オリンピックの後で

 

さとう三千魚

 
 

工藤冬里さんの
“オリンピックの後で” *


終わった

ワンマンだったが
工藤さんは

参加者の声をミュートさせなかった

ツカサさんや
松村さんの

声や
ドラムや

久保田さんや
赤ちゃんの声が聴こえた

工藤さんは
“水平線を縦に並べて滝にしてみる”と歌っていた

そこにいた

わたしも
そこにいた

今朝
ゴミ出しにいった

モコはソファーで眠ってた
紫の朝顔の花が咲いていた

オリンピックの前も
オリンピックの後も

ひとびとは
そこにいた

わたしも
いた

そこは滝だろう
流れ落ちている

 
 

* 2021年10月10日に開催された工藤冬里のオンラインでのワンマン「オリンピックの後で」のこと。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また旅だより 38

 

尾仲浩二

 
 

写真展のために大阪で2週間ほど暮らした。
非常事態宣言が明けた翌日、ギャラリーを出て、ひとりで飲み屋を探す。
どこも久しぶりの開店で満席だったが、空いているホルモン焼へ勇気を出して入る。
大小のGがカウンターを走り回っていた。
ひと組だけいた先客のカップルのネエちゃんは、こんなの私はぜったいムリと怒って出て行ってしまった。
気まずい空気の中、オヤジの機嫌を損なわないよう、旨いうまいと食べていたら、先客の残したホルモンをもったいないからと出してくれた。

2021年10月2日 大阪、中津にて