鶴巻橋

 

廿楽順治

 
 

おとうさん
こんなところで
なまくらを抜いてどうしますか

水たまりになりはてた
女房の声だ

(強盗をしようとおもいます)

まずは
頭にのせたその
ふるい魚をこちらへよこせばよいのです
けして
声をたててはなりません

遠くの風景では
ひとびとが群れになって
一本足でひたすらすべっていきます

(きみらはただ無限に
 人生を改行したかっただけなのだろう
 そうは問屋がおろさない)

能書キハドーデモイイ
フトコロノ物質ヤ時間ヲゼンブ出セ

わたしは
なまけものなので
詩で強盗をしようとおもいます