星 ☆ ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 60     hoshiko さんへ

さとう三千魚

 
 

ほそい
道を

歩いていった

きみと
歩いていった

花が
咲いてた

子どもらも
ついてきた


咲いた

桜咲いていたね

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った60個めの詩です。

タイトル ”星 ☆”
好きな花 ”さくら”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

新しい仁義

 

長谷川哲士

 
 

門の向こうの不揃いな芝生の庭
ゴールデンレトリバーちゃん駆け回る
名前は何というの?まだぐるぐるするの?
まだまだぐるぐるするの?気が違ってしまったの?
芝の香りが良いからだろうか狂ってしまった様である
ぐるんぐるんわおんわおんと走り回る

次には門の向こうから金髪で長髪の
小父さんがやって来てぬうっとこちらに首だけ出して
ご挨拶、あなた外人さんなの?ジョンさん?
レノンさんなの?わたしヨーコ
ああヨーコさんこんにちは、こんなビートが曖昧な夜には
大きなキャンディ齧りたいね、そうじゃない?

大鳥居を叩いて音叉の替わり
ギターのチューニングOK
新曲歌います

「祈祷師な貴公子」
世界は嘘で出来ている
嘯く奴等の喉仏焼いて
仏の舎利で宮殿を拵える
仏を大切にするタイ国にて行われる
ムエタイの戦闘者は戦いの前に
師に礼を示すワイクルーを舞う
高揚した横丁通りでは
効果的な麻薬などが販売されているのだろうか
行った事もない亜細亜の邦の事は知らない
今私が住んでいるこの日出づる邦と呼ばれる
ここの事さえ何も知らない
さあムエタイ戦士のローキックがケツを打つピシッ
肘打ち連打され気絶している凄い賭け金飛び交う
骨まで軋る身を切る改革政治家の馬鹿野郎
又更なる嘘は拡声器を通して街中に
飛散するそして貧者の笑み少しと多数の死体
祈ったら祈った分だけ死んで行くが抗え

イエーイ!ご清聴ありがとう

どうですか?こんな曲恥ずかしいし
尚も世界はアホらしい
しかし隣の老夫婦は仲が良いし
ロックで世界の脇腹をくすぐってもみたいし
ジョン&ヨーコに挨拶もしておきたい
あらゆる生命がぐるんぐるん回って
わおーんと反響しています

 

 

 

つじつま/たたみかけ

 

工藤冬里

 
 

見えるものが見えないものに変わった
だから逆にいま見えるものたちはつながっていなければならない
身体の方が先に反応しているという脳化学の成果を踏まえて「書きながら考える」を乱暴に適用するならば、認知バイアスを排除してコルチゾールと心拍のセンサーのみに反応して書け、ということになる
つじつま
どうしてこんな
間違ってはいない
だれがこんな
なかった
知らせることを知っていたからたたみかける
I am making all things new
新たに造るのではなく新しくするとは滅ぼすことと回復させること
書けと言われただけではなく実現すると言われた
Ωまで休みはじめた
自分のことしか考えてなかったから思いもつかなかった
あぜん
言葉は発せられた途端に嘘かほんとかどちらかとなる
それでも言葉を使ってたたみかけるしかない
約束し、自分自身に向けて署名し、自分自身が宣言するしかないのだ
両端を観察してエリフはかっこいいことを言う
わたしたちはその間にいる
つじつま
たたみかけ
わたしたちはその間にいる

 

 

 

#poetry #rock musician

お一人様 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 59     yaeko さんへ

さとう三千魚

 
 

ひとり
生まれて

ひとり
死んでゆく

庭には
千日紅が

咲いていた

紅く
咲いていた

わたし
千日紅

抱いていくよ

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った59個めの詩です。

タイトル ”お一人様”
好きな花 ”千日紅”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また旅だより 65

 

尾仲浩二

 
 

ひさしぶりに熱をだしてしまった。
ゴールデン街でたくさんの人たちと会った翌日から。
なんだか喉がイヤな感じだなと思ってドイツで買ったトローチを舐めていた。
朝方40度超えで、やってしまったかと発熱外来を予約した。
結果はコロナもインフルエンザも陰性。
でもキツくて酒は飲めないし、咳き込んでいるので人には合わない方がいい。
ゴールデン街では正月恒例の展示をやっている。
ギャラリー街道では昨年行った台湾の報告展も。
残念ながら家でおとなしくしているしかない。
なぜなら今週釜山へいくから。
釜山でも展示が始まっているのだ。
そこでは牡蠣も待っているのだ。
なのでもう四晩も酒抜きだ。

