マルコス

 

工藤冬里

 
 

香港生まれぽい名前を付けられて
職業はカウンシルの奴隷
巴旦杏ムーンの夜中に
ワイン三杯
パンとマトンで
爆報観て寝るだけのところを
駆り出され
オリーブ園で耳を切られる
ダウヴァの白亜の断崖が脳裏を過ぎり
勇気は下位の層に対して示されると知る
なんでマングースがコブラと闘わなきゃならないんだ
それでもマルコスはいまは犬が吠えないことを知る
人は区別されるということを知る
血に慣れろマルコス
緊張も人生の一部だ
立て、立つんだ
耳を切られたマルコスの
明日はどっちだ

 

 

 

#poetry #rock musician

夢素描 04

 

西島一洋

 

メタモルフォーゼ

 
 

いやあ、一昨日見た夢は怖かった。

一匹の蝿が鼠大に変形して僕に向かって来る夢だ。
避けようとして、ベッドから落ちた。
今も右後ろの背中が痛い。
肋骨骨折か、とも思ったがまだ医者には行っていない。

考えてみると、
いわゆる畳での布団歴より、木床でのベッド歴のがぐんと長い。
今、六十八歳。

0歳から17歳までは煎餅布団。
その後アパートを借り、木造モルタル六畳一室。
ベッドを自作した。
ベニアと角材で。
自作だから、サイズも自由。
幅90㎝×長さは2m。
寝床の下に画材などおさめるようにとこ板には工夫をした。
その後24歳で結婚し、県営住宅に住まいを移した。

そこでもベッドだった。
6年経って居を移した。
一戸建ての借家だったが、ベッドを置くスペースは無い。
子供が生まれ4人家族になり、六畳に4人分の布団。
本棚とかあるので、僕の下半身部分の布団は押し入れに突っ込んで敷いて寝た。
それから30年くらいは布団だった。

認知症の母の介護のため居を移した。
それからはベッドである。

その後何年かして彼女は死んだ。
死んだ彼女のベッドは今もある。
電動のフランスベッドで二十万円くらいした。
別々に足も背中も上がるツーモーター式。
介護度3だったのでショートステイ、
つまり介護施設での生活が多かったので、
このベッドもあまり使用していない。
欲しい人は、送料のみでOK。
連絡ください。

 
追記
蝿の描写。
数日前に、あいついで、蜂と百足を殺した。
殺虫剤で。スプレーの。
ともにしぶといので、何度も殺虫剤をかけた。
ヒコヒコしたのを通り過ぎて、
完全に死亡したのを見届けて、
というよりスプレーの薬剤で、
若干本体が白くなるまで。
私が苦しい。
私も苦しい。
私は苦しい
おそらくは、
夢というのは自己浄化作用というのがあるのだろう。
しかし、ベッドから落ちた時の背中は、
日増しに痛くなって来る。

 

 

 

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Michio Sato

 
 

In the beach wind library

poetry
writing

every day
open to the public

The block wall photo of Tsutomu Hirose and
The poetry of Tori Kudo

every day
open to the public

We publish works of poets, photographers, painters, musicians, performers, gallery owners, ordinary people, biased people, useless people, occasionally good people, beautiful people, kind people, etc.

take a rest on sunday
I’m not a Christian

 

 

浜風文庫で

詩を
書いています

毎日
公開しています

広瀬勉のブロック塀写真と
工藤冬里の詩も

毎日
公開しています

詩人 写真家 画家 ミュージシャン パフォーマー 画廊主 普通なヒト 偏ったヒト ダメなヒト たまに良いヒト 美しい人 優しいヒトなどの作品を毎日 公開しています

日曜日はお休みよ
基督者ではありません

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

subluxation

 

工藤冬里

 
 

