解体屋ゲン

 

工藤冬里

 
 

彼の仕事は建設ではなく解体であった
それがその時期の一番建設的な仕事だった
パラダイスとは飲み放題で天女が舞い踊るような所ではない
それは弘岡さんとこの庭のように人がちまちま作り上げるもので
彼女が庭師になるための障害を壊すのが彼の仕事だった
庭師は長生きすると言われていたけれど
それは先取りの三角であって
先走って置かれた原理でしかない
彼の仕事はシバの如く破壊であった
パラダイスとは受け身で放り込まれるようなところではない
地上とはほんらい、尾道でハライソに寄ったら原マスミに出くわしましたというような
受け身で放下されるところではないのだ
隣の刑柱の男に約束したから
彼が来るまでに生きている者だけで急いで整地して
オリーブでも植えておかなければならない
三色スミレは大将の趣味じゃない
チューリップなら黒一色にするとか
それは彼女の趣味に任せるけれども
兎に角戻って来る者たちのために
いまの趣味のままで間に合わせる
だから身受けのハッピーエンドはダサくなりそうだ
それでいいじゃないか
社会と芸術の解体は彼以外には出来ない仕事だったが
その後は庭師たちの引き摺っている解体前の趣味で造園されるのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

launch・進水させる 発射する 始める

 

Michio Sato

 
 

before the tsunami

in a small boat
I was fishing

alone

on a small boat
put the engine on

before dawn
I was leaving the boat from the side of the marina

When I reach the point
pulled down the anchor and drank canned beer

from the water surface
shore

I was watching the swaying pine forest

There was a day when I could catch fish
There were days when I couldn’t catch fish

I’m almost one when I’m near the sea

Become the sea

 

 

津波のまえには

小舟で
釣りをしてた

ひとり

小舟に
エンジンを載せて

夜明けまえに
マリーナ横から小舟を出していた

ポイントに着くと
アンカーを下ろし缶ビールを飲んだ

たいらな水面から
岸の

揺れる松林をみていた

釣れる日があった
釣れない日もあった

たいらな海の間近にいるとほとんど一つになる

海になる

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

fade・次第に消える 色あせる (花が)しぼむ

 

Michio Sato

 
 

of my mother in low

death day
go to the grave

go every month

flush tombstone with water
offering flowers

burning incense sticks

The flowers of last month fade
The grave guards will clean up

Fresh flowers
fade

Fresh flowers wither
Fresh flowers disappear

Many graves are now offered with artificial flowers.
Artificial flowers will soon fade

Artificial flowers have faded and remain

 

 

義母の

月命日に
墓参に行く

毎月
行く

墓石を
水で流し

花を供える

線香を焚く

先月の花は枯れるから
墓守たちが片付けるのだろう

生花は
萎む

生花は枯れる
生花は消える

いまでは造花が供えられている墓も多い
造花もやがて色褪せる

色褪せて
いつまでも残っている

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.