し下さい。」もっと丁寧に書いたと思う。僕は入ってきた人に煎茶を出した。
で、こうも言った。「お話しは全て録音したいです。カセットテープに。そしてこのカセットテープは、この会期の後、コンクリート詰めにします。80年後にこの交感儀に参列(参加)した皆んなと一緒に、聴きましょう。」
この時すでに僕は50歳を過ぎていたと思う。つまり、生きていれば130歳。あながち不可能ということも無いが、おそらく死んでいる。見ず知らずの人も、晒しをビヨーンとひらげて小屋の中に入って来る。年齢は様々だ。一番の若年が10歳、上は90歳。10歳なら80年後でも90歳だから、幾分かのリアリティはある。
小屋は前述どおり、2畳くらい、ちゃぶ台を置いて、周りに5人も座れば満員だ。時間も無制限だから、1日にそう何人も入れるわけではない。記憶では1日12時間✖️二週間やったと思う。
不思議なことに、夢の話となると、赤裸々にかなり際どい事も、知らない人同士でとうとうと話す。これは意外だった。

とここまで書いたらもう7時半だ。毎日の労働のために、そろそろ寝なければならない。二時起きなので。前書きの前書きのさらにその半分にもいたらないが、もう寝よう。一切の推敲も無く。

 

つづく。

おやすみなさい。