いちばん古い記憶 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 45     kokoro 様へ

さとう三千魚

 
 

わすれてた

たぶん
おぼえて

ない
風が流れてた

れんげ草の
花の

香りがした

とつぜん
なみだ

流れた

 

 

***memo.

2023年7月2日(日)、静岡市水曜文での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第十五回で作った45個めの詩です。

タイトル ”いちばん古い記憶”
好きな花 ”れんげ草の花”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

Vidalita

 

工藤冬里

 
 

目次
・Studio beapot
・Terrine
・森崎和江一周忌
・墓川君
・Ottinger頌
・小説
・俳句
・タイタン号報道に対する正しいコメント
・楢山節
・アルヘンチーナ頌
・Brötzmannの訃報
・過食亭
・少年1
・ワグネル報道に対する瞬間的なコメント
・ラーメン発見伝に対するリアクション
・利他主義について
・世代について
・動向vignette
・少年2
・ある訓示
・内輪を装った情宣
・警戒レベル4
・ベルリンの便器作家Marco Bruzzone氏の出版物“Triple Carb Society”に対する批評
・ニューシャネル
(今週も盛りだくさんのように見えますが実態はフラメンコです)

聖蹟桜ヶ丘のスタジオはまだやってるどころかテープの切り貼りの職人技を見せてくれていた半谷さんはその後ワイアットとアルバムを出した

ピアノの失敗を別次元で感情として同時並行ノイズで表そうとしているところが新しい しょうもないピアノを救う道を示した
https://bruit-direct.org/product/terrine-standing-abs/
 
もう一年か
今生きている人々のシリーズに森崎さんも居たのは良かった
まだ生きているのは杉田さんくらい?
(デスノートかよ)
船のない港
港のない船
嗚呼
生きていたらいけないんだど思わせるしぐさに溺れる鰯
 
can I be of any assistance?
は小賢しい助け舟だ
と墓川は思った
En quoi puis-je vous aider ?
の方がブゼデの母音による暖かみが出る
バンドエイドな
でも国旗で暖かさを比べるのは止めろ
 
日本人、嘘つかない
日本人、嘘つく

このあと朝の国分寺南口の階段で倒れて終わるんですよね

大変怖しい本で、小説とかはこれで読めなくなるだろう

白雨や野良の仔等への未来なし

酸素って普通に吸ってるけどありがたいですよね
 
吉増さんが楢山節の譜面を持ってきていてやってほしそうにしていたけれどやらなかったのを思い出す。ぼくにはそういうことがよくある。深沢さんはフラメンコをやろうとしていたのだと気付いて、何年も経ってからよく演奏するようになった。そういうことがよくある。ありがとう吉増さん、と思う。
 
紋白蝶が帰化したバーベナ・アルヘンチーナを吸っているが新しい味だと喜んでいるのだろうか
https://youtube.com/shorts/L1Lme2NS1_k?feature=share
 
小沢さんとテツとやっていたバンドmachineguntangoの由来
https://www.youtube.com/watch?v=YA92-W0w2Os
 
56号沿いのidleと珈食亭の間の山道を下ったところにビッとくる粘土層があり、コンビニ袋を裏返しにするやり方で一掴み採ってきて盌の形にしてみました。中世代と古生代が交差する辺りです。紫陽花は赤でした。焼けたら「泰山木の花を食べる恐竜がいたら」、という銘にします。

4時半頃鷹の子に行く時少年が道で寝ているのを見かけ帰りの5時過ぎにも少し先の道の反対側にうずくまっていたので引き返してどっか行くなら連れてってやろうかと声をかけたら大丈夫ですと言うばかりでまた歩き出した

 

ロシアは先に去り、それを助ける者はいない、と決められている。 レニングラードでソーグラッド
https://www.youtube.com/watch?v=txGCJx3KmeM
 
