8月4日広島相生橋「すっからかん節」のための経哲草稿

 

工藤冬里

 
 


すっからかん
すっからかん
ジャックラカンも すっからかん
五百羅漢も すっからかん
三月四月 すっからかん
五月六月 すっからかん
七月八月 すっからかん
数年後でも すっからかん
吸うからいけん すっからかん
吸わなきゃいいのか すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
(振付:肘タッチ)

橋の欄干 手を腰に
はるか向こうを 眺むれば
十七八の 姉さんが
アニス羅漢果はバンド名
姉さん姉さん どこ行くの
スリランカカレー 食らわんか
私は九州 鹿児島の
西郷すっからかんの 娘です
薩摩焼なら 沈壽官
鞍馬天狗の アラカンが
かんらかんらと 観覧車

ワイン安けりゃ あっけらかん
楽観的な 約款も
TPPで すっからかん
あきらかなのは すっからかん
シーラカンスも すっからかん
乱獲されて すっからかん

アキラも明菜も すっからかん
ランタンパレードも すっからかん
キップ・ハンラハンも すっからかん
バート・ランカスターも すっからかん
ピンカラトリオも すっからかん
からゆきさんも すっからかん
スカラーシップ返せず すっからかん
夜間高校 すっからかん

ずらかんないと すっからかん
使えぬ薬缶と 水道管
餡から食べて 実を枯らす

すっからかん
すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
etc

 

 

 

#poetry #rock musician

幻想の家族

 

ヒヨコブタ

 
 

暖かな家族だったと信じて
生きてきた

いまではその幻想も冷えきってしまった
ほんとうのことを思い出すというのも
それを認めるというのも
とてもおそろしいことだった

置き換えてすり替えてそのひとらを擁護したくても
もうできない

もうしなくていいんだ

子どものじぶんには罪がなかったと言ってほしいと何度も願った
父の前では笑顔になる母に
なにか些細な代表に他のきょうだいではなくわたしが選ばれたことに憤慨する母に
お前が選ばれて嬉しいと
そういってほしかった
ただそれだけだった

一般的ではないということは
共感を得づらいということなのか
家族の話は
幻想としてしか他者には話しづらいのは

老いと病を得たとき
近づいてくるそのひとの
こころにある凶器は変わらないことを
もう認めようか
振りかざされてからでは
遅すぎるのだ

もう戻らない
何度もよみがえると
こころが壊れてしまうから
母の存在を意識のなかでは消してしまわなければと思う
誰の迷惑にもならぬよう

誰かより目立たず誰かより褒められないことが
生き残る術だったなんて誰が信じようか

小さな家の箱のなか
もう二度と足を踏み入れたくない箱のなか
あの箱のなかなにがあったのかを
あのひとがどれほど飾りたてようとも
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