2024年1月 14日 東京中野の自宅にて

 

 

 

 

太陽はいつも遅刻する

 

加藤 閑

 
 

銀河系で割れない卵並べてゐる

冬すみれ生の原寸として咲けり

海までは凩でゐたいと風が言ふ

鯨の死太陽はいつも遅刻する

蝋梅やわたしの中に棲む白痴

雪の夜の眠らぬ孔雀渇きあり

寒星のささめきを消し漆研ぐ

磐座(いはくら)を訪ねて雪の徒とならむ

歯凍らせ弥終(いやはて)にこの種断たんとす

白鳥の王家の系譜おほかたは夜

 

 

 

帶着明晚的醉意,
明日の晩の酔いを身に帯びて

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

帶着明晚的醉意,
敲打鍛練鳥鳴,
黑色的血在準備晨曦。
那些離開的人
我並不知曉他們的名字;
磨滅的星雲、
再來的死難者,他們!
看異鄉茫茫,
暮色是怎樣遺落黃金?
暴政的細雨罩蝕大地,
證物遲緩的眼神呈堂時芬芳可嗅
當你收攏淚珠,倒敘的花朵
新的一年就開始填補哀愁,
有如蠢人無辜的祈禱,
一閉眼就只見夜色,
殘渣,物是人非⋯⋯
我希望你沉睡如在獄中;
如在丁香的夜晚;
如同黑紙的芯片;
拂去星光,對黑夜負責。
我的燈火呀!已經深宵了,
讓我如兇器的碎片
逢兇握險,跟左慈走入羊群
離開你的夢中。

噫!
帶著以後的醉意煅打星星的芒角
書店以熄燈關門。
夜晚的骨頭更加黑暗。

 
2024年1月14日寨城南

 
    .
 

帶着明晚的醉意,
 明日の晩の酔いを身に帯びて、
敲打鍛練鳥鳴,
 鳥の鳴き声を打ち鍛え、
黑色的血在準備晨曦。
 黒い血が夜明けを準備している。
那些離開的人
 離れ去った人々
我並不知曉他們的名字;
 私はその者たちの名を知りはしない;
磨滅的星雲、
 すり減った星雲、
再來的死難者,他們!
 ふたたび現れた犠牲者、彼らは!
看異鄉茫茫,
 眼前の異国の地は茫漠として、
暮色是怎樣遺落黃金?
 暮色はどんなふうに黄金を無くしたのか?
暴政的細雨罩蝕大地,
 圧政の霧雨が大地を蝕み、
證物遲緩的眼神呈堂時芬芳可嗅
 物証の緩慢な眼差しが差しだされる時には香しい匂いがする
當你收攏淚珠,倒敘的花朵
 きみが涙を拭うとき、よみがえり語る花々
新的一年就開始填補哀愁,
 新しい一年がまた哀愁を満たし始め、
有如蠢人無辜的祈禱,
 まるで愚か者の罪のない祈りのように、
一閉眼就只見夜色,
 ひとたび目を閉じれば夜の色ばかり、
殘渣,物是人非⋯⋯
 残りかすだ、景色はそのままに人は変わった……
我希望你沉睡如在獄中;
 きみには牢屋の中のような眠りについてほしい;
如在丁香的夜晚;
 ライラックの夜にあるように;
如同黑紙的芯片;
 黒い紙のチップのように;
拂去星光,對黑夜負責。
 星の光を拭い去り、暗夜に責めを負う。
我的燈火呀!已經深宵了,
 わが灯よ!すっかり夜も更けた、
讓我如兇器的碎片
 私を凶器の破片のようにして
逢兇握險,跟左慈走入羊群
 危難に立ち向かい、左慈について羊の群に入り
         *左慈:『三国演義』の登場人物。方術をつかう仙人。
離開你的夢中。
 きみの夢から抜けだそう。
噫!
 おお!
帶著以後的醉意煅打星星的芒角
 この先の酔いを身に帯びて、星の光芒を鍛え打ち
書店以熄燈關門。
 本屋は明かりを消して店を閉める。
夜晚的骨頭更加黑暗。
 夜中の骨はいっそう暗い。

 
2024年1月14日寨城南
 2024年1月14日砦の街の南で

 
 

日本語訳:みやこ鳥

 

 

 

 

生き方 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 58     akiko さんへ

さとう三千魚

 
 

わからないよ
わからないよ

生き方
わからないよ

ガーベラ
ガーベラ

教えて
教えて

わたし

黄色い
花になろう

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った58個めの詩です。

タイトル ”生き方”
好きな花 ”ガーベラ(濃い黄色)”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life