廿楽順治

 
 

お濠のまわりに
時計屋さんがいくつもあって

おなじ時間を売っている
ようにみえるが
(ほんとうはそこに陰謀がある)

わたしは右回りに歩いた

今はもうないが
お城の天守閣には
青くておおきな目玉があったらしい

教室のうしろで
柱時計みたいに
立たされた日を思い出す

みんなの時間なんか踏みつぶしてやる

右回りで
子どもたちの国がひとつずつ

音を立てないように
空へ消えていくのを見ている