オリンピック(いくたびも雪の深さを尋ねけり 子規)

 

工藤冬里

 
 

走ることが競争ではなく走り「きる」ことだと知っていたら強迫神経症にならずに済んでいたでしょう
「美味しゅうございました」で通じるほどに膾炙しているのは是認を得ようとする欲望への本能的な疑義が立ち昇るからでしょう
狭い道を躓かないように犇めき合ってアニメのように走った
愛に裏道はなく抜け道に義はなかった
表参道にも竹下通りにも愛はなかった
蚊はいた
水平に張り出された「く」の字を地軸の傾きで受ける美しい肘タッチの練習動画
雇われたアイコンの素材の傾向を分析してみせた展示
美味しゅうございました
走り過ぎた子規は病床からいくたびもソーシャルディスタンス街宣の深さを尋ねた
雇われた者たちのアイコンはアニメの平たさとして広がり
肘タッチの太陽高度は深さとして林立した
いくたびも尋ねた雪の深さ 哉

 

 

 

#poetry #rock musician

chuckle・くすくす笑う

 

Michio Sato

 
 

When I was a child

had a cat

She was a calico cat

Her nose
was black

I called her Chaco

Chaco
Chaco

Chaco was vague
She was quiet

She gave birth to many children

Around winter

From home
Gone

Next spring
The body of Chaco was found in the barn of the neighbor’s house

Chaco
Chaco

chuckled

 

 

子どものころ

わたし
猫を飼ってた

三毛猫だった

彼女の鼻のあたま
黒かった

チャコと呼んでた

チャコ
チャコ

チャコはぼんやりしていた
静かだった

子どもをたくさん産んだ

冬になる頃

家から
いなくなり

翌春に
隣家の納屋でチャコの死体が見つかった

チャコ
チャコ

クスクスと笑ったね

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life