TLネットワーク見てるとなんかサブカルのラスク齧ってる感に吐き気がしていたのがここにきて急に人が粒立って艶やかに
ネカフェのトイレで流れる音楽さえ
ターゲットなのだろう、オルタナ主体の有線がgreat song after great song
いまは削ぎ落とされて良くなってるんじゃないかとさえ思う
ヨーヨーマが明日モリコーネ追悼のオンライン・コンサートを行うと言ってる
モリコーネはヨーヨーマに、音楽とは空間、時間、エナジーの三つだ、と語ったらしい
モリコーネがそれを語った瞬間は、空間と時間とエナジーで充ちていたことだろう
しかしいまはその三つを運べない運送屋を見詰めなければならない
それを浮き彫りにするのが釣り堀屋の仕事であろう
後期ルネサンス以来のチェンバーが終わったのだから
風通しの良すぎる洞門が建築様式とならなければならない
そのための寒暖対応ではペスト医者の鳥頭の脱着の操作性がファッションの決め手となり
マツエク以外のコスメは絶え、頭部は鬼太郎の父親に変異するだろう
だから音楽を変えずに演奏空間をデザインするのではなく
ディスタンスを前提して音楽の方を変えるのが王道(バ)ロックだ
それは順番でいけばバロック前夜のマニエリスム或いは倍音としてのキュビズム前夜に対応するものになるだろう
顔の美がヴァーチャルに加速するとき忌避される筈の血が逆にさらに流れるだろう
左右から刺してくるシニフィアンの複製が無く
垂直なトレ・ユネールとしての
あまつかぜ
場の外では犬が泣き叫んだり歯軋りしたりしているだろう
音楽は言葉のsubluxationだ
ドグマ爺さんたち
土グマたち
浣グマに食べさせる野良の白
クマの子を散らすように
アースが産んだドグマ大使
愛は六千年限定のサブスクだ

 

 

 

#poetry #rock musician

解体屋ゲン

 

工藤冬里

 
 

彼の仕事は建設ではなく解体であった
それがその時期の一番建設的な仕事だった
パラダイスとは飲み放題で天女が舞い踊るような所ではない
それは弘岡さんとこの庭のように人がちまちま作り上げるもので
彼女が庭師になるための障害を壊すのが彼の仕事だった
庭師は長生きすると言われていたけれど
それは先取りの三角であって
先走って置かれた原理でしかない
彼の仕事はシバの如く破壊であった
パラダイスとは受け身で放り込まれるようなところではない
地上とはほんらい、尾道でハライソに寄ったら原マスミに出くわしましたというような
受け身で放下されるところではないのだ
隣の刑柱の男に約束したから
彼が来るまでに生きている者だけで急いで整地して
オリーブでも植えておかなければならない
三色スミレは大将の趣味じゃない
チューリップなら黒一色にするとか
それは彼女の趣味に任せるけれども
兎に角戻って来る者たちのために
いまの趣味のままで間に合わせる
だから身受けのハッピーエンドはダサくなりそうだ
それでいいじゃないか
社会と芸術の解体は彼以外には出来ない仕事だったが
その後は庭師たちの引き摺っている解体前の趣味で造園されるのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

launch・進水させる 発射する 始める

 

Michio Sato

 
 

before the tsunami

in a small boat
I was fishing

alone

on a small boat
put the engine on

before dawn
I was leaving the boat from the side of the marina

When I reach the point
pulled down the anchor and drank canned beer

from the water surface
shore

I was watching the swaying pine forest

There was a day when I could catch fish
There were days when I couldn’t catch fish

I’m almost one when I’m near the sea

Become the sea

 

 

津波のまえには

小舟で
釣りをしてた

ひとり

小舟に
エンジンを載せて

夜明けまえに
マリーナ横から小舟を出していた

ポイントに着くと
アンカーを下ろし缶ビールを飲んだ

たいらな水面から
岸の

揺れる松林をみていた

釣れる日があった
釣れない日もあった

たいらな海の間近にいるとほとんど一つになる

海になる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.