麺神辛い ただ、完結している
 
体を乾涸びて朝の切干
ロバート・フロストが「自分を他人のように」の元祖というがその詩が見つからない

新制水沢高校で父と同級だった米寿の岩田さんの、岩手に疎開してきてそのまま居た高村光太郎が講演をするというので南部煎餅を手土産に聴きに行ったが一億総懺悔というのでそれは戦前の発想だ戦争というのは個人の体験であり一億などと言ってはいけない、こいつは駄目だと思った、という話が興味深かった。
盛岡がニューヨーク・タイムズでロンドンに次いで世界で訪れるべき町の第二位に選ばれたというニュースを、女子アナがわんこそばを105杯だか食べてそれをもって紹介の報道としたのはまったくもって情げない、サケの上る市中の川どかいろいろ紹介するごどがあるだろう、と憂えた。
賢治の甥っ子と同級だった、宮澤家は花巻では豪商だった、賢治はそれに反発した、かれは童話作家などではない、と昨日のことのように語った、
あと父は姉が結核で死んだ時非常に落ち込んでいた、と証言した。看病で父にも伝染していたらしく、美術教師だった岩田さんの父が、東京に行く前に肺を治せと言って札幌の美術学校を紹介したらしい。学生服を脱げと言って飲み屋を連れ回していたらしい。その頃のサッカー部は全く人気がなかったらしい。
人は死んで忘れ去られるというのはほんとうのことで、語り継ぐなどと言っても数世代である。生きているうちにそれを実感しておかないといけない。
中華料理屋の看板にハルピンとあるのを見て痴呆の母が歌い出す ハルピンまでもせめおとし クロバトキンのくびをとり とうごうたいしょうばんばんざい
大岡さんがYMOを聴いて一亀さんに電話するくだりも好きだ あれが世代というものの様相である 尾鰭と頭が少しだけ交差するのだ

セトリとか信じられない
どっかのおじさんの世界?
なに「曲」って
バカじゃないの
 
物音から音楽に向かう道は何の解決でもないが、厳然とひとつの道である。その理由。
https://4gradosdelfuego.bandcamp.com/album/transfiguraciones
 
元の旋律を思い出せないまま世代は進んだ
異例の布告から始まったが風化は戦後のように訪れた
戦後のように風化は訪れた
現代病院を見舞う
病院現代の見舞い
これは大きくならない子供の、リフレインのあるvidalitaだ
豚が鼻を半球に押し付け
そのリズムで70年が満ちる
70年が満ちるリズムだ
先に作るべきなのはさらに小さな鼻を押し付ける天袋
泣き声は笑い声
笑い声は泣き声だ
にまにまのたのた
のたのたにまにま
鴨嘴の尻尾のように正確
チーターは爪を引っ込めることができない、と動物豆知識botで知った
きみみたいじゃないか
コインランドリーに似た近藤ノブ子は日本人にいくつあるだろう
模型屋のような品部はいくたりいるだろう
パーマ屋の住人は多死の中vignetteに縁取られていく
住基カードは身分証明書と市町村による付加サービス(コンビニ交付、図書館利用)だけでした
自分を養うように住基を養う
自分を大切にするように住基のために死ぬ
自分の身を飾るように住基の欠点に人前で注意を引かない
自分を癒すように銃器ネット、、
自分が他のせいにするように銃器の事情を考慮する
拡張して自分以上に什器を大切にする
私は自分の終わりにこれ以上ないほど近づいていた
それは饐えた臭いを伴っていた
化膿治五郎は柔術を膿出した
それは蛞蝓の道となった
 
刃物を持った黒尽くめ黒マスクの少年がまた川内に現れて川上小は早退けにしたみたいだけど中村君絡みでなけあ良いけど

アマジヤのあまちゃんは栄光を噛み締めて自分の家に居なさい
 
志々島でなんかやるからピアノ弾いてとあんどさんに言われたのでコスタさん誘って行こうかなと思う
あとはたかちゃんにまた鈍光に誘われている ポンコピピンがなくなってみんなどこでなにしてんだか分からない
 
バラックの危険水位に石手川
 
情けない散らしを危険水位に撒き続けるバンク川のぱんく
本チラシなどなし塗炭錆
 
川元さん命日
放水の日が平日
元々爪を引っ込めることができない性質
癌も流され
雷怖がり猫も流され
池の下集会所が流されていたらツインドームで

Il grano è demonizzato, alcuni dicono addirittura che sia un alieno che si è impadronito dell’umanità, ma da quando Adamo dovette “sudare sulla fronte per mangiare il pane” fino a poco tempo fa, il grano è stato un materiale essenziale. Perché questo stravolgimento del grano? Può essere solo perché il dominatore di questo mondo è malvagio. La rappresentazione di Duchamp di una semplice pasta ha inaspettatamente portato alla luce questa distorsione.
https://www.instagram.com/p/B2jmnOCnQv1/?img_index=1

今日はクリスさんとその友達が大竹展を見たいといって尼ヶ崎から来るので1日付き合う
ポップに対するメタ・メタはメタメタにされる
美術にも窓がなければならない
「美術の窓」って良くないですか
全部過去にあったわけだから
ふるくさすぎるミライカナイ
降ってなくても注意報みたいなイマココ

 

 

#poetry #rock musician

カレー

 

塔島ひろみ

 
 

キツネはレモン石鹸だった
深夜
貨物列車で運ばれて
諏訪橋を渡ったところで
お腹がすいた
においが漂ってきたからだ
なんとも言えない はじめてのそのにおいに
からだじゅうがピクピクし 
お腹がすいてたまらなくなったから
キツネになった
列車から飛び降りると そこは川原で
タヌキがいる!
親子でじゃれあって 遊んでいる
においは向こう岸からだ
川に飛び込む
月のない夜 川はどこまでも黒く 
水はなま温かく キツネを包む
ザッツ、ザッツと 水をかく音だけが耳に響き
岸に着く ムササビと イヌワシと ヒョウと
カッパと ドブネズミが
寝転がって星を見ていた
そこはニセモノの町だった
キツネはにおいのもとを目指して土手を下りる
ぼうっと 白い薄明かりが漏れている一軒の家
隙間から覗くと ドロボウが大きなお鍋でカレーを煮ている
ぐつぐつ ぐつぐつ 茶色いどろどろが
ボコッ ボコッと出っ張ったり 引っ込んだり
暑くて ドロボウは汗をかいて 時々タオルで顔を拭いて
キツネのお腹がグウッ と鳴った
いらっしゃい、よく来たね
キツネはドロボウの子どもになった

ドロボウは夜が明けるとヒトになり
キッチンカーにカレーを積んで売りに出る
キツネは少女になりお客さんの応対をする
おいしいカレー 毎日違う味のカレー ドロボウカレーに
レモンスパイスが加わった
世界のどこにもないカレー 世界で一番おいしいカレー
川原で寝そべっていた動物たちが買いに来る
みんなヒトに化けてお金を持って
夜、川原においで とタヌキがキツネに耳打ちした
ニセモノが集結する川原においで
夜の川原 ススキが群生する湿った場所で
キツネは思い切り走ったり笑ったり つかまえたり転げたり 時々川に飛び込んで
くたくたになった
キツネ! キツネ! ここだよ! ここだよ!
ニセモノたちがからかって笑う 
そのあいだにドロボウはカレーを仕込む

ガタン、ガタン
深夜 貨物列車が橋を渡る
レモン石鹸の箱を積んでいる
川原に来ないキツネを迎えにタヌキが行くと
ドロボウの家は灯りがなく 鍵がしまり
キッチンカーが放置され
カレーのにおいがしなかった
キツネ! キツネ!
タヌキが呼ぶ
ドロボウがつかまった! ドロボウがつかまった!
ニセモノたちは泣きながら呼ぶ
空に向かって 助けを求めて
キツネを呼ぶ
キツネ! キツネ! ここだよ! ここだよ!

ニセモノの町に雨が降る
来る日も来る日も 降り続く
水かさが増し 河川敷は浸水し ニセモノたちは下流へと流れる
恨めしそうに 仰向けに 黒い黒い空を見ながら 流される
カッパのお腹がグゥと鳴った
ネズミのお腹がクーと鳴った
タヌキのお腹がゴーと鳴った
においが漂ってきたからだ
おいしいにおい カレーのにおい
レモンカレーのにおいがする!
あそこからだ!
近づいて来る貨物列車を ムササビが差した

ガタンゴトン 貨物列車が 今にもあふれそうな川沿いを進む
おいしいにおいを
レモンスパイスのカレーのにおいをまき散らして
海へ 海へと 走っていく
ニセモノたちはそれを追うように流れていった

 
 

(6月某日、高砂諏訪橋たもとで)